野党時代も含めて26年間続いた自民、公明両党の協力関係に終止符が打たれた。対立しても最後は自民に追従して「げたの雪」とやゆされてきた公明は、派閥裏金事件の逆風に巻き込まれ、昨秋の衆院選と今夏の参院選で大敗して不信を募らせていた。自民の高市早苗総裁が公明嫌いで知られる重鎮や裏金議員を登用し、国民民主党との連携協議を優先させたことで、積もり積もった不満が一気に限界を超え、たもとを分かつことになった。(井上峻輔)
◆1年議論した要求に対し「まだ就任したばかり」と時間稼ぎ
「まだ就任したばかりだ。これから検討するから時間がほしい」。高市氏は10日に国会内で行われた自公の党首・幹事長会談で、公明が求める政治資金の規制強化に最後まで同意せず、党内に持ち帰って協議する考えを繰り返した。
公明の斉藤鉄夫代表らは「国会日程が迫っている。1年間ずっと検討してきた話だ」と訴え、同意しないなら連立離脱の方針を伝えた。約1時間半の会談を終えた自民幹部は「結論ありきだった」とこぼした。
◆政治とカネ問題、本気で取り組めば「基盤が崩壊する」自民
自民の右傾化を懸念する公明は連立の条件として、靖国神社参拝や外国人との共生の問題への対応に加え、企業・団体献金の大幅な規制強化と裏金事件の全容解明を突き付けた。「政治とカネ」の問題に後ろ向きな自民にとって、要求は「党内の基盤が崩壊する」(高市氏周辺)ほどの厳しい内容と受け止められた。
政治とカネは自公の懸案ではあったが、連立と絡めては語られてこなかった案件だ。突然の態度硬化の背景を公明幹部は「参院選の結果のインパクトがそれほど大きい」と指摘する。
公明は参院選で埼玉、神奈川、愛知で現職が落選するなど過去最低の議席数となる惨敗。政治とカネの問題は敗因の一つで、斉藤氏は「不記載は公明の問題ではないのに代わって説明するのは『本当に疲れた』と全国から聞いた」と党員の思いを代弁する。
◆「離脱すればいい。こまるのはあいつらだ」
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