「贋作の疑い」ダリ展開催中に警察が強制捜査→ 大量押収も展覧会は続行(イタリア)

絵画、タペストリー、彫刻など展示品の1/4が押収されました
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イタリア北部パルマで開催中のサルバドール・ダリ展で、警察の強制捜査が行われました。同国の美術遺産警察は、ダリの作品とされる21点を押収し、偽造された疑いがあると発表しました。

押収対象となったのは、絵画、タペストリー、彫刻など合計21点。ロイターによると展覧会は約80点の作品で構成されています。展示作品の1/4が押収されたことになりますが、チケット販売部は展覧会を続行すると述べています。

Fox Newsによると、展覧会「Salvador Dalí: Between Art and Myth(芸術と神話のあいだ)」の会場であるパラッツォ・タラスコーニは、16世紀に建てられた歴史的建造物で、パルマを代表する文化拠点として知られています。

疑念の発端は、ローマで今年初めに行われた同展の巡回展示を警察が定期検査した際に起こりました。「低価値のリトグラフやポスターばかり展示され、重要な絵画がないことに不自然さを覚えた」と、検査を指揮したディエゴ・ポグリオ氏はThe Guardianに述べています。

警察がダリの遺産を管理する「ガラ・サルバドール・ダリ財団」(スペイン)に問い合わせたところ「主催者から一度も連絡を受けていない」と回答。財団の専門家が現地調査を行った結果、「不明瞭な点が多い」と判断され、ローマ地方検察が押収を命じました。

警察は「予備調査の段階であり、無罪推定の原則が適用される」と強調しつつも、ポグリオ氏は「特に現代美術において、市場には偽造品がかなり多く存在しています。これは世界的な現象であり、展示前には科学的な真贋調査が不可欠だ」と警鐘を鳴らしています。