キャリア官僚の経歴に傷をつけないように動く組織
兵庫県の斎藤元彦知事に対しては議会による百条委員会が設置され、市民の中からはリコールといった動きもでましたが、鹿児島県警本部長に対してはどのような動きがあったのでしょうか?
警察庁は6月21日、鹿児島県警枕崎署員による盗撮事件で、捜査状況をきめ細く確認し、指示すべきだったとして、野川明輝本部長を長官訓戒という軽い処分ですませようとしたのです。

兵庫県のケースと違い、この問題は大手の報道機関はほとんど報道しませんでした。当時の私の取材に対しても、HUNTER編集部は大手のマスコミの取材はきていないというばかりでした。「ただのフリーライターだから、いい加減な取材をしているから警察に家宅捜索を受けたのだろう」といった傲慢な考えがメディアにあったようにしか思えません。
鹿児島県警がこのような荒っぽい捜査をした理由は、本部長のクビを守るため、という以外に考えられません。
警察にとってキャリア官僚は、守られるべき存在だということは、私も経験してきました。
オウム真理教の被害者弁護団を支援していた坂本堤弁護士一家が拉致された事件でも、神奈川県警は、絶対に拉致とは認めず失踪事件としていました。なぜなら本部長が拉致事件を未解決で残して転勤となれば、完全に汚点となるからです。結果、坂本弁護士一家は無残な死体で発見されましたが、最初から拉致事件と認定し、オウム真理教へのガサ入れなどを行っていれば結果は違っていたかも知れません(結果的に、本部長は、早期に退職)。