さて､突然だが君はペルソナシリーズにおける"恐怖"をご存じだろうか？

エリザベス？マーガレット？テオドア？

カロリーヌ&ジュスティーヌ？ラヴェンツァ？

……いいや､君達は何もわかっていない｡

ゲームの序盤から現れる最大の"恐怖"のことを忘れているではないか｡

———「刈り取るもの」｡

ゲーム内にて唯一「死神」というカテゴリーに属する敵シャドウ｡

曰く､「序盤のイゴりポイント」*1｡

曰く､「鎖の音が怖すぎる」｡

曰く､「宝箱だと思うじゃん？鍵付きのだからレアアイテムだと思うじゃん？ｺﾝﾆﾁﾊしたのはただの暴の化身なんだよクソが」*2｡

その存在は名に恥じず､序中盤で接敵すれば全滅はほぼ確定とも言えるだろう｡

全体即死魔法や仲間の弱点を的確に突いていく属性魔法､コンセントレイトからのメギドラオン等ナンバリングによってその攻撃は多岐に渡る｡

その容姿も相まって､プレイヤーへの恐怖は半端ないだろう｡

そして､今の私の身体はほぼそれに近いものになっていた｡

両手に持った一対のハンドキャノンの持ち手には､錆びついた鎖が付いている｡

その鎖は私の首元でクロスするように絡み､マグナム同士を繋ぎ止めている｡

頭には白っぽい布———とはいえ穴は空いてるわ血の跡は付いてるわ酷いもので更に脱げない———を被り､その下から覗く顔は鉄のような無表情｡

その布から溢れる白い髪は､血の影響なんぞないと言わんばかりに美しく流れている｡

歩く度に鳴る鎖の音は､最近になってようやく心を落ち着かせられる様な程までに慣れた｡

身長は160前後と女性にしては少し高め｡

服はボロ布のような黒で､瞳はアクセントのように鮮やかな赤色だった｡

名前は無いが､周囲からは「死神」と呼ばれている｡

ペルソナシリーズの「死神」と同じ名で呼ばれるのは嬉しいやら､悲しいやら｡

……ここがどこか？

———学園都市キヴォトス､そのブラックマーケットだ｡

1.刈り取るさん

という訳で刈り取るさんになってキヴォトスに転生したわ

2.名無しの転生者

立て乙

ペルソナとブルアカとかそれなんてクロス？

3.名無しの転生者

イッチのスペックよろ

5.刈り取るさん

私名無し　最近周囲から「死神」って呼ばれるようになった

身長160前後　胸は普通にある

姿は美少女化した刈り取るさんって感じ

閉められてる箱の中同士を自由に移動出来る

魔法が使える

ハンドキャノンも使える

弾薬とかの売買もたまにしてる

写真とか載せられないのなんなん？これ

7.名無しの転生者

>閉められてる箱の中同士を自由に移動できる

それなんてチート？

9.刈り取るさん

多分ペル4の仕様だと思う

4の刈り取るさんって宝箱の中で芋砂してたから

11.名無しの転生者

ペル4……宝箱……鎖の音……うっ頭が

12.名無しの転生者

やめろ！それを思い出すな！

13.名無しの転生者

ｺﾝｾﾝﾄﾚｲﾄ……ﾏﾊﾑﾄﾞｵﾝ……ﾒｷﾞﾄﾞﾗｵﾝ……ﾔﾀﾞ……ｺﾜｲ……ｶｴﾙ……

14.刈り取るさん

あっ……ご､ごめんね……？

15.名無しの転生者

謝らないで

16.名無しの転生者

泣かないで

17.名無しの転生者

なかないで

18.刈り取るさん

泣いてないし！

今日も元気にブラックマーケットの治安維持(巡回)してるし！

19.名無しの転生者

巡回しててえらい

20.名無しの転生者

えらい

ブラックマーケットに居るっぽいけど今の時期とかって分かる？

22.刈り取るさん

特にないけど､最近不良が若干少なくなってる気がしてる

多分会長失踪したかな？

23.名無しの転生者

原作辺りかー

いつから居るとかは？

25.刈り取るさん

一年くらいかなー

27.名無しの転生者

まじで？

一年で死神呼びって割とかなり凄いぞ？

28.名無しの転生者

多分だけどこれブラックマーケットの外にも話が出てるでしょ

各学校の中核が名前を覚えてるレベルだよ

30.刈り取るさん

やったあ私人気者だ

31.名無しの転生者

そうだけどそうじゃない

なんか無邪気なんだけど違うんだ､危険人物なんだよイッチ

32.名無しの転生者

先生との立場はどうするの？

34.刈り取るさん

シャーレに行くのもいいけど､売買もしてるからそれ活用してアビドスと定期契約結びに行こうかなーって思う

35.名無しの転生者

プロローグには出ないの？

36.刈り取るさん

あー､ワカモが出てくるやつか

最近会ってなかったしせっかくだから会いに行くか

38.名無しの転生者

おっとイッチ×ワカモかこれは？

39.名無しの転生者

キマシ？キマシですか？？？

41.刈り取るさん

ワカモは前世からの推しの一人でしてね……

先生と私のどっちをとるのか正直気になっているんですわ

43.名無しの転生者

ほーん､そりゃそうか

ブラックマーケットに居るんなら会うこともあるよな

45.名無しの転生者

大丈夫？

RPしすぎてコミュ障になったりとかしてない？

48.刈り取るさん

そこは大丈夫

そもそも私声が殆ど出せないからわざわざRPせずともそんな風なキャラになってる

50.名無しの転生者

涙拭けよ

51.名無しの転生者

泣かないで

52.名無しの転生者

そんな凹むなって

54.刈り取るさん

はーーーーーーーーーーー？？？？？？？？

泣いてないが？？？？？？？

向こうがなんか曲解して把握しちゃうせいで友達が居ないとかそんなんじゃないんだが？？？？？？？？

ちゃんと要点掻い摘んで喋ってるからむしろ報連相ちゃんとしてるんだが？？？？？？？？？？

56.名無しの転生者

なんか……その､うん､ごめん

57.名無しの転生者

ほらイッチそろそろD.U.行かなきゃじゃないの？(話題転換)

