米国政府は10月1日、連邦議会で予算案が可決されなかったために、約7年ぶりに一部閉鎖された。
これにより、数十万人規模の連邦職員が自宅待機や一時解雇となる可能性があるほか、国立公園や博物館が閉鎖されるなどの影響が予想される。
そもそもなぜ閉鎖が起きるのかを理解するためには、米国の予算制度を分かっていないといけない。
米国会計年度は10月から翌年9月末までとなる。予算の提出時期は通常2月第1月曜日である。米国予算は行政府の長である大統領の予算案が議会に提出されることにより、予算審議が始まる。日本でも憲法上、内閣が予算を作成して国会に提出するので、提出の始めだけをみると、日米は同じように見える。
しかし、大統領予算案は、議会が予算編成をする際の単なる参考情報だ。このため、議会は大統領予算案に従うことなく、自ら議会予算案を作成する。こうして作成された議会予算案を可決し、大統領の署名を得ることにより、予算が成立する。
一方、日本では国会が予算を作成することなく、内閣から提出された予算案をそのまま可決するか、一部修正して可決し、予算が成立する。
この仕組みが分かっていれば、行政府のトランプ政権にとって、予算が成立しないので政府機関閉鎖というのはとんだとばっちりだ。ただし、米国では比較的よくある話で、実は1980年以降15回もある。
もっとも、政府機関の閉鎖がいいはずはない。つなぎ予算を成立させて、閉鎖を回避しようとする動きは今回もあった。共和党主導のつなぎ予算が出されたが、上院で否決された。閉鎖では、政権党でないほうが、批判されることがよくある。
今回はそれに加えて、閉鎖しても支障がないなら、解雇しても問題ないという、トランプ政権からの批判もある。
結局いつものことなのだが、共和党と民主党の間で政策論争があり、政府機関の閉鎖はだしに使われているだけだ。両党の間では、医療費支出をめぐる対立がある。民主党は、年末に失効予定の健康保険補助金の延長を歳出法案に含めるべきだと主張し、共和党は、補助金は高額すぎると批判している。
いずれにしても、こうした政府閉鎖は、米国のほぼ特有のものである。80年以降の政府機関閉鎖の最長は2018年の35日間であるが、今回も長引きそうである。と言っても、米国民の生活に甚大な悪影響があるわけでもない。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)