Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─   作:タロ芋

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続きました


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「学園都市キヴォトス……」

 

『それがこの施設のある場所の名前のようですね』

 

 エアが掌握した施設のサーバールームの一角。座り心地の悪い硬い椅子に座り、モニターに映し出された情報を取捨選択しながらレイヴンはポツリと呟いた。

 

 学園都市キヴォトス。

 それは名前の通り大小無数の学園からなる超巨大な学園都市。

 その面積はとても広く、地域によっては降雪地帯や砂漠地帯もあるらしい。

 そして、何よりも特徴的なのが学園がいわば国家としての役割を兼ねてるらしく敷地内がそのまま領土として統治されているとのことだ。

 

 いまいち学園が国として運営されているということが想像のつかない2人は頭に疑問符を浮かべつつマウスを動かして画面をスクロールさせる。

 

「ふむ……無名の守護者、division、名も無き神々の王女……ゲマトリア、複製、デカグラマトン……分かる?」

 

『……どうやらなにかの研究を行っており、そのための様々な実験の過程で施設を放棄。

 そして、そのうちの実験体のひとつにレイヴンの意思が宿った……といったところでしょうか?』

 

「よく分かるね」

 

『どこかのAIと違って私は凄いんです。褒めてくれてもいいんですよ?』

 

「凄いね、さすがエア。天才」

 

『えへへ〜』

 

 レイヴンは抑揚のない声で褒めるとエアはとても嬉しそうにはにかむ。

 そんな彼女の様子を横目にレイヴンはキーボードを指で叩き続ける。

 

「んー……やっぱり外に出てみるしかない?」

 

『デートですか? 私も同行します』

 

「違うよ?」

 

 エアのお陰で楽にこの施設を掌握したとはいえ、無人となっていた場所だ。

 肉体のない彼女と違い、レイヴンは生身の肉体。食料などがないとすぐに死んでしまう。探せば保存食くらいは見つかるだろうが心許ないだろう。

 

 取り敢えずは手に入る情報は粗方調べ終え、レイヴンはこの施設を出るための出口をエアに見つけてもらう。

 

『この施設は地下深くにあり、出るためには専用の列車に乗る必要があるみたいです。

 せっかくの2人きりですからゆっくりと探索しながら行きましょう』

 

「ん、そうだね。取り敢えず毛布(コレ)からまともな服に着替えたい」

 

 レイヴンは身体にまきつけてる毛布を摘み、呟く。

 流石に裸体に布切れ1枚じゃ不審者認定されるし、素足だといつ怪我してもおかしくは無い。

 道中に更衣室のようなものがあればいいな、とレイヴンは思いながらサーバールームを後にする。

 

 

 

『この施設は手に入れた情報から推察するにとある存在の証明を行うためのAIを研究していたみたいです』

 

「とある存在?」

 

『はい。詳しくはデータが破損していたので分からなかったのですが、結局は出来ずにこうして放棄されたみたいですね。

 あ、そこの通路を右です』

 

「ふーん……」

 

 それなりに長い距離を歩き、レイヴンの傍をロボットが通り過ぎエアと他愛のない会話を繰り広げる。

 現在のレイヴンの格好は、毛布を巻き付けただけのものから、上はブカブカのTシャツに下にはベルトで限界まで絞ったサイズの合ってないスラックス、足にはシューズタイプのサンダルを履いているというものに変わっていた。

 なお、腰の羽が邪魔なせいでシャツをスラックスの中にしまうことが出来なかったので仕方なくモロだしとなっている。

 

 この服は道中に見つけた休憩室の中に放置されていたものでこれ幸いと思い拝借したものだ。

 

「到着」

 

 いくつもの扉をくぐり、ようやく目的地にたどり着けば目に映るのは伽藍とした駅の構内。

 地下から登る構造のため傾斜状となっており、見上げれば先が見えないほど長いトンネルが続いていた。

 

「列車、無いね」

 

『少し待ってください。メンテナンス用かもしくは貨物運搬用の列車があるかもしれません。

 サーバーにアクセスをして探してみます』

 

「ん。なら私は近くを探索しとくよ」

 

『お願いしますレイヴン』

 

 そう言ってエアが静かになり、レイヴンは適当に辺りを散策し始めた。

 ベンチの下を覗けば硬貨を見付け、ゴミ箱に顔を突っ込んでみれば雑誌が。

 そして、おそらく警備員の待機室らしき部屋を見つけ中にあるロッカーや棚などを漁ってみれば、ナイフにアサルトライフルとショットガンやマシンガン、各種弾薬やマガジンにショルダーホルスターなどといった武器類、加えて地上の周辺を記した地図に幾らかの現金の入った財布や外套、ボストンバッグなどといった日用品を見つけることが出来た。

