Blue Archive ─To raven.Welcome to the kivotos.─ 作:タロ芋
登場キャラみんなから愛される(´-ω-`)フム
コーラル波形が皆女性(´-ω-`)フム
トリガーの引き金が軽い(´-ω-`)フム
透き通ってきた、透明な気分だ(´-ω-`)フム
真エンドでウユニ塩湖(´-ω-`)フム
よし、実質ブルアカだな!!
『見てくださいレイヴン。美しい光景だと思いませんか?』
ACのコクピットモニターに移る光景。
赤く、黒く、巨大なナニかが深紅の光波を放出する禍々しくもどこか美しさの感じられる現象。
それを見て、実体を持たないがソコに居る自分の友人は感慨深く言う。
そして、その光波は自分たちを飲み込み意識はそこで途絶えた。
『レ……ン……き、だ……い』
声が聞こえる。
暗闇に沈んでいた意識が徐々に浮上していく。
『レイ……ン。お……てく、さ……』
それに釣られ、体の感覚も明瞭となる。
『レイヴン、起きてください』
「……ん、今起きた」
友人の声に答え、瞼を開く。
何度か瞼を瞬かせてぼやけていた視界が明瞭となっていけば体をゆっくりと起こした。
「……エア、どれだけ意識を失っていた?」
『恐らくは1時間ほどかと。調子はどうですか? コーラルリリースが成功したみたいですが……』
「……平気。特にこれといった違和感は無いが」
周囲を見渡す。
目をこらさなけれ見えないほど薄暗い部屋。広さは程々でその中心にある手術台のようなものに自分は寝かされていたみたいだと、強化人間C4-621ことレイヴンは見当をつける。
とりあえずは降りよう、レイヴンは体を動かし手術台から足を下ろし歩こうとすれば。
ズルッ
「あうっ!?」
『レイヴン!?』
ビターン
何かを踏みつけ、勢いよく転んでしまいレイヴンは顔面から硬い床に激突し悲鳴をあげる。
エアが慌てたように声をかけるが、レイヴンはピクリとも動く気配はない。
こんな時に物理的な肉体がないことに歯がみし、エアはレイヴンの反応を待つことにした。幸いにもバイタル等は正常値なためそこまで心配することでは無いがそれでも気が気では無い。
「……た、い」
『ッ! レイヴン、どうしました?』
「いた、い」
程なくしてレイヴンのか細い声が聞こえ、エアは安心しつつレイヴンに聞けば。
「すごく、いたい……」
『痛い……ですか?』
「ん……前まで痛みなんて無かったのにすごく痛い。それに……」
レイヴンこと強化人間C4-621は脳を焼かれ、ACを操縦するための機能以外殆どを消失している。それは痛覚や触覚も含んでおり本来だったらこんな反応を示すことは無かった。
けれど、今はぶつけた額からくるズキズキとした痛みに悶え声もどこか震えているように聞こえる。
「なんだか視線が低い?」
『言われてみれば確かに……』
レイヴンとエアは交信し、視界などを共有している。そんな彼の言葉にエアも普段より見える景色の高さが低くなっていることに気がつく。
小さなことに気がつけば様々な気づきも得る。
「……声もなんだか、違う」
低かった声は幼げで高い音質となり、手や足の大きさも小さくなっていた。
何となく嫌な感覚を覚えつつ、レイヴンは立ち上がり近くになにか無いかと周囲を見渡せばちょうどよく鏡を見つける。
レイヴンはペタペタと足音を鳴らしつつ、近づけばゆっくりとその鏡を覗きこんだ。
床に広がるほど伸びた色の抜け落ちた艶のない長い灰色の髪。頭頂部にある2つの獣耳。垂れ目な感情の見えない赤い瞳。横一文字に閉じられた唇。
細い首筋から傾らかな肩。そこから下に向けられれば豊かな双丘。更に腰あたりから生えた黒い翼が見えればレイヴンの視線はどことなく険しくなっていく。
そして、股間部分にいけば開口一番レイヴンは呟く。
「…………私のバスキュラープラントが無い」
『……レイヴン、最低です』
「ごめん」
どことなく冷えたエアの声にレイヴンは平坦な声で謝罪した。
