よろしくおねがいします
1400.刈り取るさん
アリウス解放RTAはーじまーるよー
タイマースタートは目の前にあるカタコンベに足を踏み入れた瞬間から、ベアトリーチェを殺した時点でタイマーストップです
レギュレーションとして「アリウス生徒の非殺」「ユスティナ聖徒会の介入禁止」「先生の『黙れ』をベアトリーチェに聞かせる」「ベアトリーチェ殺害」が設定されております
歴代走者が居ないので、私がワールドレコードです
「…………さて」
書き込んですぐに閉じた掲示板の通り、今からするのは掃討
そんな事よりも終わらせて柴関のラーメンを食べたい。
作業終わりのラーメンの為に、私はカタコンベへと足を踏み入れた。
———13:00 -- タイマースタート
さて、掲示板で言った通り今回の作業にはルールを設けている。
殺さず、介入させず、ベアトリーチェのみを確実に殺すというもの。
アリウス生徒は戦力のある生徒と戦力にならない生徒に二分される。
うっかり殺してしまうなんて以ての外なので、私は普段はやらない策を実行する事にした。
「っぐ……力が……?」
「ぅあ……」
「なんで……くそっ……!」
周囲の生徒が姿を表すと共にその身体を鈍重にしていく。
持っていた銃ですら取りこぼし、身体の出来てない生徒に至っては地面に突っ伏してしまっている。
【無力の魔法陣】と呼ばれるこのスキルは、ペルソナシリーズのスピンオフ作品である「ペルソナQ」というナンバリングでのみ登場する「封じ系」と呼ばれる状態異常スキルだ。
効果は「数ターンの間敵全体を『力封じ』状態にする」というもので、キヴォトスではこの状態異常を「敵を虚弱にさせる」という解釈をするに至ったようだ。
これは僥倖と、潤沢にある
このお陰でアリウス生徒達は私と会敵した瞬間から謎の脱力感に追われ、まともに銃を持つことも投擲物を投げることもできずに沈黙するという側から見れば地獄絵図のような状態になっている。
取り敢えず倒れた生徒は個別で【ドルミナー】で眠らせる事で大事を回避させているが、何も知らない人からしたらただの怪奇現象だろうな、なんて考えを巡らせ———
タァン!!
「……効かない、ね」
寸分狂わず頭に放たれた狙撃を、避けることなく受け切る。
【貫通無効】によって狙撃のダメージも無く、万が一至近距離でショットガンの銃撃をくらえどダメージは軒並みゼロとなっている。
しかし……この狙撃の粗雑さ、もしかしてアリウススクワッドは全員カタコンベにもバシリカにも居ないな?
自慢してしまうのはなんか癪だが、私は普通に強い。
キヴォトスの誰もが知らない魔法を使うのもあるが、下手したら全ての攻撃が無効化されて手も足も出ない、なんて事もあるからだ。
でもそんな事は一言も言ってないので、普通ならば最高戦力のアリウススクワッド全員をこちらに寄越す筈なのだが……
これは多分、ベアトリーチェが直接私を殺しにくるとか?
……いや、あり得る。
あり得るが、それはそれだ。
結局ベアトリーチェは殺すし、他のアリウス生徒は全員生かす。
先生に保険も渡したし、向こうも大丈夫。
「……気分、は。聖者の、行進」
周囲には眠りに落ちる生徒が連なる。
それは正しく、王の行進に頭を垂れる農民のようであった。
———14:30 -- バシリカ到着
少し時と場所を遡り、死神がRTAを開始する数日前、朝10時のトリニティ総合学園にて。
第二次のテストを五時間後に控えた補習授業部の面々は、先生から齎された情報を噛み砕いていた。
「エデン条約の締結が数日後になった……という事ですね」
「"うん、今回に関しては本当に早急にするべきって話がゲヘナとトリニティで合致した…って私も聞いたんだ"」
「アリウス分校に大人の支配者ですか……アズサちゃん、何かご存知ですか?」
「あぁ……アリウスの生徒会長、マダムが動いたんだろう。条約を結ぶ時に混乱を起こし、トリニティとゲヘナ、その両方を一気に崩す為に」
既に自分の素性、そして目的を話していたアズサが瞠目して答える。
「それって一大事じゃないの!?」
「"当日、私は連邦捜査部として出席するけど……"」
先生は周囲の皆の瞳を見る。
そこには全員が「私も着いて行く」という意思があった。
「"……わかった。一時的に、シャーレ所属の生徒として皆を登録しておくね。当日、何があっても生き残ろう"」
「「「「はい!(あぁ)」」」」
———『死神』がカタコンベに入った日とエデン条約の締結日が重なるのは、必然であった。
『———先生っ、無事……ですね?』
「"心配ありがとう、アロナ…一度きりって思っても、身構えちゃうものだね"」
巡航ミサイルの爆撃から先生を護った小さい指輪が、粒子となって消えていく。
『死神』が自身の生成した銃弾に【物理反射】を
コストを極限まで減らした結果、【物理反射】しか付与できず尚且つ一度発動すると自壊してしまうおまけ付きの使い捨てになってしまったが、それはしっかりと先生を護ってくれたようだ。
「"皆は大丈夫?"」
「は、はい!こほっ、こほっ……身構えておいて良かったですぅ……」
「私も、コハルも無事だ」
「私も大丈夫ですよ〜」
補習授業部も警戒を崩さなかったからか、大した損害はなし。
そしてそこに、アリウス生徒が現れた。
多数の生徒と、その後ろから現れる、一際目立つ四人の生徒。
「スクワッド……!」
「———マダム、到着した」
『えぇ、こちらも———』
