最推しの羽川翼と付き合いたい   作:羽川翼はヤベー奴

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前から書いてみたいと思っていたので、これから時間ができたときに書いていきます


【ただのダック】
001.超天才美少女眼鏡巨乳委員長


 俺は死んだ。一度、確かに死んでしまった。

 

 今はもう周知されているトラック転生なのだと言えば、分かって貰えることだろう。最期に感じた激痛の中に沈んでいく感覚こそが、死ぬ感覚ということだけは記憶している。思い出したくはないけどな。

 命が途絶えるその無慈悲さを知ったにも拘わらず、それでも生きたいと思ってしまったからか、幸運にも第二の生を与えられたようだ。

 だが、転生というのはありえるのだろうか?俺には分からない。だから、分かる人に尋ねよう。

 

「一つ、尋ねたいんだけど、魂の流転……つまりは、転生というのはあると思う?」

 

「うーん……なかなか哲学的だね。分類としては超心理学になるけど、その分野の研究は立証の難しさに対して、実益へ結び付きにくいから研究が進んでいないんだよね。

 私から言えることがあるとすれば、テスト勉強をしながら次の人生のことを考えちゃうことの方が心配だな」

 

「……はい、ごめんなさい。頑張ります」

 

 目の前に居るのは長い黒髪をおさげに結んだ上に、眼鏡まで掛けている理想的な品行方正の美少女羽川翼。

 そこに加えて、その美貌に推定Gはあるだろう胸部装甲も合わさり無敵に見える。

 品行方正。容姿端麗。温厚篤実。博覧強記。

 

「(……こんな隙がない完璧美少女を振る奴がおるとかマジ?美少女で巨乳だよ?)」

 

 まあ、真実は余りにも完璧すぎたからっていうのが、実に羽川さんっすわ。あと、告白を先にされたこと。

 

「(家庭環境が崩壊気味ってのも庇護欲(くすぐ)らない?好きだわー……将来テロリストになっちゃうヤベー奴だけど、視聴した全アニメ作品の中でも最推しです羽川さん)」

 

 サブカルチャーまで知識を伸ばしていて、絵に描いたような堅物というわけでもないのが、さらに素敵なんだよ羽川さんは!(断言)

 ……おっとっと、落ち着け落ち着け。ベリークールだ俺。羽川さんにキモがられたら死ねる。

 

 それはそれとして、おっぱい揉みてぇ~~~~!

 

「(ハッ!いかんいかん。クールクール。俺は陽キャクールナイスガイなのだから)」

 

 前世で生きていたとき、友達からずっと昔に流行ったアニメを勧められた。そして俺は物の見事にその異質な世界観に魅了されてしまったのだ。

 世界観、キャラクター、セリフ回し、そして独特なアニメーション。その何もかもが噛み合っていたその作品に心を奪われた。

 

 だから、この世界に転生したことはこれ以上ないほどの幸運だと思った。

 

 好きな世界に生まれ、好きなキャラクターが多く居て、そして全作品の中で唯一の推しキャラである羽川が居る。それも幼馴染みの同級生として。

 こんな幸運が果たしてどれだけの確率なのだろうか。歓喜の余り生まれて初めてブレイクダンスをしながら神様に深く感謝をした。

 

「(それからは、地道な努力の積み重ねの毎日だった)」

 

 幼稚園で友達になるために話し掛け続けて毎日喋るようになった。思いの外、友達になること自体は簡単で少し拍子抜けしたぐらいだ。

 だが、そもそも話だけど羽川は友達が少ないわけではなかった。そのため、別に友達になったからといって、特出して何かがあるわけでもなかったのが現実だ。

 

「(……羽川って阿良々木や戦場ヶ原ばっかり喋ってたけど、単純にモブキャラとの会話とか描写されてなかっただけか。まあ、胸が大きい美少女の時点で男は寄ってくるわな)」

 

 高校の文房具を人に突き付けるツンドラ時代の戦場ヶ原や、『人間強度が下がるから』とか言ってた阿良々木に、友達との会話がないことは自然だけど、羽川まで同じ様にその他の友達がいないわけがない。

 

 それからは、もう色々と頑張った。

 前世で特別やりこんでなかった勉強もめちゃくちゃ頑張って、羽川の隣に立っても恥ずかしくない男になるために、運動はもちろんコミュ力だって頑張って伸ばしに伸ばした。

 

 まあ、それでも羽川にテストの成績で勝つことはできなかった。『ケアレスミスって憧れる』……そんな言葉言ってみてぇよ……。

 

 羽川がクラス委員長になれば、率先して副委員長になってサポートしたし、家族のアレコレがあり家になるべく居ないようにするために、散歩することも知っていたからそれに付き合ったりとかした。

 というか、家に呼んだりもした。

 

 へへっ、家で何をしたかって?言わせんなよ恥ずかしい…………勉強だよ。ずっと勉強だよ。そんなに楽しいか?勉強って。

 平均点94点の俺に言いましたね。

 

 羽川さんあなたは言いましたね。『もぉ、それは甘えだよっ、だってあと6点も伸び代があるじゃない』……と。

 

 つまり、平均点100点を取れと?恐怖を……いや、狂気を感じたね。平均点100点が当たり前の人の感覚って分からん。

 

 そんな幼馴染みとして10年近く一緒にすごしていた俺は、羽川翼とこうして仲良く教室で勉強会を開いている。幸せだ。

 学生のうちにイチャイチャしまくって、最後は末長く幸せな結婚するんだ───なんてことを少しでも思っていた俺を殴り飛ばしたい。

 

「うん?……あっ、阿良々木君だ」

 

「ん?羽川じゃん。只野と勉強か?」

 

「うん、最近は阿良々木君の妹ちゃんの火憐ちゃんも通ってる、実戦空手に集中していたみたいでね。このままだと平均点が80点くらいになっちゃうから、勉強を教えてくれって言われちゃってね」

 

「……そう言えば、火憐ちゃんがそんなこと言ってたな。『天翔兄ちゃんが段位を上げるためにすごく頑張ってる!』とかなんとか」

 

 阿良々木が話し掛けるとにこやかに羽川は答える。……そんな顔をしたことなんて俺には一度もないのに。

 

「さすがは羽川だな。あの只野に勉強教えられる奴なんかそうそう居ないぜ。まあ、只野も只野で文武両道を実現しようなんて、なかなかできることじゃないけどな」

 

「……別に俺は普通だよ。二人に比べたら全然たいしたことないって」

 

 本当にやってられない。

 勉強も運動も人間関係も最低限の戦闘能力まで頑張って、頑張って、頑張り続けて…………俺は羽川翼を振り向かせることができなかった。

 何もかもができるなんていうつもりはない。それでもほとんどのもので90点以上の成果を出せると断言できる。

 それほどまで自分を虐め抜いて鍛えてきた。

 

 

 それでも、羽川翼は阿良々木に惚れた。

 

 

「(あーあ……やってられない。どうしろってんだよこれ……)」

 

 ここまでやってダメだった。原作主人公には逆立ちしたって勝てない。つまりは、そういうことなんだろう。

 俺はどれだけ死ぬ気で頑張ったとしても『秀才』止まりで、『天才』の羽川にも『特別』な阿良々木とも、並ぶことなんてできなかった。

 

 だが、一番どうしようもないのはそんな羽川のことがまだ好きだということだ。




モブがどれだけ頑張ったって、選ばれし主人公様には絶対に勝てない。これが真理なのです。

文武両道の高身長イケメン幼馴染みでも、羽川さんはキッパリと振るに決まってんだよなあ?(迫真)
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