宝箱からコンニチハ‼︎なんてしない   作:珱瑠 耀

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ブラックマーケットのオリキャラとヒフミの関係性、だいたいこんな感じ説


砂漠の中一人で帰したりなんてしない

あの出来事(カイザー空間殺法事件)から数日後、私の周囲は至極平穏であった。

 

私がブラックマーケットを巡回しているということは、何処かで争いが起きても閉塞ネットワークで即移動ができるという事。

 

つまり何事もなく平和なブラックマーケット、なんていう矛盾が発生するのだ。

 

とはいえ私もガチガチに巡回するわけではなく、道行く店で夜ご飯用の食材を買ったり助けに入ったりもする。

 

現に今も、犬の店員が運ぼうとしていた機械の山を代わりに運んでいるし。

 

「悪りぃな、運んでもらっちまって」

 

「大丈夫。怪我、したら……大変、だし」

 

背中にデカいリュックを背負いながら台車を押すなんて無謀にも程があるだろうに。

 

「よし、到着だ。ちょっと待ってな」

 

そう言って目の前の建物へと入っていく店員を、壁に寄りかかりながら待つ。

 

閉塞ネットワークは今日も平和であり、特に何も……?

 

とある地点に、知り合いの反応があった。

 

これは……

 

「先、生……?」

 

一人ではない、周囲に子供の反応……この人数は、来た方向的にもアビドスだろうか?

 

「はいよ、お礼だ!ご飯の共にでもしてくれ!」

 

「ん……佃煮?」

 

「おうよ、親戚から貰ってな。美味いのは良いんだが……ちょいと数が多くてな」

 

小さくも大きくも無い瓶にずっしり詰まった海苔の佃煮。

 

色艶の良いそれを、優しく身体に寄せた。

 

「あり、がとう。頂く」

 

「こっちこそ、いつも巡回してくれてありがとな!そんじゃ、ここで大丈夫だぜ!」

 

キリッとした顔で言ってくれる店員に目礼して、その場を離れる。

 

生徒の中では怖がられる方が多いものの、それはブラックマーケットに居る生徒の中に不良生徒が多いだけ。

 

普通に親しくしてくれる生徒や大人が居るから、寂しさなどはそんなにない。

 

佃煮を袖の中———何故かバックパックみたいな空間がある———に仕舞い、近くの箱で先生達のおおまかな様子を閉塞ネットワークから観測する。

 

……一人増えてる、というよりこの反応はヒフミか?

 

あの子は……またペロロの為にブラックマーケットに来たのか。

 

脳内掲示板に、溜息をしながら書き込んだ。

 

 

 

 

 

498.刈り取るさん

先生とヒフミがブラックマーケットに居る

 

 

499.名無しの転生者

ストーリーじゃねぇか!!

 

 

500.名無しの転生者

???「ん、銀行を襲う」

 

 

501.名無しの転生者

介入しないの?

 

 

503.刈り取るさん

んー

銀行を乗っ取るとは言ったけど理由とかが足りなくってねぇ

 

 

505.名無しの転生者

そんなん契約相手(シャーレ)に危害を加えたで充分では

 

 

506.名無しの転生者

それしたら乗っ取るの遅くならないか

 

 

508.刈り取るさん

正直すぐに乗っ取ったりはしなくても良さそうなんだよねぇ

最終的にカイザーは潰すだろうし505の採用しようかな

確かストーリーですっごい危害加えるよね?

 

 

510.名無しの転生者

それって先生誘拐じゃね?

てかそれだと最終章だからかなり後だぞ?

 

 

512.名無しの転生者

アビドス編でも確か誘拐事件の犯人にされてた筈

 

 

514.名無しの転生者

シャーレがアビドスの味方→アビドスの生徒に危害が加わる→(実質)シャーレの生徒に危害が加わったことになる→(実質)刈り取るさんの契約相手の危機なので出動

 

繋がったな、ヨシ!

 

 

515.名無しの転生者

そんな計画で大丈夫か?