58.刈り取るさん

分かったよこんちくしょうめ

私行ってくるけどお前ら許さんからな！！

60.刈り取るさん

http://xxxxxxxxxx/images

61.刈り取るさん

あ､画像いけた

62.名無しの転生者

おわふつくし

63.名無しの転生者

イッチかなり美形では？

65.刈り取るさん

画像の上げ方分かったから次からちょくちょくここに上げるわ

あと文字起こしもする予定

67.名無しの転生者

イッチぐう有能

「…………」

脳内の掲示板を一旦閉じ､立ち止まっていた地点から少し進む｡

かなり大きい硝子があってよかった､とか思いながら近くの路地へと潜り込んだ｡

手頃な箱……は､このブラックマーケットではすぐに見つかる｡

早速開いて———

「———ひ､ぅ」

「……ぁ」

———しまった､気配を感じ取るのを忘れていた｡

運悪く箱の中に入っていたスケバンの少女は､突然現れた死神に向こうは大変恐怖しているようだから､出来る範囲でなんとかせねば……

「…………すま､ない｡驚かせた……みたい､だ」

自分が出せる精一杯の声だが､それでもまだ小さい｡

「ぅあ､い､いぇ……ごっ､ごめんなさっ」

話せば話すほどに震えが大きくなっていく……これは危ない｡

私は咄嗟に彼女の頭を撫でるように手を置き､すかさずスキルを発動｡

「コンセントレイト」､それはペルソナシリーズにおける自己補助魔法の一種｡

精神を集中させることで､次に使用する属性魔法攻撃の威力を2倍以上に増加させられる最上位と言っていい程の支援スキルである｡

で､このスキルの利点は魔法威力の増加とそれ以外にもう一個あり､対象の精神を落ち着かせるという効果もある｡

支援スキルは基本コンセントレイトしか他人に使わないのだが､それにはこう言った理由もあるのだ｡

「落ち……つい､た？」

「ん……うん､ありがと……」

「ごめん……『移動』しようと､思ってて……急いでた､かも」

大丈夫､と短く言ったスケバンが､落ち着いた所作で箱から出てきた｡

「さっきは……その､ごめん…………移動するんでしょ？使っていいよ」

「……ありがとう､これ……お礼」

ウェイターのように差し出した手に､私は小さな飴玉を置いた｡

「？……あ､いちご味……ありがと」

「気に､しないで」

小さく手を振ったスケバンの少女に目礼して､箱の蓋を閉じる｡

そうして､その箱の中で閉塞ネットワーク(と私は呼んでいる)を起動してD.U.地区にある適当な箱へと移動した｡

「なんでこんな所に災厄の狐が……！」

連邦捜査部「シャーレ」へと向かう途中､私達は七囚人「災厄の狐」との戦闘を余儀なくされていた｡

連邦生徒会長が失踪した事もあり､その混乱に乗じて脱獄したのだろうが……いかんせんタイミングが悪い｡

しかも先程から少しずつ嫌な予感がしているのもある｡

どうにかして切り抜けないと———

———ジャリ｡

「———！！」

この乱戦の中でもしっかり聞こえた､その鎖の音｡

その音で､敵も味方も全員が足を止めた｡

『———落ち着いて下さい､皆さん……『死神』が､来ました』

"し､死神……？"

『能力不明､神出鬼没……やわな精神力をしているものは､その姿を見ただけで気絶するというこのキヴォトスの「強者」です』

足音はしないのに､確かに存在感を感じる｡

赫い瞳､黒い布､血みどろの頭巾……そして､鎖で繋がれた二丁のハンドキャノン｡

周囲の不良はおろか､味方も誰一人動けない｡

そんなやや長身の女性はゆっくりとワカモの方に近付いて､口を開いた｡

「今回､は……誰､から？」

「今回ばかりは､言えませんわ」

「そっ､か」

短い会話｡

でもそれだけで､彼女達がかなりの強さを誇る事は初見の先生でもよく分かった｡

「……それで､そちらは？もしかして……加勢､とかでしょうか？」

ざわ､と周囲が粟立つ｡

そんな周囲の事などと言わんばかりに首を振った彼女は､小さく言った｡

「今晩､は……唐揚げ」

「！！」

全員の動きが再度止まり､ワカモは耳をピンと立てる｡

からあげ……唐揚げ？？鳥の揚げ物？？？？なんで今？？？？？？？？

「ふ､ふふふふ……これはこれは､さっさと終わらせる理由が増えたみたいですわね？」

「ん…………程々､にね」

えぇ､と声に喜色が混じるワカモが返すと､彼女は鎖の音を小さく鳴らしながらその場から消えていった｡

"……仲良しなんだね､あの二人"

『……先生､そこですか？』

そんな先生の的外れな言葉に､リンのふかーい溜息がシャーレ強行軍の間で響いた｡