宝箱からコンニチハ‼︎なんてしない   作:珱瑠 耀

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使用スキルは筆者の癖です


こういう使い方をさせたかった


殺し損ねたりなんてしない

「このノイズ…っ!通信が!?」

 

「態々、時間をくれて…ありがとう。お蔭で、()()…が、使えた」

 

パチン、と指を鳴らせば、それらは音も無く現れる。

 

広がりきった水面のような波紋と、その周囲に舞い落ちては消えるカラスとも似つかない真っ黒な羽々。

 

「【闇夜のドレス】……貴様は、もう…逃げられないし、逃がさない

 

曾て、こことは異なる世界の地球に襲来したとされる、惑星を喰らうという超存在———Nyx(ニュクス)の一部である、【ニュクス・アバター】が使用した絶対的な守りの力。

 

この教会を囲むように展開されたドレスは、外へ行こうとする存在を正しく闇でもがかせるように拒む。

 

通信も途絶えて完全な一対一(タイマン)になったこの空間で、私は右手のハンドキャノンを剣に変化させる。

 

「ならっ、貴様をここで殺せば済むもの!」

 

ドッ、と愚直に突っ込んでくるベアトリーチェを軽く躱し、すれ違いざまに一撃。

 

「———ッグ!?」

 

「遅い」

 

だかやはり、遅すぎる。

 

底上げ(【スクカジャ】)をせずとも視認できる速度など、止まっているようなもの。

 

いとも容易く直撃した風を纏う一撃(【連鎖の風撃】)がその身体に裂創を与え、傷から半透明な緑の鎖が現れる。

 

カシャン、と軽い音を鳴らすそれは重さこそ無いが、私の持つ剣と繋がっているようだ。

 

「なんッ、ですか……!これは……!!」

 

「その内、解る」

 

飛び退くベアトリーチェを追いかけて銃撃(【トリプルダウン】)すれば、鎖に変化が。

 

 

ボァッ!!

 

 

銃撃によって触発された鎖が風の塊を生成し、ベアトリーチェの眼前で炸裂する。

 

「グァッ!?何故ッ風が……!?」

 

「知って、如何する?まぁ……理解、できるとも…思わないが」

 

……分かるようにバラしてしまえば、これは【無限の鎖】と【黄金連鎖】を掛け合わせたペルソナQでもお馴染みの連鎖強化スキルだ。

 

ゲームでは無限でも最大8連鎖とされていたが、どうやらこちら(キヴォトス)だと文字通りの無限のようである。

 

「一個、追加」

 

「ガァッ!」

 

続けて放たれる炎を纏う一撃(【連鎖の炎撃】)により、再び風の追撃が発生する。

 

そして傷口から現れる、赤く透明な鎖。

 

ベアトリーチェもようやく気付いたようだ。

 

「攻撃で鎖が動くのならっ……当てさせなければ良いだけのこと!!」

 

勢いよく振り下ろした扇子から赤色のレーザーが発射され、その先に立つ私を地面ごと抉り取る。

 

当たらなければいい……というのは正解だが、生憎この場では間違っている。

 

何故なら———

 

———元より、逃す気は…無いが、な

 

 

バキュゥン!!

 

 

降り注ぐ雨(【刹那五月雨撃】)が、そもそも敵を外したりなんてしないからだ。

 

炎と風の追撃が発生したのを察し、ベアトリーチェに近付く。

 

「痛い、だろう?()()()()()

 

「ゲホ、ゴホ……ッ、ハァ…ハァ、チッ!」

 

忌々しそうに舌打ちをするその姿は見るも無惨だ。

 

ギョロリと血走る目がこちらを睨む。

 

「この、私が……ァ!こんな醜態をっ、晒すなど……!」

 

「貴様は、元から…醜い、だろう?」

 

「何をォ!!———ッ」

 

眼前に迫り、ハンドキャノンをベアトリーチェの額に構える。

 

「何時迄も、子供…の、ように。『崇高』、なんかに…縋る、大人に……醜い、以外は、無いな」

 

 

「———ァ"ア"ッ!!」

 

 

私の説教に返ってきたのは地面に穿たれたビームだった。

 

仕方なくその場から退き、溜息。

 

「もう良いです、頭に来ました……!この私が至る『崇高』を以って、貴様を葬ってやりましょう!!」

 

ベアトリーチェが懐から試験管を取り出す。

 

中身は赤い液体だが———まさか。

 