 

 

516.名無しの転生者

大丈夫だ、問題ない

 

 

518.名無しの転生者

フラグ建てんな

 

 

520.刈り取るさん

こじつけっぽいけど……まぁそれでいっか

とりあえずヒフミの事をお叱りしに行くよ

ついでにアビドスにご挨拶も

 

 

522.名無しの転生者

行くのか?あのペロキチに……

 

 

523.名無しの転生者

勘違いされそう

 

 

524.刈り取るさん

気を付ける

 

 

 

 

 

「今日はありがとね〜ヒフミちゃん」

 

「いえ、こちらこそ……また機会があれば!」

 

夕方のアビドス高等学校、その校門にて彼女らは話し合っていた。

 

戦車の部品の出所を探しにブラックマーケットへ突入し、そこで出会った阿慈谷ヒフミ。

 

成り行き上ではあるが、共にブラックマーケットを歩いて銀行強盗までした仲(?)だ。

 

そこに、ゆらりと近付く影。

 

それはその場の全員が気付く前に口を開いた。

 

「……連絡、くらい…して、ほしかった、よ……ヒフミ」

 

「ぎくっ」

 

「「「「「!!」」」」」

 

先生とヒフミ以外の生徒が揃って警戒する中、私はゆったりと歩いて近付いた。

 

"あ、死神だ"

 

私の姿を見た先生が手を振りながら呑気に呟く……いや呑気過ぎでは?

 

「死神、って……!」

 

「ぶ、ブラックマーケットの『死神』ですか!?どうしてここに!?」

 

「ん、まさかさっきの?」

 

「あ、あはは……これは、そのぅ……」

 

「問答、無用」

 

狼狽するアビドスをスルーして、ヒフミの首の後ろに氷を落とす(【ブフ】)

 

「うぴゃあ!!」

 

アビドスの面々が困惑する中、ヒフミの側に到着した私は彼女の両頬を優しく引っ張った。

 

「折角……連絡先、を渡したのに…意味が、ない」

 

ほふぇぅふぁふぁい……(ごめんなさい……)

 

むにむにもちもちむにゅう、と頬をこねくり回してお仕置き。

 

キリのいい所で両手を離し、先生へと向き直る。

 

「…先生、ヒフミが……迷惑、かけた」

 

"いやいや、成り行きだったし迷惑だなんてそんな!"

 

「違う。ヒフミの、出席日数……が、また、減った」

 

「ゔっ」

 

"あ、あぁー……"

 

「貴方達、も……突然話、に入って…すまない」

 

苦笑いする先生から向き直って、未だに警戒するアビドスの五人にも目礼する。

 

反応が宜しくないのは、単純に警戒してるのか、それとも銀行の事か……どっちもだろうな。

 

"あ、それで!死神はどうして……"

 

「……銀行」

 

"あ"

 

簡潔に告げれば、苦笑いが更に固まった。

 

ついでにアビドスの面々も警戒が強まった。

 

「……どうするの?此処で、()()?」

 

ホシノの視線が厳しくなるが、私はまだ全部を話していない。

 

「……数日前、カイザー…が、私と対立、した。不可侵を、破った……と、いう事」

 

今までもちょくちょくはあったが、今回ので終わりだと悟った。

 

「近い、内に…あそこ(ブラックマーケット)、から……カイザーを、消す。今回の、で……大分、痛手を負った…だろうし」

 

生徒達はまだ困惑から戻っていないが、先生はいち早く気付いた。

 

"それって、今回のは……"

 

「特に、何もない……強盗、で稼いでも……貴方は、自分で使わない。でしょう?」

 

"うん、そうだね"

 

悩むことのない即答。

 

これこそ善い大人の証だろう。

 

「なら、いい。次……来る用…があれ、ば…連絡、して」

 

"わかった……あ、弾薬もありがとうね!"

 

「気に、しないで」

 

弾薬の話をした所で、後ろに控えてた眼鏡の少女があっと溢す。

 

「せ、先生……まさかこれまでの弾薬の出所って……!」

 

"え?うん、死神が提供してくれt"

 

 

「Reaper Ammunitionですよ!?!?」

 

 

"ぐえっ"

 

死神、という語が出た瞬間には動いていた眼鏡の少女が、先生の両肩を掴んだ。

 

「完全個人経営、工場や製作方法が一切不明…でもその弾薬の効果は折り紙付きという、界隈では『至高の魔弾』とも呼ばれるメーカーですよ!?」

 

"え、そんなに高いの……?"

 

先生がチラリと見るが、私は首を振る。

 

「先生、との…契約は、毎トン200、円」

 

「安過ぎません!?!?転売でも銃弾一発で数千万はしますよ!?!?」

 

「えっ」

 

私の銃弾転売されてんの?こわ……

 

"いやぁ……シャーレは一応部活動ではあるけど、内容が他自治区での戦闘の許可だからね……今はアビドスへの救援物資だけだけど、弾薬とかの消費が多いから、むしろt単位でここまで安くしてくれて有難いくらいだよ"

 

「そ、そうなんですね……コ、コホン。失礼しました……」

 

まぁ以前は個人の依頼でちょくちょくやってたけど、今はシャーレとの契約があるし個人依頼はもういいかな。

 