「コーラルリリースというのは性別が逆転する計画だったのか?」
目が覚めたら少女になっていた。簡潔に表せばそんな感じだ。訳が分からない。
裸だったレイヴンだが、今は薄汚れた毛布を体に巻き付けパイプ椅子に座っている。
今は亡きオールマインドに問い詰めたい気持ちだが、当の本人?(本AI?)はレイヴンとエアがとうの昔に破壊したために叶わない。
『どうでしょう……いくらポンコツなアレとはいえそんなふざけた計画ではなかったと思い……たいですが』
どこか自信の無さげなエアの声にレイヴンは何も言えなかった。
思い出すは数々の失態のあれやこれ。特に酷かったのはザイレムの制御奪取の為にけしかけたMTをカーラにカウンターでハッキングされ防衛戦力として再利用され、自分でどうにかなると思ったのか、最後の最後の本当のギリギリまでリカバリーしたがどうにもならなかったこと。
結局、計画のためにスリープ状態にしていたレイヴンを叩き起せば五分以内にハッキング装置を破壊しろと言ってきた時だ。加えて、その装置の場所は分からないときた。
思わず何言ってんだこいつ、と思ってしまったレイヴンは悪くない。というか実際に思わず言ってしまった。
そして、コーラルリリースは極限まで圧縮させたコーラルによりマイクロブラックホールを発生。ホーキング放射により一気に全宇宙に拡散させて向こう側へと行く……という内容だ。
ここでくるのがオールマインドというのは人を見下して舐め腐ってる割には計画に所々穴があるしガバガバのところがあるという完璧で究極なAIなのである。つまり、なにか計画に不備があってもおかしくないというのがレイヴンの推理だ。
でなければこうして訳の分からない状態になってる理由がつかない。
性転換して少女になっただけでも属性過多だというのに獣耳に加えて翼も生えてるなんて、積載超過に加えて腕部積載超過のEN容量不足である。あまりにも高カロリーで胸焼けがしそうだ。
「それに、この頭のコレはなんなんだ? 天使とでも言いたいのか?」
『私は可愛らしいと思いますが……?』
「そうか……?」
レイヴンは自分の頭部より上の位置を見やれば見えるソレに対して胡乱げな視線を送る。
赤い外郭から中心に行くにつれて黒くなっていく球体。それを中心に惑星を廻るような輪っかという物体がそこにはあった。
試しにレイヴンが手を動かして触れて見ようとするが、ソレはレイヴンの手から反発するように僅かに動いて触ることが出来ない。
何から何まで不可解だ。
けれど、こうして何もせずに手をこまねいている暇はない。
レイヴンは手をおろし、パイプ椅子から下りれば部屋の出口と思える扉へと向かう。
右手にはこの部屋の中に無造作に放置されていた拳銃が握られており、既に安全装置は解除されていた。
「エア、オペレート頼める?」
『勿論です。私は貴方のパートナーですから』
「ん」
誇らしげな友人の声に頷き、レイヴンは扉に耳を当て聞き耳を立てる。
数秒ほど待つが外に音はしない。ドアノブに手を置き、ゆっくりと回して開けば隙間から外を覗いた。
部屋の外は薄暗い通路であり、その先が見えないくらいまで続いていた。
意を決してレイヴンは扉を開け放ち、前後に素早く銃口を向け索敵。1秒、2秒、3秒と経ち何も来ないことを確認。僅かに警戒を解いてレイヴンは銃口を僅かに下ろした。
『どうやら誰もいないようですね……』
「ん。出口はどこだろう?」
『……ハッキングを試みましたが電気が通ってないようです。手探りで探索をするしかないようですね』
「気にしないで」
ハッキングが得意なエアとはいえ、ハッキング元が動いてなければ話にならない。
申し訳なさそうに言うエアを慰めつつレイヴンはその場にしゃがむ。
長い時間放置されていたからかホコリが溜まっている床を注視してみれば微かだが足跡が見え、その向きはレイヴンから見て前方に続いていた。
「あっちいってみよう」
