10月10日、イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意に基づき一部地域からの撤退を開始した。写真はガザで同日撮影(2025年 ロイター/Ebrahim Hajjaj)
[エルサレム/カイロ/ワシントン 10日 ロイター] - イスラエル軍は10日、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意に基づき一部地域からの撤退を開始し、強制的に避難させられていた数千人の住民が自宅に戻ろうと移動し始めた。
イスラエル軍は停戦合意が現地時間正午(日本時間午後6時)に発効したと発表。ただ、イスラエルのネタニヤフ首相は演説で、トランプ米大統領の和平計画の今後の段階でガザの非武装化とイスラム組織ハマスの武装解除を確実にするためイスラエル軍はガザに留まると述べた。「これが容易に達成されれば良いが、そうでなければ困難な方法で達成することになる」と述べた。
ガザ停戦合意を受け、トランプ大統領は今週末に中東を訪問する。米ニュースサイトのアクシオスによると、トランプ氏は12日に予定するエジプト訪問中に、世界の首脳らを集めパレスチナ自治区ガザに関する首脳会議を開催する。独仏英のほか、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、サウジアラビアなどの代表者の参加が見込まれるという。
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停戦が発効したことで、ガザ地区南部ハンユニスではイスラエル軍部隊の一部が国境に近い東部地域から撤退。ただ、住民によると戦車による砲撃があったという。中部ヌセイラトの難民キャンプでは、一部のイスラエル軍兵士が陣地を撤収して東側のイスラエル国境に向かった。ただ、10日未明には銃声も聞こえ、別の部隊は現地にとどまっている。
イスラエル軍は地中海沿いでガザ市へ通じる道路からも撤退した。ガザ市では救助隊員がこれまで立ち入れなかった地域で活動を開始し、医療関係者によると、過去の攻撃による少なくとも10人の遺体が収容された。
停戦発効を受け、国連児童基金(ユニセフ)はガザ地区への食料搬入ルートとなる全ての検問所を開放するよう要請。国連世界食糧計画(WFP)によると、援助の規模が拡大されれば毎日約600台の援助トラックがガザ入りする見通しという。
WFPは来週初めにも支援物資の搬入を拡大し始める見通しだが、人道安全地帯を拡大するにはイスラエル軍の撤退が条件となる。 WFPの緊急事態担当ディレクター、ロス・スミス氏はロイターに対し「停戦合意により、145カ所以上の配給拠点が確保される」と述べた。
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国連高官は9日、国連は停戦開始後60日間で人道支援物資の搬入を強化すると表明。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、3カ月分の食料が搬入待ちの状態にある。
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