「シャーレ、以外には……今は、やってない」

 

「以前はまだ二桁万円だったんですがね……恐らくその依頼が少なくなって、金額が高騰したのかもしれません」

 

ふむ……それもそうか、これからは気を付けよう。

 

「転売の、件…ありがとう……えっ、と」

 

「あ、奥空アヤネです!」

 

「じゃあ……アヤネ、と。高校の、現状…ざっくりと、だけど……聞いてる。返済も、大事…だけど、健康……が、一番」

 

弾薬の話で距離が急に短くなったアヤネに、袖から飴玉を取り出して五個渡す。

 

「?」

 

「塩、レモン。その場、しのぎ……だろう、けど」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

いつの間にか他のアビドス生達も警戒を解いている。

 

やはり飴玉をあげるのが一番早いのか……?

 

それならもうちょっとストックしておこうかな。

 

「じゃあ、私は…ヒフミを、送ってく」

 

"良いの?"

 

頷いて、ヒフミが繋げる。

 

「何回か送ってくださったんですけど、箱の中で目を瞑るだけで移動できるんですよ!」

 

"……ワープ?"

 

「私の、能力……のような、もの。ヒフミは…あまり、使われない……ような、行動、をして」

 

「はぃ……ごめんなさい……」

 

なんだか飛び火し過ぎているみたいだが、それ程までにヒフミがブラックマーケットに通っているらしいことは想像に容易だった。

 

「うへ、聞いたことはあったけど……本当なんだね〜」

 

「どうやってるのか、気になる」

 

「企業、秘密だ」

 

そうして六人に再び目礼をする。

 

「また、縁があれば…会おう」

 

多分カイザー攻略時には行くと思うが。

 

「私も、今日はありがとうございました!」

 

深くお辞儀をしたヒフミと並んで、近くの箱の中に二人で入る。

 

「……ちょっと、小さい…けど、少しの、辛抱」

 

「いえ、大丈夫ですぅ……(いい匂いする……)」

 

くぐもったヒフミの声で、もう少し大きい箱の方が良かったかもしれないと思ったが、今から探すのは時間の無駄だろう。

 

なのでそのまま、ヒフミが目を閉じた所で私は閉塞ネットワークからトリニティ近くへと移動した。

 

 

 

 

 

『……死神さんとヒフミさんの反応が、一瞬で無くなりましたが…トリニティの付近で確認しました!』

 

"おぉ、本当に瞬間移動したんだね"

 

先生が移動した後の箱をパカパカと開くが、アロナの言う通りそこはもうもぬけの殻となっていた。

 

その箱の隣に寄り掛かり、先生はふぅと息を吐いた。

 

"……死神のこと、何も知らないな"

 

不思議な雰囲気の女性であり、ブラックマーケット外でも上澄みの強者であり……それと。

 

"少しだけ、お母さんみたいだったね"

 

『そうですね……心配の仕方とか、まるで自分の娘を相手にしてるような雰囲気でした』

 

"はは、私もそう思った。……多分、怖がられてはいるけどとても優しい人なんだよ、死神も"

 

よし、と寄りかかっていた壁から離れた先生は、ぐっと伸びをして歩き始めた。

 

"明日も頑張ろう、アロナ"

 

『はい!今日もお疲れ様でした、先生!』

 

太陽は殆ど沈み、夕日と夜の境界が曖昧になっている。

 

先生には何故だか、明日が晴れそうな確信があった。




書いてたらオリ主×ヒフミの可能性が出てきてしまった
いやまぁ何回も自治区に送ってたらヒフミなら多少はそういう事を考えたりするだろうけども
※残念ですがこの作品内で恋愛方面に発展したりは今の所ありません


ちなみに飴も弾薬と同じように生成してます
モチーフはペルソナ3リロードでのドロップアイテム「血塗られたボタン」
弾薬じゃなくて完全神柱とかのドロップアイテムも生成できたりするのかな?と検証したオリ主がこのボタンを作ろうとしたところ飴玉が出てきた、という小噺があります
でも倒してないので正確にはドロップアイテムにはならず、弾薬と同じ生成物の括りです
なお完全神柱や神衣などは一切作れませんでした


刈り取るさんがママとか、業が深い(私が始めた物語だろ定期)



なんか刈り取るさんにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=315528&uid=276197

本編、どうする?(その他やって欲しいエピソードがあれば感想に下さい)

  • パヴァーヌから介入
  • エデン条約から介入
  • RABBITから介入
  • 最終編から介入
  • 百鬼夜行から介入
  • オリチャーいけ!!!!
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