我は汝、汝は我……
汝、今此処に契約を*:%$2<…\€#->☆÷#○々〜[・^=°/-*→<々^:#*<♪
ペルソナの覚醒、とは。
それは理不尽を覆す叛逆の心であり、目を逸らし否定していた自身の一面であり。
———避けられぬ死への克己心である。
その力を持つ理由は、退屈から抜け出したい冒険心であったり、怒りゆえの正義感であったり、向き合いたい真実の為であったりと様々。
しかし総じてそれらは、全て眼前のものを守り、救う為の力である。
そうして頭の奥に鈍く響く機械を通した声は、的確に私の心を抉ってゆく。
『汝は
———私ってそんなに死に急いでるように見える?
痛みで鮮明になった視界の先、蠢く影に塗れた娘に自分の姿が被る。
『左様。
———どうして貴方までそんな言い方をするの?これじゃあ、私がやっていた事が無意味だって罵倒されてるだけじゃん。
その眼前の自分は、顔に無骨な仮面を付けていた。
『そうして逃げるだけならば、汝だけは楽だろうな。だが、そうでは無いのだろう?』
———何が言いたいの?
此方の方を強く睨み、指が白くなる程にその仮面を力強く掴む。
『大人という立場に連なる責任と、親という立場の責任。今の汝には、その何方もが足りていない』
———だから、契約をって?
そうして私は名前を呼んで、その仮面を——————
『左様。地を這い死に行く命を奮わせ、今こそ勝利を———』
痛みも私の姿も、その一言で全てが嘘のように消え去った。
『———何故』
息を呑んだ声の主は未だ姿を見せないまま、短く呟く。
「急に現れて何だと思ったら、何様か知らんが散々な言いようだ」
ダンッ、と右手を立てて身体を持ち上げる。
「———ゴフ」
軋む身体と鈍痛に血を吐き意識が遠のくものの、【不屈の闘志】を咄嗟に発動して体力を元に戻す。
「……あの子が代わりに死ねば良かったみたいな事を言ったが、言わせて貰おう」
膝に力を入れて立ち上がる。
「命の価値を、貴様如きが勝手に測るな」
『……ならば、何故我との契約を
「それこそ貴様の勘違いだ」
ジャラリ、と鎖が跳ねて飛んできた銃が手に収まる。
口の中に残った血を吐き捨てて、静かに銃を腰に仕舞った。
「……
「今も、これからも、私に
『———クク、ハハハハ!!不要と言うか、この我を!死への覚悟も、隠されし本性も、叛逆の心も!!』
「今目の前に居るのは娘だ、
一歩ずつ那月との距離が縮まる。
先程よりも優しい眼差しに、私の選択が間違っていなかった事を理解した。
「だから———貴様はイゴールの所にでも行っていろ」
『……契約を捨て、己の心のみで立ち上がる汝の姿に、敬意を表そう。我は、善きものを見せて貰った』
「そうか。
頭に接触するスレスレを通り抜けた触手が、私の頭巾を払い落とした。
『———相分かった。元より此身は否定されたもの。ならば潔く退くのが道理よ』
一歩近付けば、あれ程動いていた極彩色も鳴りを潜めていく。
そうして青い蝶が淡い光と共に消えたと同時に、私と那月はゼロ距離で相対した。
蠢く触手が此方を攻撃しないのは、那月が頑張っているからだろうか?
