思い出詰まった備品を卒業生や保護者に 閉校した小学校で譲渡会
この春に約150年の歴史に幕を閉じた新潟県長岡市の小学校で、不要になった備品を無償で提供する譲渡会があった。卒業制作の花瓶台やミニ運動会のトロフィー、紙芝居……。自分や子どもが通った学校の「思い出」を持ち帰ろうと、多くの住民が訪れた。
この学校は、今年3月に閉校した市立大積小学校(同市大積町1丁目)。創立は1874年で、最後の在校生は18人だった。閉校後、教材や机、イスなど使えるものは他校で利用し、金属製品などは業者に買い取ってもらった。「残った備品を経費をかけて処分するより、懐かしんでくれる地域住民にもらってほしい」と市教育委員会が初めての試みとして企画した。
譲渡会があった9月28日、朝から住民が次々と訪れて教室や体育館など校内全体を自由に回り、閉校前のまま残されていた備品を手に取った。
近くに住む猪飼聖護(せいご)さん(57)は、木製の花瓶台を運んでいた。側面にクラスの愛称だった「たけのこ」という文字が彫ってある。「娘が22年前に卒業制作した作品で、これが残っていると知って駆けつけた」。28歳になった息子の名前が刻んであるミニ運動会の優勝トロフィーも見つけた。
自身も旧校舎時代に通っていたという妻の美代子さん(57)は「図書室のイスが当時のままだった」と感慨深そう。
教室で画用紙の収納ケースや紙芝居を手にしていた保育士の木村亜胡(あこ)さん(20)は、卒業して以来、初めて校舎に来たという。「学校裏の里山に自分たちでブランコなどをつくって遊んだのを思い出した」。この日見つけた備品は勤め先の認定こども園で使うのだという。
体育館では子どもたちがバスケットボールなどで遊んでいた。5年生の双子と3年生の計3人の子どもを連れてきた40代の母親は「子どもたちは今春から別の学校に通うようになったけれど、久しぶりに母校に来られてうれしそう。ボールをもらって帰ります」と話していた。
この日、正午まで開かれた譲渡会には85人が訪れ、約200点を持ち帰った。10月4日にはやはりこの春に閉校した下塩小学校(同市二ツ郷屋)でも地域住民を対象に譲渡会が行われた。市教委の佐藤陽子課長は「想像以上の方が来て、喜んでくれた。今後も閉校する学校があったら検討したい」と話していた。