「えぇ、あのロイヤルブラッドの血ですよ。ここまで保存しておくのにどれ程掛かったか……この血を媒体として、私は進化を果たす!!」

 

本人が居ないからと、そこまで醜く堕ちるか。

 

試験管を頭上で割り、その血を浴びる。

 

途端に、ベアトリーチェの周囲に赤黒いオーラが纏わり付く。

 

 

「ォ———ォオオオッッ!!!!」

 

 

そうして鎖を千切ながら現れる醜い怪物(半端な覚醒者)

 

面倒なこと(状態リセット)を、してくれる……」

 

花弁が開くように目が放射状に広がったその姿は、中身がベアトリーチェでなければ大きな花とも言えただろう。

 

……しかし、中身がベアトリーチェだから結局減点だな。

 

「耐久性が…高い、事を……祈ろう」

 

ハンドキャノンを構え、虚空へと打ち上げる。

 

 

バキュゥン!!

 

 

その動作に身構えたベアトリーチェが知覚したのは、()()()であった。

 

 

「ッ!?ガァァアアッ!!?」

 

 

ヒノム火山に匹敵(【火炎ブースタ】【火炎ハイブースタ】)する熱波(【インフェルノ】)に晒され、その異形が痛みに悶える。

 

……見ただけで熱そうだな、冷やしてやろう。

 

 

バキュゥン!!

 

 

二度目の銃声と共に現れるのは、先程の熱波とは打って変わって巨大な氷の結晶(【ダイアモンドダスト】)

 

ヒノム火山に匹敵する熱波でさえも打ち消す(【氷結ブースタ】【氷結ハイブースタ】)氷の奔流が、ベアトリーチェの身体の末端を壊死させんと迫る。

 

「き"さ、ま"ァ……!!な"にを"した"ァ"!!」

 

「次」

 

金切り声に混じってベアトリーチェが何か言っているが、よく聞こえないな。

 

 

バキュゥン!!

 

 

「ァ"ガァ"ァ"ア"ア"ア"ア"!!!」

 

 

何かをしでかそうとしていたのを止めるように、雷を纏う(【真理の雷】)暴風(【万物流転】)が発生。

 

互いに等しく(【電撃ブースタ】【電撃ハイブースタ】)拮抗している(【疾風ブースタ】【疾風ハイブースタ】)二つの災害が、ベアトリーチェただ一人を標的にして発生しているのだから、痛みは一入(ひとしお)だろう。

 

「ゴァ、ア……イ"ダ、ィ"…ヤメ"、ゴフッ"!」

 

花を開いたままで床に転がるベアトリーチェを見て、溜息が止まらない。

 

()()()()()()()()

 

……言っては何だが、止めなかったのだろうな、コイツは。

 

益々救えない、可哀想な奴だ*1

 

そうして息も絶え絶えな奴を前に、右だけだった剣を()()()()()()へと変化させる。

 

「最期に、問おう」

 

 

———貴様は、赦されたいか?

 

 

「ユ"る、シ"など……!キ“さマ"、な"ん"ゾに……ィ"!!」

 

 

「そうか、なら死ね

 

 

身体の(【斬撃ブースタ】)隅の隅まで(【斬撃ハイブースタ】)極限まで(【チャージ】)溜めに(【ヒートライザ】)溜めた(【リベリオン】)これ以上は(【剣神の念】)ないであろう(【クリティカルUP】)『死神』史上(【クリティカル大UP】)最高の(【アドバイス】)———

 

 

 

 

 

———八閃八撃(【八艘飛び】)

 

 

 

 

 

———無駄な雑音は一切無く。

 

 

———伸ばし掛けていた手すら届かず。

 

 

———ベアトリーチェは、逆さになった視界で『死神』を見ていた。

 

 

———(やが)て、その視界すらもズレ始めて。

 

 

———最期にベアトリーチェが見たのは。

 

 

 

 

———自分に一切の興味も無く、唯々無感情に刺し続ける『死神』の眼()()だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最期に【冥府の扉】を開き、ベアトリーチェの死体を廃棄した『死神』。

 

彼女はぽつりと一言溢して、そのまま誰も居なくなったバシリカから去っていった。

 

 

 

「はい…タイマー、ストップ」

 

 

 

———16:30 -- ベアトリーチェ殺害完了

タイマーストップ

 

記録———3時間30分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴルコンダ、()()出来ましたか?」

 

「…………」

 

「……その様子では、無理でしたかね」

 

