保守票も、公明票も離れていく…麻生太郎氏に担がれた「高市早苗首相」が逃れられない"石破化の末路"
党員投票で高市氏が1位になることは事前の予想でも分かっていたが、蓋を開けてみると、全国各地で高市氏がトップとなり、全体の得票数は25万票、得票率は40%にも上った。党員数が激減しているなかで、1年前を5万票近く上回り、党員投票では圧勝となった。 2位の小泉氏は約18万票(28.6%)、3位の林氏は13万票(20.9%)と両氏とも去年から大幅に得票を増やしていたのだが、高市氏の支持が圧倒的だったことが明白になった。 これが決定的だった。麻生氏からの指示とは別に、小泉氏に投票しようと思っていた議員の間にも動揺が広がったという。ある議員は、いま自民党が厳しい状況にある中で、これだけの党員の意思を無視することはできなかった、とその時の心境を明かした。 ■小泉劇場の閉幕 誤算続きだったのは、小泉進次郎氏の陣営だ。参院選大敗後も首相の座にしがみついていた石破茂氏だが、麻生氏や旧安倍派の議員たちによる「石破降ろし」の包囲網が次第に狭まる中、最後に引導を渡したのが菅氏であり、小泉氏だった。 更迭された農水相のピンチヒッターとして備蓄米の安値放出を断行し、改めて存在感を発揮した小泉氏は、世代交代と発信力で自民党復活の救世主となることが期待されていた。菅氏のグループだけでなく、旧岸田派の中堅・若手の議員らが集まり、国会議員は最多の80人を超える支持が見込まれ、党員票も高市氏とトップを競い合う情勢と見られていた。 夫婦別姓などをめぐる不用意な発言で失速した前回の失敗を繰り返さないよう、保守派に人脈のある加藤勝信財務相や岸田氏側近の政策通・木原誠二氏らが脇を固め、発言も「原稿の棒読み」と揶揄されても、正確さと慎重さに心を配った。 しかし、小泉氏らしい発言が鳴りを潜めたことで、逆に小泉氏の魅力が発揮できない結果になった。 それに加えて、小泉陣営の牧島かれん氏らが、ネット動画のコメントに小泉氏に好意的な文章を投稿するよう促していた「ステマ」疑惑や自民党神奈川県連で高市氏に投票した党員を大量に勝手に離党させていたなどとする疑惑が週刊誌に立て続けに報じられたことも大きかった。 小泉氏自身のスキャンダルでもなく、党員の投票行動に影響したかどうかは分からないが、イメージが悪化して三番手の林芳正氏の急速な追い上げに繋がり、それが二人の間で票が分散する結果になったのである。 ■恩師の忠告 小泉氏が米コロンビア大学に留学していた頃の恩師でもあり、半世紀以上の研究で日本政治に精通しているコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏は、かつての教え子の敗北について筆者の取材に次のように述べた。 「進次郎君は、前回の挫折を反省して、幅広い支持を得ようと自分独自の主張抑えて党内融和を訴えた。私は正しい判断だったと思うが、それが進次郎らしさを消してしまい高齢の自民党員からは、彼は未熟で生意気だと見られた。それに加えて、SNSで激しいバッシングを受けたことで失速した。彼には期待しているが、さらに経験が必要だ」