『警戒は怠らずに向かいましょう』
「ん……」
『どうしましたレイヴン?』
「敵」
『ッ、気をつけてくださいね』
長い廊下を歩いていれば、唐突にレイヴンは立ち止まる。
そんな様子にエアが尋ねればレイヴンが答えた。
エアからの気遣う言葉に小さく頷きつつ、レイヴンは拳銃を構えて待つ。
数秒後にソレは現れた。
大きさとしてはレイヴンの膝丈ほどの四角い体。下部には小さな足らしきパーツと側面には折りたたまれたマニピュレーターらしきパーツ。目を思わせる縁どりされた内側に黒いセンサーらしきパーツの着いた、どこか愛嬌の感じられるデザインの小型ロボットがそこにはいた。
数メートル程の距離、互いに見合う。
「…………」
普通だったら失笑しているような存在を見てもレイヴンは警戒を緩めず、それどころか更に引き上げる。
張り詰めた空気の中で先に動いたのはロボットだった。
マニピュレーターを展開し、見た目通りの俊敏な動きでレイヴンに向けて駆け───顔面にいくつもの弾痕を作り出し停止した。
「ふぅ……」
『お見事』
「ん、エア。データ回収できる?」
『任せてくださいレイヴン』
硝煙登る銃口をおろし、一息つく。
レイヴンは後続が来ないことを確認すれば素早くロボットに近づきエアにロボットの内部データを解析してもらう。
ようやく自分の出番が来たからか見えない友人がムンッと両手を上げてる姿を幻視しつつ、彼女からの報告を待つ。
『……データ解析完了しました。幸運なことにこの施設の見取り図やロボットの巡回ルートなどが見つかりましたよレイヴン』
「投影お願い」
『分かりました』
視界にいくつかの図が現れ、現在地らしき赤点が付け加えられる。
『どうやらココは何かの研究施設だったようで、随分と昔に放棄されて久しいみたいですが……
幸いと言うべきか施設維持のためのメンテナンスのロボットやMTなどが稼働してるみたいです』
「……少なくともその機械たちを動かすための充電場所や指示を出すサーバーみたいなところがあるってことか」
『そういうことになりますね。この小さなロボットを解析した限り中枢サーバーの電力が生きているみたいでそこから指示を出しているみたいです』
「そっか……。じゃあサーバーのあるところに向かおう」
『分かりました。目的地へとナビを行います』
唯一の武器と言える拳銃の残弾は装填されているマガジン内の弾丸だけで、さっきの小型ロボットで3発使い残りは9発。
何が来るかは分からないために無駄遣いは出来ないのだ。
視界に目的地へのマーカーが表示され、レイヴンは確りとした足取りで歩き出した。
道中何度か同じタイプのロボットと遭遇しそうになったが、エアの的確なナビのお陰で回り道をしつつも目的地へとたどり着くことが出来た。
重厚な扉は固く閉じられ、本来だったら誰も通すことは無かっただろうが今回は相手が悪かった。
実態を持たない情報生命体であるエアにとって、電子的な方法で閉ざされているものなど楽な獲物でしかない。
ものの数秒でロックは解除され、長い間誰も中に入れることのなかった空間にレイヴンは足を踏み入れる。
かなり広い室内は照明が落とされて暗く、いくつかの機械のランプの光点が明滅していた。
その中を迷いなく進み、レイヴンは目的のサーバーらしき大きな物体の前に立つ。
レイヴンは手のひらを表面に当て、口を開いた。
「エア、お願い」
『はい。すぐに済ませますね』
『──警告、不正なアクセスを確認。迎撃システムをきど……ドドド────アクセスを確認。システム管理者権限を移行します。
お帰りなさいマスターエア』
「さすがエア」
『フフッ、何度もやっていれば得意になりますからね。この程度お茶の子さいさいです。今なら衛星砲だってハッキングできますよ』
レイヴンからの賞賛の声にエアは嬉しそうに言い、二人の間にどことなく暖かな空気が流れるのだった。
続くかもしれないし続かないかもしれない