「……あぁ。一切の痕跡も残されてなかった」

 

「そういうこった!」

 

「まぁ、彼女とは方向性が違い過ぎました。手段は違えど、いつか遅かれ早かれ()()なっていたでしょう」

 

「ふむ……観測すら出来ないとは、実に不可解なものだな……」

 

()()も送れず、傷すら付かないとなれば私達には手出し等出来る筈もありませんね」

 

「そういうこった!」

 

「クックック……益々興味が湧いてきますが……流石に私もああはなりたくないものです」

*1
元より救う気も無いのだが、まぁそれはそれとして




【闇夜のドレス】(元はP3「ニュクス・アバター」専用スキルだが、結界スキルとして適用)
外界から遮断する結界を張る

【連鎖の風撃】
敵単体に風+斬撃属性の小ダメージ
同一ターゲットに攻撃で追撃が発生

【無限の鎖】(連鎖上限撤廃)
【連鎖の〇撃】の連鎖回数が上昇する

【黄金連鎖】
【連鎖の〇撃】の初回ダメージが上昇し、追撃毎に追撃ダメージが上昇する

【連鎖の炎撃】
敵単体に炎+斬撃属性の小ダメージ
同一ターゲットに攻撃で追撃が発生

【刹那五月雨撃】
敵単体に貫通属性で大ダメージをランダムで6〜8回与える

【火炎ブースタ】【火炎ハイブースタ】
【氷結ブースタ】【氷結ハイブースタ】
【電撃ブースタ】【電撃ハイブースタ】
【疾風ブースタ】【疾風ハイブースタ】
【斬撃ブースタ】【斬撃ハイブースタ】
指定属性の攻撃が25%/50%上昇
ブースタの効果は累積する

【インフェルノ】
敵単体に火炎属性で特大ダメージ
高確率で火傷状態にする

【ダイアモンドダスト】
敵単体に氷結属性で特大ダメージ
高確率で凍結状態にする

【真理の雷】
敵単体に電撃属性で特大ダメージ
高確率で感電状態にする

【万物流転】
敵単体に疾風属性で特大ダメージ
火傷、凍結、感電状態の敵はダメージが上昇する

【剣神の念】(元はP5Rの特性だが、スキルとして適用)
【チャージ】と【コンセントレイト】の効果が3倍になる

【クリティカルUP】【クリティカル大UP】(クリティカル率とダメージの数値化)
物理属性のクリティカル率が20%/50%上昇
クリティカル時のダメージは通常の250%になる

【アドバイス】(クリティカル率とダメージへのバフに変更)
物理属性のクリティカル率が自動的に30%上昇し、クリティカル時のダメージが更に50%上昇する

【八艘飛び】
敵全体に斬撃属性のダメージを8回与える

【冥府の扉】
敵全体に万能属性で特大ダメージ
高確率で即死効果を与える
死者に使用するとそのまま取り込まれて『処理』される





はい、という事でエデン条約編終了しました(早い)
筆者です

いつかやろうと思っていた本気八艘飛びをここで持ってこれたのはちょっと個人的に嬉しいです


実は元々刈り取るさんというキャラを作った時点で、ベアトリーチェをざっくりこうしようという構想は出来てました(細かい殺し方は書く時に考えましたが)

刈り取るさんの立ち位置は先生と同じ『大人』であれど先生とは真逆の『裏』の大人であり、「君達(先生も含む)はただ楽しく青春を送りなさい、向かってくる障害は全て私が処理します」というスタンスを崩さずにキャラを作るのは割と大変でした

その影響かストーリーが崩壊してますがそれはコラテラルダメージという事で

大丈夫です、ちゃんと最終編もやります(原作とは毛色が変わりますが)


次回以降はエデン条約編の反応集と後日談、そして活動報告で頂いたネタを少しずつ書き散らしていこうと思っております
多分後日談が出る時には他執筆者の方とのコラボも計画してるかもしれません(筆者の熱が冷めてなければ)
それまで吉報をお待ちください

それでは、また





ちなみに今回使用した本気八艘飛び、普通の八艘飛びのみ(レベル99、力ステータスカンスト、斬撃相性等倍)だとダメージは200×8程なんですがバフを全て含めると一撃「585,000」になり、それが8回という事で最終ダメージはなんと「4,680,000」になりました

これは死に体のベアおばも確実に死にますわな()



なんか刈り取るさんにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=315528&uid=276197
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