行き先失い、大量の在庫に…長崎・雲仙市のふるさと納税除外、返礼品の生産業者が窮状訴え
長崎県雲仙市が、県内自治体で初めてふるさと納税の制度から除外された。返礼品の調達や送料、仲介業者への手数料といった募集費用を寄付額の50%以下にするという国の基準に違反したのが理由だ。除外は9月30日から2年間。返礼品を生産していた業者は行き先を失った大量の在庫を抱え込むことになり、困惑している。 「返礼品にと思って植え付けた分を売らないと」 雲仙市南串山町のジャガイモ畑。成長した県産品種「デジマ」の株を見詰めながら、生産者の寺田裕介さん(49)は自分に言い聞かせるように話した。 デジマの普及を目指して生産者仲間とプロジェクトチームを立ち上げ、2020年から返礼品を取り扱うようになった。翌年にはポータルサイトのジャガイモ・サツマイモの部で全国1位になる人気だった。今では年間35トンを返礼品向けに生産している。除外の影響は避けられない。 収穫期は12月以降。丹精込めて育てた返礼品の作物をどう売っていくのか頭を悩ませる。「イベントに積極的に出店する。ネットでの販売量も増やしたい」 雲仙市は昨年6月、23年10月から1年間の募集費用の比率について、実際は56・2%だったのに、基準内の49・4%に納まるとする誤った見込み値を総務省に報告していた。仲介サイト1社分の経費を募集費用に計上していない「単純な集計ミス」(金澤秀三郎市長)が原因だった。 市内では農業、畜産、水産などの1次産業が盛ん。返礼品に151の事業所が関わる。生産者からは「2年間出荷できないのは痛手」「従業員の休みが増える。シフトを変えないといけない」などと窮状を訴える声が上がる。 市は先月26日、事業所向け説明会を開催。市によると39社が参加したが、補償を求める声は上がらず「市に相談する場がほしい」との要望が出た。市は協議の場を設ける方針だ。 市の24年度のふるさと納税の寄付額は約7億9600万円。市の歳入は2年間で約8億円減る見込みだ。 市によると、今月7日までに電話やメールなどで計62件の意見が寄せられた。「責任は誰が取るのか」「8億円の損失をどう考えているのか」といった苦情が10件。「雲仙を応援していた。残念だが頑張って」などの激励が26件、「返礼品は届くのか」といった問い合わせが26件だった。 市は今後、詳細な原因や経緯を調査する第三者委員会を設置する。弁護士ら委員の人選を進め、月内にも発足させたい考えだ。