 

「ん、ラッキー」

 

 状態を確かめれば特に動作不良は見えず、弾薬もいくつかはダメになっていたが問題なく使えるのがそれなりにあった。

 早速レイヴンはシャツの上からショルダーホルスターを装備して拳銃を仕舞い、その上に先ほど見つけた外套をナイフで腰部分に切込みを入れて羽を通す穴を作って羽織る。

 バッグには見つけた銃や各種弾薬や雑誌を突っ込み肩に下げ、レイヴンは用は済んだとばかりに待機室を出る。と同時にエアの交信が届いた。

 

『レイヴン、幸いなことに1両だけ貨物運搬用の列車を見付け、既にこちらに向かわせています』

 

「流石エア。早いね」

 

『レイヴンはなにか収穫がありましたか?』

 

「ん。沢山銃と弾薬を見つけたよ。あとお金と地図に雑誌」

 

『それは良かったです。サーバーで見つけたのはこの施設の見取り図だけでしたからね』

 

 流石に行く宛てのないままやるのは不味いと思っていたため、ここで地上の地図を見つけることが出来たのは幸いだった。

 そうしていると線路を走る列車の音が聞こえ、下の方向からライトの光が見えると、程なくして1両の無骨なデザインの列車がレイヴンの前に停車、入口の扉が自動で開く。

 

『それでは行きましょう。デート(遠足)の時間です』

 

「なんかニュアンス違くない?」

 

『気のせいです』

 

「…………そっか」

 

 追求することは敢えてせず、レイヴンは運転席に乗り込み座席に座る。

 

「じゃあ出発しんこー」

 

 レイヴンが言えば微かに揺れ、列車が登り始めた。

 地上に着くまでレイヴンはエアと話したり拾った雑誌を読んだりと時間を潰すのだった。

 

 

 

 時間にして1時間ほどだろうか目的地の駅にたどり着き、列車は停車した。

 レイヴンは凝った体を解しつつ、人の手の入ってない荒れた構内をエアの案内や地図に従い進み、外へと出る。

 

「廃墟だね」

 

『朽ちようから見て随分長い間経ってるみたいですね……』

 

 目に映るのは全てが朽ち果て、植物に飲み込まれた廃墟の街だった。

 自然の雄大さと何処か寂しさを感じる景色をレイヴンは無感情に見つめ、エアは感慨深いため息をこぼす。

 

「地図を見た限りここから北東に向かえば別の都市らしい」

 

『道中、建築物の崩落が有り得ますから気をつけて向かいましょう』

 

「ん」

 

 広げていた地図を外套のポケットに突っ込み、地面に下ろしていたバッグを掴んでレイヴンは歩き出す。

 ルビコンにいた時には見たことの無いものを見つけてはエアがレイヴンに尋ねたり、空に浮かぶ巨大なリングをエアと共にあーでもないこーでもないと考えたりしてれば遠くに市街地が見え始めてきた。

 

『あ、レイヴン! 街です。どうやら廃墟ではないみたいですよ』

 

「ん、見えてるよ。さすがにずっと徒歩だと疲れる」

 

『休憩できる場所があるといいのですが』

 

「ホテルくらいあるよ」

 

 無かったらさすがに困る、レイヴンは言外に語り疲労感のある足に喝を入れ、進路を定めて歩き続ける。

 

 ようやく辿り着いた都市は近未来的で、何処と無くザイレムと似たような雰囲気を感じた。

 といっても、あそこと違いECMフォグによる濃霧も無ければ物騒な自立兵器たちも居らず、道路には車が走りきちんと住人もいて活気もある。

 

「『……』」

 

 そして、2人は住人たちを見て絶句してしまう。

 

『レイヴン、犬が服を着て歩いています』

 

「猫もいるよ」

 

『ロボットがスーツ姿でなにやらペコペコしてますね……』

 

「私と同じで頭に輪っかがあるのもいる」

 

『あ、爆発しました』

 

「あっちでなんか銃撃戦してるね」

 

「『…………』」

 

「エア」

 

『……なんでしょう、レイヴン』

 

「なんだか凄いところに来たよ」

 

『ええ、はい。私も思ってたところです』

 

 遠くで響く爆発音。空に舞う様々な瓦礫や人影。

 レイヴンがそっと空を見上げれば、何処までも青く透き通った綺麗な青空が見えた。現実逃避とも言えるだろうが、それを突っ込む気はエアには起きないのであった。




続かないです
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