米国のトランプ大統領は26~28日にマレーシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席した後、訪日する見通しとなっている。訪日後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が31日から開かれる韓国を訪れる予定だ。トランプ氏の2期目の就任後、日本訪問は初めてとなる。

 トランプ氏は6日、自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことに交流サイト(SNS)で祝意を表した。高市氏を「非常に尊敬される人物で、知恵と強さを備えている」と評し、「日本国民にとって素晴らしいニュースだ」と述べた。

 28日には、日米首脳会談が行われることになり、高市氏は石破茂首相の後継首相としてトランプ氏と初めて対面する。

 首脳会談では、人と人の間のケミストリーが重要だ。これは一般社会でも同じである。この点、高市氏は、保守系のイタリアのメローニ首相のようにトランプ氏とウマが合いそうなので期待できる。少なくとも、リベラル系の石破氏より合いそうだ。

 おそらく、トランプ氏は、高市氏が自身の敬愛する安倍晋三元首相と同じ保守系という情報を得ているだろう。

 日米首脳会談は日本外交にとって最重要である。トランプ氏は今回、新たな防衛費負担増などを求めてくる可能性もある。しかし、これをクリアするのは、防衛国債を使うことに躊躇(ちゅうちょ)がなく、国防意識の高い高市氏にとって難しくない。この際、防衛費を国内総生産(GDP)比2%ではなく3・5~5・0%まで引き上げたらいい。

 むしろ、日米で合意している約5500億ドル(約80兆円)の対米投資の具体化は厄介だ。石破政権では、公表しなかった話が山ほどありそうなので、後継政権は苦労するだろう。

 筆者としては、トランプ氏が靖国神社参拝についてどう思っているのか、高市氏がこっそりと聞いてほしいと思っている。中国の意向を重視するのか、同盟する米国なのか、今後の高市政権の方向性にも影響するだろう。

 なお、高市氏に対するマスコミの嫌悪は激しいようだ。高市氏が7日夕、党本部で記者団の取材に応じる前、待機していた報道陣の一部から「支持率下げてやる」などの声が漏れたとされる動画がSNS上で拡散されている。

 一方、公明党は靖国神社参拝や外国人問題、政治とカネを条件として、連立を渋っている。その関係で、高市氏の首相指名のために当初調整されていた15日の国会召集が遅れる可能性が大きくなっている。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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