それならば、親の私がすべき事は———
「……那月」
細い身体を優しく抱き寄せる。
「逢いに来てくれて、ありがとう」
こんなに震えて、寒かっただろうに、
「ぉ、かぁ、さん」
私の体温を共有して、ゆっくり眠れるように。
「お母さん、まだやる事があるんだ。那月の代わりに、色んなものを見てこなきゃいけないの」
寝かしつけるように背中を優しく叩いて、首元に顔を埋める。
「私が
「———う、ん」
「今度は、ちゃんと貴女のお母さんになれるように……だから、待ってて」
きゅ、と背中に腕が回される。
弱々しくて、でも遠慮しなくて、そういう仕草はあの時から全く変わらない。
「おかあ、さん」
掠れた懐かしい声に、埋めていた顔を上げて向かい合う。
至近距離で見た那月の顔は、やっと帰る家を見つけた子供のような安心した顔だった。
「———あいしてるよ」
「……うん。私も、あいしてる」
———力の抜けた身体は、一目見れば眠っているようにしか見えない。
そんな身体を抱き上げて、寝かしつけるように背中を優しく叩く。
そうしながら見えるがままに通路を進み続けて数分、終わりは割とすぐに見えた。
『先生!早く脱出シーケンスを……』
「"……いや、使うべきなのは……
断続的な振動と、先生の声が聞こえる大部屋。
開きっぱなしのその広場に入れば、先生が丁度此方を振り向く所だった。
「"———死神"」
「先生、そっちは終わってたんだ」
いつもと違う自分の喋り方に一瞬だけ驚いた先生の視線が、次に抱き上げられた那月へと向く。
でもだらんと落ちた手を見て、那月がどのような状態かをすぐに理解したらしい。
「"……そうだね。私の方も終わって、今から帰還するところ……なんだけど"」
……ちょっと申し訳なさそうな顔をしている辺り、自分の脱出シーケンスを他人に使ったのだろう。
「……大丈夫、これを使って」
先生らしいな、と思いながら片手に銃弾を生成する。
これは【トラエスト】のスキルを付与したもので、スキル名を宣言すれば自分の帰る場所に帰れるだろう。
指で弾いて先生に受け取らせ、そう言うと先生は私に聞いた。
「"死神は一緒に戻らないの?"」
「少ししたら戻るよ。でも……その前に、『死神』としての仕事が残ってるから」
そうして先生の横を通り抜けて、仰向けに倒れている
「先に戻ってて。すぐ行くから」
「"———わかった。じゃあ、また後で"」
トラエスト、と唱えた先生が光に包まれてこの場から消える。
きっと、ちゃんと地上の乗船員達の元へ帰れただろう。
それを見届けてから、那月の身体をプレナパテスの隣に寝かせる。
「———すまない、プレナパテス。貴方の時間を、少しだけ私に頂きたい」
死神として『魂送り』をする過程の、魂との対話。
少しだけ間が空いて、プレナパテスの亡骸からスーツを着た半透明の男性が現れた。
『…………———私、は』
「眠ろうとしていたところを、申し訳ない」
視線を宙に漂わせていた彼が、ゆるりと此方を向く。
『……貴女は?』
「……貴方に、私から一つ依頼したい」
でも、生徒の為に選択した先生なら。
生徒の為に、生き抜いた貴方ならば———
『……いいよ、どんな事?』
きっと、優しい笑顔でそう言ってくれるから。
刈り取るさんはペルソナの覚醒を否定しました。
覚醒する展開を待っていた方はすみません。
でも元から刈り取るさんだったら覚醒しないなって確信が私にはあったので、そのように進めることになりました。
書いてる途中で感情移入してボロクソに泣いたのは内緒
もしここでペルソナを覚醒させていたら、那月ちゃんにくっついていた色彩を殺すと共に那月ちゃんも道連れにしてしまい死神さんの精神が完全に壊れるバッドエンドに直行します
そうなると錯乱する中で船諸共バフ盛り盛りの【明けの明星】で消し飛ばして先生と生徒を皆殺しにし、その余波がキヴォトスに降り掛かって地上で災害が発生します
次回、最終編完結(間話除く)。
【不屈の闘志】
戦闘中にHPが0になった時、一度だけHPを全回復して戦闘に復帰する
【トラエスト】
指定場所に必ず転移する
随時更新の刈り取るさんのデータベース(更新に時間が掛かります)↓
https://syosetu.org/novel/349213/1.html
なんか刈り取るさんにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=315528&uid=276197