宝箱からコンニチハ‼︎なんてしない   作:珱瑠 耀

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こちらの作品は現在活動報告の方でリクエストもガンガン受け付けておりますし、なんならコラボのお誘いも大歓迎です

読者様も同郷の(ブルアカ二次の)筆者様も、皆様遠慮なく感想書いたりユーザー画面にあるTwitterのDMとかこのサイトのDMからお誘い投げたりとかしてって下さい


祈りなんてしない

「……落ち、付いた?」

 

「はぃ…お見苦しい所を……」

 

【パトラ】の効果は覿面で、程なくしてマリーは落ち着いた。

 

教会の端っこの方で二人隣り合って座り、暖かい陽の光を浴びながらゆっくりと息を吐く。

 

……伊落マリー。

 

このキヴォトスでも類を見ない程に『善良』なこの少女は、前世ではよく卑しさの塊だとか肌の露出が無いのに叡智を感じる謎キャラとして一世を風靡していた。

 

へにゃりと垂れた獣耳がもよもよ動いている様子を横目に、マリーの口に飴玉を放り込む。

 

「むぐ」

 

「薄よもぎ、味。きっと、リラックス…できる、筈」

 

「んむ……ふぁい(はい)

 

飴玉の形にほっぺが膨らむのを見てちょっと面白いな、なんて思いながら続ける。

 

「突然、来て…ごめん。サクラコに…聞きたい、事。あったの」

 

「んぐ……()うなんで()か。サクラコ様は今別の場所にいまして……」

 

「なら……ゆっくり、してようかな」

 

周囲に人の影はまばらで、私の事を気にしていたりする人も居るものの、放っておいてくれるようだ。

 

教会の奥に見えるステンドグラスを見上げて、これからの事とか今回の事とかをどうやろうかと脳内掲示板を覗いた。

 

 

 

 

 

1004.刈り取るさん

安価≫1015

 

 

1006.名無しの転生者

急だな

 

 

1007.名無しの転生者

教会に居る生徒皆こっちチラ見してるやん

 

 

1008.名無しの転生者

もしかして暇になったか?

 

 

1009.名無しの転生者

サクラコと全力意味深会話

 

 

1010.名無しの転生者

マリーを膝の上に

 

 

1011.名無しの転生者

自分にテンタラフー

 

 

1012.名無しの転生者

スリープソングでお昼寝タイム

 

 

1013.名無しの転生者

マリー寝かしつけ

 

 

1014.名無しの転生者

パイプオルガン弾きに行け

 

 

1015.名無しの転生者

マリーに「貴方の為に祈るね」する

 

 

1016.名無しの転生者

サクラコ様の頭を撫でる

 

 

1017.名無しの転生者

オイこれどっちの意味だ!?

 

 

1018.名無しの転生者

祈るね☆なのか祈るね(冗談抜き)なのか……

 

 

1019.名無しの転生者

折るね☆もあり得るぞ

 

 

1020.名無しの転生者

あり得るなそんなもん

 

 

1021.刈り取るさん

流石に私も隕石は落とせないよー

ゴッドハンドは出来るけど

 

 

1022.名無しの転生者

いやそっちは出来るんかーい

 

 

1023.名無しの転生者

むしろそっちの方が危ないのでは

 

 

1024.名無しの転生者

クリティカル補正とか乗っけるなよ?

 

 

1025.刈り取るさん

流石に私もそこまでアウトローじゃないんだけど?

 

 

1026.名無しの転生者

いやまぁね

あのメギドラオンを見ちゃったらね

 

 

1027.名無しの転生者

自重がちゃんとあるのは知ってるにしてもどこで爆発するか知らないからさ

 

 

1028.刈り取るさん

大丈夫大丈夫、本気はベアおばとかにしか出さないから

 

 

1029,名無しの転生者

なら安心やな!

 

 

1030.名無しの転生者

せやな!

 

 

1031.名無しの転生者

程々にマリーちゃんに祈るね☆するんやで!

 

 

 

1035.名無しの転生者

あれ、もしかして≫1028ってベアおば以外にも本気出すアテがあるのか?

 

 

 

 

 

「!サクラコ様がいらっしゃいましたよ」

 

ふっと意識をこちらに引き戻すと、タイミングが良かったのかマリーも小さく声を上げた。

 

「そっ、か……私も、今…終わった、ところ」

 

「…?」

 

私のその発言に、一瞬でもなんだろう、と小さく首を傾げるマリー。

 

その顔はすぐに引き締まり、ぷるぷると(かぶり)を振ってからおずおずと口を開いた。

 

「えっと、その…差し支えなければ、どんな事を祈ったのか、聞かせて頂くことは可能でしょうか?」

 

若干下を向いてもじもじとしながら聞いてくる彼女の、その優しく揺れる耳の間に私は手を置く。

 

「貴女、には…酷かも、しれないが……私は、神には祈れない」

 

「ん…それは、どうしてですか?」

 

「不信…或いは、嫌悪だろうか?それとも…ただの、意地かも…しれない」

 

多分、これは宗教的には祈りですらないのかもしれない。

 

「神の課す、試練…なんて、(うそぶ)いて介入…とか、以ての外。私の生は、私だけのもの」

 

邪魔するならお前も殺すぞ、という意思表示の可能性だってあり得る。

 

「…とはいえ、聖職者の前…では、話す事じゃ…ない、かも」

 

「い、いえ!むしろ、話してくれてありがたいと言いますか…その、イメージ通りと言いますか……」

 

「良い。きっと、貴女が今…考えてること。それは…強ち間違って、ない」

 

