宝箱からコンニチハ‼︎なんてしない   作:珱瑠 耀

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ストーリーをそのまま追うか否か……

パヴァーヌ追うとなると既に体育座りしてるリオとの絡みをどうしようかってなるし、それ抜いてエデン条約ブッパにしても完全にベアトリーチェが色彩に捕捉される間もなくビナー君と同じルートになりそうだからどっちにしようかとなるこの頃


閑話:秘密の話なんてしない

———ふと、自分がその場に立っていることを自覚した。

 

果たしていつこの体勢になったのだろう?

 

私は本当に眠っているのだろうか?

 

私は……今本当に()()()()()()()()()()

 

不思議と落ち着く心に従い、ゆっくりと目を開ける。

 

広い部屋には向かい合う一対の椅子と、片方にのみ存在する事務机。

 

白磁の床は鈍く部屋を反射し、正面には天井まで上るような巨大な硝子。

 

外には私が見慣れた、いくつもの広い円環の端。

 

ここがいつかのPVで見た簡素な部屋だというのは、すぐに分かった。

 

そしてその奥の椅子に座っている、青い髪の女性。

 

———私は彼女の事を、()()()()()()()見慣れている。

 

いつか巡り合った終着点を誰よりも理解してしまい、その為に表舞台を去ることになった彼女。

 

「———連邦、生徒会長」

 

私の声は少し驚きが混ざっていた。

 

そんな私に優しく微笑んだ彼女———連邦生徒会長は姿勢を崩すことなく応えた。

 

「初めまして、『死神』さん……いえ」

 

 

 

——————『刈り取るもの』

 

 

 

 

 

私は驚愕からすぐに戻り、生徒会長の目の前の椅子に腰を落ち着ける。

 

対となる青色の椅子、机は光を鈍く反射する銀色。

 

正面の会長から目を離すことなく、淡々と告げた。

 

「その、様子なら……『私が()か』も、知っている…筈」

 

 

「———知恵の実を食べた人間は、その瞬間より旅人となった。

 カードが示す旅路を巡り、未来に淡い希望を託して。

 

 その旅路に()ける、古きものの死…新しいものの生。

 13番目のアルカナ———『死神』

 

 貴方は『死』そのものであり、『次』への切掛を促す存在……そうでしょう?」

 

 

その言葉に目を閉じて頷く。

 

やはり、私のことはよくご存知なようだ。

 

「そう、だね……どうして、ここへ?」

 

触れる感触も無機質な匂いも、夢の中と言われるには現実(リアル)過ぎだ。

 

ならば私を何処かへと転移させた、というのが正しいのだが…私に察知される事なく移動させられるのは流石に一握りしか……

 

「……?」

 

……いや、目の前に居たわ、その一握り。

 

「あ、連れてきた理由でしたね。……キヴォトスには馴染みの無い『死』という存在が、どうしてこの世界で現れたのか……これからどうされるのか……そして、一番は。あの神聖十文字(デカグラマトン)に放った技。それを聞きたくて、少し呼び出させて頂きました」

 

デカグラマトンに放った技……は十中八九あのビナーにやったメギドラオンのことだろう。

 

まぁ、この人に対してはとりわけ隠す必要性は感じられない。

 

ならば話してしまう方が良いだろう。

 

それを話すには、まずエリザベスの事から言った方が早い。

 

「会長…貴方は、『力を司る者』……に、覚えは?」

 

「それは……いえ、私には残念ながら」

 

……ふむ、会長の持つ知識には偏りがあるのか?

 

私を知っていてエリザベスの事を知らないとは、情報の流れに問題があるように見える。

 

「それら、は……私と、似た…力を、行使する。あの、ビナー…を、始末する、時……私は、それから…演出協力、を得た」

 

「ほう、協力を…………??演出、という事は…まさか」

 

胡乱な目でこちらを見る会長に少しムッとなる。

 

「失敬、だ。何事にも、程度……が、ある。あんな、規模は…そう、易々と、しない」

 

むしろそれくらいでないと、後の処理に影響すると思ったのだ。

 

そんな私の様子に心底ホッとしたような彼女が、更に口を開く。

 

「……では、その『力を司る者』について、もっと詳しく聞いても?」

 

「……なんでもは、知らないけど」

 

私はそれらが『とある者(フィレモン)従者(イゴール)の補佐である』という事をざっくりと、少しぼかして説明する。

 

また、それらは我々と一線を画す強さを持つことも。

 

…………そして、それらと()()()の関係は。

 

「私、は……それら、の存在…する、世界での……明確、な…()

 

「……」

 

「敵、は…意識を、持たず。隔離され、た…世界で、侵入者の…精神、を喰らう…そこには……強く、大きく…成る、意思のみ」

 

その意思の中で一際重く、強く、明確なもの……それが、『死』。

 

その『死』という概念や事実、結果そのものが私である。

 

「……精神を喰らうにしては、そうは見えませんよね」

 

「意識を持つ、ならば…『死』の使い方、なんて……いくらでも、ある。それに…私は、敵の括り……その中で、既に最大」

 

『死』の力のまま殺すだけなんて事はしない。

 

そうしてしまえば、私はただの化け物となるから。

 

「……まぁ、目の前であんなにされてしまえば…否定のしようがないですよね」

 

「それに、食べる…なら、美味しい……ご飯の、方が…何百倍、もいい」*1

 

「ふふっ、それは私も同感です」

 

……話が少しずれた。

 

