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こうしてアンフェは物語を貪り、草津は彼らの"持ちネタ"と化した

割引あり

 元草津町議の新井祥子に有罪判決が出た。いまやSNSではこの件でもちきりである。もちろん、アンチフェミニストが自身の正当性を主張する好機だからだ。

 残念ながら、この件を事実関係を踏まえたうえで語れる人間は少ない。アンフェの類には皆無である。今回の記事では、草津を題材に、彼らが如何に事実ではなく物語を貪ったのか、そのことで何が起こったのかを論じる。

 なお、草津町を巡る問題の事実関係については以前まとめたことがある。この件をどう評価するにしても、事実関係は揺らがないし、事実に立脚しなければ意味のある議論にはならない。

 事実関係の中身は当該の記事を読んで欲しいが、簡単にまとめるなら、草津町議会には確かに、性被害の告発があった時点で、つまり検証も捜査も始まっていないうちから告発者を排除しようとした問題があった。告発が最初から怪しかったというのは後知恵と誰でも叩くアンフェのまぐれ当たりに過ぎない。告発者の排除は町議会や町を挙げて支持されたものであり、主観的な感じ方はさておき、事実関係だけ見れば町長は追い詰められていなかった。フェミニストの批判はこうした対応の問題が主な論点だった。

 草津町議会やフェミニストをどう評価したいかの思惑を超えて、これは単なる事実である。神を信じようが無神論を決め込もうが地球は球体で太陽の周りをまわっている。あなたがフェミニストだったとしても、逆にアンチフェミニストだったとしても、この事実が変わることはない。この事実を認めない限り、草津町を巡る問題に口を出すことはできない。

駆け巡る物語、押しやられる事実

 しかしながら、アンチフェミニストにとって重要なのは事実ではない。物語である。その物語はたった1行で終わる、世界最小の小説だ。

 フェミニストが嘘で草津町を燃やした

 もちろん、事実ではない。そのことは先に挙げた記事の内容と彼らの主張を照らし合わせれば自ずとわかることだからここではいちいち論じない。各々が検討すればいい。社会問題を云々したいならその程度の労力は払うべきだ。

彼女は草津を叩いた、という物語

 ただ、実例はあったほうがわかりやすいので、あの記事を書いたときから新たに追加された物語を指摘しておく。まず挙げるのは、フェミである彼女は草津を叩いた、という物語である。この「彼女」には任意の"フェミっぽい人"が入り、実際にフェミニストであるかどうかは関係がない。

 例えば、たち登志子・海老名市議が投げかけられた言葉は象徴的だろう。実際には、たち市議は草津町を批判していない。どころか、わざわざ草津町へ赴き下に挙げるような写真を投稿してすらいる。にもかかわらず、彼女はアンフェによって草津町を叩いたことにされ、逆に叩かれることになった。

 たち市議は立憲民主党に所属する女性議員であり、そういう面から「フェミっぽい」と見られたのだろう。しかしながら、彼女の発信を見る限りでは、氏は「フェミっぽい」どころかどちらかといえばアンフェに親和的な人物ではないかとすら思える。例えば、氏はエンターテインメント表現の自由の会 (AFEE) の掲げる表現の自由を守るための約束に賛同しており、その言動からも「表現の自由戦士」と揶揄される人々に近い。「表現の自由戦士」は言うまでもなくアンチフェミニズムに近い立場だ。

 事実、先に挙げた写真は文脈から考えて、草津町批判とフェミニストたちが行ったアピールへの当てこすりと言えるだろう。同じ写真には、同様にAFEEの表現の自由を守る約束に賛同しておりより表現の自由戦士に近い言動で知られるやぶはら太郎・武蔵野市議も写っている。

 素直に考えれば、たち市議の言動は「フェミっぽい」どころかアンチフェミニズムの側に寄っていると捉えられてもやむを得ない。しかしながら、先に挙げたように、アンフェの物語では草津町は「フェミ」である女性に叩かれたことになっている。この物語においては、氏がどのように振る舞ったのかという事実は一切省みられることはない。立憲の女性議員という断片的な情報から「フェミっぽい」と認定されれば、草津町を叩いたことにされてしまうのだ。

 同様の事例でより分かりやすいのは、仁藤夢乃氏を標的した物語だろう。当該ツイートは既に削除されたようなのでスクショかつ他人のツイートの引用で申し訳ないが。

 仁藤氏はフェミニストの側であると断じても構わないだろう。だが、草津町の件に言及したことはない。少なくとも言及の証拠はなく、私の記憶にもない。もし本当に言及していたらアンフェがお祭り騒ぎをしているはずだから、本当に言及していないと考えていいだろう。

 しかし、言及をしていなくとも、「フェミっぽ」ければ草津を叩いたことにされる。アンフェの脳内にあるのは事実ではなく、そういう物語だからだ。

人生を破壊するところだったのに罪が軽い、という物語

 次に挙げたいのは、虚偽告訴を行った新井祥子が一人の人生を破壊するところだったのに軽い刑で済まされている、という物語だ。

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