ゆったりとした動作で、椅子から立った。

 

少し遅れてマリーも着いていき、付近にある懺悔室前へと向かう。

 

「私は、神が嫌い。救いとか、平等とか…そんなものは、上辺だけだと…思ってる」

 

「……そう、ですね。きっと、真に救われるべき人達は、私達以外にも居る筈です」

 

「マリー。そう考えられる…貴女は、強く優しい。誇って、良い」

 

「は、い…ぁ、りがとぅござぃます…」

 

「だから……どうせなら」

 

サクラコが優しい笑み(マリーが褒められて嬉しそうだ)と共に私達を待っている。

 

小さく目礼してから、ちょっと頬の赤いマリーに向き直った。

 

敬虔(けいけん)で優しい…貴女の為に、ただ祈ろう…と思った、だけだ」

 

そうして、マリーの手に紙を握らせる。

 

「……連絡先。なにかあったら…遠慮は、要らない」

 

ありがとう、と振り向きざまに呟いて、サクラコと対面した。

 

「急な訪問…で、申し訳ない」

 

「いえ、こちらこそ到着が遅くなってしまい申し訳ありません…」

 

懺悔室の中は防音と盗聴防止が施されており、大事な相談をするにはもってこいの場所だ。

 

そこに二人で入り、サクラコが私たちを隔てる格子窓を躊躇なく開いた。

 

「……いいの?開けて」

 

「大丈夫ですよ?その様子では、きっと面と向かっての会話がしたかったのでしょうし」

 

あっけらかんと言い切ったサクラコに良いのかそれで、と思ったが彼女が良いならそのままでいっか。

 

「さて……それでは改めて。私はトリニティ総合学園、シスターフッドの長を務めさせて頂いております、歌住サクラコと申します」

 

「ブラックマーケット、『Reaper Archon』社長…『死神』」

 

この『Reaper Archon』とは私がカイザーを乗っ取った後にカイザーの後継として創った会社で、カイザーのように幅広い分野での活動はあるにせよ、『相互の利不利を明確化する事で契約を結ぶ』というコンセプトの上で活動している。

 

なおアビドス編終了後に一ヶ月の期間を空けていたのは大体この辺りの仕事が詰まっていたからでもある。

 

ちなみに山海経には既にカイザーの影はなかった*1が、玄龍門会長のキサキと話をした時に流れで普通に契約ぶつっけることになって帰って頭の中を整理したら宇宙猫になった。

 

やはり『死神』としてのネームバリューが大きいのかその他の殆どは基本的に穏便に契約を進めることができた*2

 

社員はブラックマーケットに在住の生徒が殆どで、先日社員が350人を超えたという連絡も来た。

 

聞いた限り社員同士のトラブルも契約先とのトラブルなく、平和に事業に就けているようで感心だ。

 

「Reaper Archonにはトリニティでもお世話になっています…弾薬等の質が上がってこちらも助かっていて」

 

「こちらこそ、承けてくれて…感謝、してる」

 

「いえいえ……それで、本日はどのような用で?」

 

短いアイスブレイクを経て、サクラコと私の間の空気が引き締まる。

 

 

 

「———『アリウス』について、ご存知?」

 

 

 

「———ッ!?」

 

 

 

サクラコの目が見開かれる。

 

彼女ならば、古代語を解読できるサクラコならばこの言葉だけで理解がつくだろう。

 

「……どこで、その言葉を」

 

「『死』が…あそこは、濃過ぎる。それでいて、場所が…巧妙に、隠されている」

 

「まさか、トリニティの歴史をご存知で?」

 

小さく頷く。

 

「第一回、公会議……合併に反対した、アリウスは…追放され、場所は知れずに…存在だけ、はしている」

 

「どこでその知識を……いえ、そもそもアリウスが存在していた事自体が驚きなのですが……」

 

「その場所に、吐気を催す…『悪』が、居る」

 

互いに目を離すことなく、言い切る。

 

嫌な感じなのだ……場所がわからないのに、泥のように澱んだ悪意が存在していることが。

 

 

———それも、2つ

 

 

あれは、良くない。

 

あの二つだけは、あのままそこに()()()()()()()()()()()

 

「あれらは、止めなければ……いけない。絶対に、確実に。そして……子供には、それを…させられない」

 

「貴女がそれ程に……事実、なんですね?」

 

「あぁ……あそこは、歴史から……しても。『悪意』を持つ、のに……好都合、だろうから」

 

そこまで言い切ると、サクラコは苦しそうな顔で溜息を吐いた。

 

組まれた手も固くなり、頬に冷や汗すら流れてしまっている。

 

「……確実な場所は分かりませんが、それでも大丈夫ですか?」

 

「大丈夫。こういう、事は…私が、やる」

 

絞り出した声に間を開けず返せば、サクラコの表情は先程よりも和らいだような気がした。

*1
単純にない事を忘れていただけ

*2
特にトリニティとミレニアムは早かったのだが、それは単純にメギドラオンをこの目で見てしまったからである。どうしてメギドラオンを見たら契約が早まったのかは察せ




刈り取るさんのせいでマリーが堕ちかけている(多分もう堕ちてる)
あなた(刈り取るさん)のせいです あ〜あ


前書きでもある通り、赤バーだったりUA5万だったりなってました
ハーメルンやってて初めての赤バーでキャッキャッしてました

皆様の応援で私の筆は進みます
なのでこれからも応援を コンゴトモ ヨロシク… です



なんか刈り取るさんにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=315528&uid=276197
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