神奈川県弁護士会は10月8日、依頼者からの預り金約6億円を流用したとして、弁護士法人小田原三の丸法律事務所と代表社員の竹久保好勝弁護士を懲戒手続に付したことを公表した。同会の畑中隆爾会長は談話で「弁護士に対する信頼を失墜させる極めて深刻な事態」と述べている。
同会の調査によると、同法人は受任している多数の遺産分割事件や遺言執行事件などで、預貯金の解約金や不動産の売買代金など預り金口座に預かっていた資金を、恒常的に報酬口座へ移動し、事務所経費の支払に充てるなどしていたという。
●顧客預り金が約6億5200万円あるはずが、口座には約4300万
調査では、顧客預り金が約6億5200万円あるはずが、口座には約4300万円しか残っていなかったという。同会は「預り金の流用は明らか」と指摘している。また、同法人は現在、一部依頼者から預り金の返還を求められているが、応じられない状況にあるという。
同会は、これらの行為が業務上の預り金の取扱いに関する会規に違反し、「弁護士としての品位を失うべき非行」に該当するとして、10月7日に綱紀委員会へ調査を求めた。
また、依頼者を対象とした臨時相談窓口を10月9日から23日まで開設する。