まぁ、私は原作(ペルソナシリーズ)のように力に任せてプレイヤーを叩き潰すようなモノではないのは確か。

 

そして、その力は無闇矢鱈と振り回すためのものでは決してない。

 

「私は、もう……この力を、持つ責任。そして、存在の価値……それらを、持っている」

 

Memento Mori(死を想え、いずれ来る死を忘れるな)……自身が『死』の象徴であるが故に、キヴォトスではあまり身近ではないその存在の認知を促す。という事ですね?」

 

ふぅ、と溜息と同時に背凭れに身体を沈み込ませた彼女に、あぁ、と小さく頷く。

 

こうも理解が早いのは、偏に彼女が「超人」であるからなのか、それとも。

 

「……この身が、朽ちるまで。私は…その意義を、示し続ける。答えは、これでいい?」

 

「……はい、充分です」

 

他の世界線では恐らく見られなかったであろうイレギュラー(私という存在)は、さぞ不気味なのだろう。

 

いつもは青封筒ばかり叩きつけてくる彼女でも、そういうイレギュラーは誰にとっても心配になるもの。

 

「……なんか、すご〜〜く嫌味を言われたような気がしましたが」

 

おっと危ない。

 

「さぁ、ね……それで、他には…何か?」

 

さっと目を逸らして話をすり替える。

 

もう……聞きたい事は聞けましたし、貴方の事も少しは知れました。その上で……厚かましいかもしれませんが、貴方にお願いがあります」

 

これまで以上に張り詰めた雰囲気の会長。

 

「貴方との契約相手が……先生がどんな人かは、恐らく分かっていると思います」

 

「……あぁ」

 

「この先もきっと、先生は選択し、その先にある答えを探し続けます」

 

きゅ、と机の上で組まれた手が軋む。

 

「もし……もしその過程で先生達が完全に行き詰まったとして、貴方にそれを助けてもらう事は出来ますか?」

 

酷く切実で、苦しい顔だった。

 

会長は私の返答を待っている。

 

「……本来、私達は…この物語(アーカイブ)の……主役じゃ、ない」

 

「———っ」

 

びく、と正面の肩が震える。

 

「キヴォトスで、生きる生徒……彼女ら、こそ…この世界の、主人公」

 

「…そう、ですね」

 

「しかし、それと……無関係は、同義…では、ない…………先生と、契約した…でしょ?」

 

「……はい」

 

「それ、自体が……私の、答え」

 

私としては元よりそのつもりではあったが、こうして口に出せば何かが嵌まるような感覚がする。

 

———キヴォトスでは、契約という存在に大きな価値を持つ。

 

原作のアニメで、黒服がそう言っていた。

 

ま、良いんだ。

 

私にはコレ(脳内掲示板)もあるし、分からない事は頼れば良い。

 

「貴方、は…まだ、子供。子供は……大人、に…頼って、いい。貴方も、また……この物語、の…主人公、だから」

 

会長、貴方はもっと楽になって良いんだ。

 

私はそう言うし、先生はもっと優しく言葉を掛けられるだろうから。

 

「そう言われてしまうと、まるで歳上と話しているような感覚ですね?……でも、ありがとうございます。これから、宜しくお願いしますね」

 

…………ふわりと優しく微笑んだ彼女が、だんだんと白みぼやけていく。

 

「……もう、朝みたいですね」

 

「その、ようだね」

 

もう少し話したかったな、とかこの部屋についてとか色々聞きたかったものの、早急になる必要性はほぼない。

 

どうせまた彼女が私を呼んで、だだっ広いこの部屋で言葉を交わすのだろうから。

 

「そういえば、これを言うのを忘れていましたね……きっと貴方には、聞き馴染んだものかとは思われますが———」

 

視界がゆっくり暗転する中、最後のその言葉だけははっきりと聞こえた。

 

 

 

 

 

「———ようこそ、夢と現実、精神と物質の狭間(ベルベットルーム)へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん」

 

違和感なく目が覚める。

 

……どうやら例の部屋(ベルベットルーム)から無事に自室へ戻ってこられたようだ。

 

隣の部屋で微かに聞こえる生活音と鼻歌に、今日もワカモが居るのかと納得。

 

起き抜けでぽやぽやする頭をゆっくりと覚醒に促し、ベッドから降りる。

 

「……そろそろ、服…買おう」

 

胸元を見下ろして、白地に「こんせんとれいと (からの) てんたらふー」と少しふにゃついた文字が印刷されたシャツを見た。

 

もう少しマシな部屋着が欲しいな、と思いながらいつもの服に着替えると、いつのまにか頭に赤が散乱するいつもの頭巾が被さる。

 

これのせいで怖がられるんじゃ、と周囲からの反応の悪さをこれ(頭巾)のせいにして、扉を開いた。

 

 

 

「……おは、よう。ワカモ」

 

 

「えぇ、おはようございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……———あっ」

 

()も渡し忘れちゃいました……ま、良いですよね!また会えますし!」

*1
P4のお花のエフェクトがでている




BGMはいつもの、「全ての人の魂の詩」でお送り致しました


ここまでの全てと一個次のエピソードに、アンケートを置いておきますので投票も宜しくお願いします



なんか刈り取るさんにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=315528&uid=276197

本編、どうする?(その他やって欲しいエピソードがあれば感想に下さい)

  • パヴァーヌから介入
  • エデン条約から介入
  • RABBITから介入
  • 最終編から介入
  • 百鬼夜行から介入
  • オリチャーいけ!!!!
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