口元をマスクで隠した錠前サオリがマダム……ベアトリーチェに通信を入れれば、その後ろからホログラムで異形の女性が投影される。
『———準備が終わるところです』
「あれが……"マダム"……」
初めて見る歴とした『異形』に、ヒフミ達は無意識に一歩後退り、アズサでさえもその顔を顰めた。
『私はゲマトリアに足を置いている、ベアトリーチェと申します。アリウス分校の生徒会長も一応務めております』
白々しく自己紹介を始めるベアトリーチェ。
そこに、もう一つホログラムが生成される。
『こんな、年増が…生徒会長?笑える、な』
「「「「「"!!"」」」」」
「「「「!?」」」」
『———ッッ!!貴方は……『死神』ですね?』
ギリ、と手に持たれた扇子がほんの少し軋む。
それに『死神』は———
「必要事、だから。態々……出向いて、来た」
———15:00 -- 巡航ミサイル着弾
アリウス勢力 到着
———『死神』目標位置に到着
「黒服から聞いてますよ、貴方の事は……神秘も恐怖も存在しない、理外の化物」
ベアトリーチェと『死神』、そしてホログラムの先生しか居ない廃教会で、私達は言葉を交わし合う。
「そうか……その評価は、無意味…なんだが、な」
そう言って、両手のハンドキャノンを腰に交差させて吊るす。
空いた両手をぐっぱと握りながら、ベアトリーチェに質問した。
「貴様は、『死』の気配…が、強過ぎる……
後ろの先生(のホログラム)から、息を呑む音が聞こえる。
「さぁ……私は直接手を下していないので、ゼロでしょう?」
のらりくらりと自分の責任から逃げるベアトリーチェ。
「そう、か……ならば、質問を…変えよう。見殺しに、した回数は……幾つだ」
スゥ、と異形の目が細められる。
『名前になぞって神気取りでしょうか……まぁ、答えてあげましょうか。衰弱している子供は、何十人と居ましたね。アレでは何をするでもなく直に死にますから、気にも留めませんでした』
「なッ……!?」
その回答に反応したのは、
「ま、マダム……それは、いつから……?」
『いつから…私が生徒会長として就いてからですから、数年前でしたね。その時点でもういくつか居ましたよ』
なんでもないように、ただ世間話のノリのようにさらりと放たれたその言葉に、先生も、補習授業部も、果てにはアリウススクワッドさえも動揺を隠せない。
「アレらは良い実験台でした。研究を繰り返していけば私の望む『崇高』に近付ける。その為にアレらに『憎しみ』を植え付けるのは簡単でしたね……」
「…………先、生」
つらつら、ベアトリーチェの自慢と自論が続いていく。
『"……れ"』
「今回のも『
『"……黙れ"』
眉間を揉んでいた手を離し、ふぅー、と細長い溜息を吐く。
「結局子供なんて大人の踏み台になるしかないんですよ。特に私の研究に関しては一層……なら子供は大人の成功の為にせいぜい良い部品となるだけで充分です」
その耳障りな言葉を封殺するように。
静かな教会に、普段は絶対に聞くことのない先生の怒号が響いた。
『"———ベアトリーチェ、貴方の話は生徒の耳にとても悪い。もうこれ以上、私の大切な生徒達にその薄汚れた言葉を振り撒くな"』
朗らかな表情なんて欠片も無い、ベアトリーチェへの敵意で満たされた怒りの表情。
ベアトリーチェの幾つもある瞳孔がカッと開く。
「……ほう、貴方は違うと?先生。子供から搾取し、大人の安らかな楽園を作ること……それこそ『大人』の責務でしょう?」
「"……何が『大人の責務』だ。『教え』と『学び』を騙り侮辱する貴方に、『大人』を名乗る資格は無い"」
ドスの効いた低音が彼女へ向けられ、呼応するようにベアトリーチェの口元に裂け目が現れる。
『ふ、ふふふ……やはり危険因子、という事ですね……いいでしょう、先生。貴方はこの手で嬲る事にします』
ニタァ、と微笑むベアトリーチェの前に私が立ち、横目でちらりと先生の方を見た。
『おや…そう言えば居ましたね。すっかり忘れていましたよ』
『先生、もう…いい。奴は、既に……通告を、破った』
彼女に関する全ての事象への興味が冷めていく。
既に興味なんて欠片も無いものだったのに、改めてというか。
もう、
『貴方は、そっちで…皆を、導いて』
ザザザ、と砂嵐のようなノイズと共に、その場にあったホログラムが全て消去される。
「っ……これは」
今の状態に気付いたベアトリーチェが何か言うが、もう既に賽は投げられているのだ。
「折角だ。貴様に———引導を、渡してやろう」
———15:20 -- 戦闘開始
【無力の魔法陣】(ペルソナQをベースに、状態異常をキヴォトス基準へ変更)
敵全体を虚弱状態にする魔法陣を展開する
広さは使用
【大気功】(ターン数を秒に変更)
数秒(3秒)毎に
【中気功】(ターン数を秒に変更)
数秒(3秒)毎に
【小気功】(ターン数を秒に変更)
数秒(3秒)毎に
【淀んだ空気】
敵味方全体を状態異常にさせやすくする
【状態異常成功率UP】
状態異常の付与確率が自動的に上昇する
【ドルミナー】
敵単体を睡眠状態にする
【貫通無効】
貫通属性(銃撃)の攻撃を無効化する
【物理反射】
物理属性(斬撃、打撃、貫通)の攻撃を受けた時、ダメージを受けずに等倍で反射する
cv.坂田将吾の「黙れ」を早く聞きたい民です
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