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実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

翻訳権10年留保(6)

2012-01-23 09:56:29 | その他の法律
 相談を受けた中でもう一つ問題がありそうなのが、出版権者による差し止めの請求だということである。

 出版権者には、差止請求権があることは間違いがない。しかし、著作権法で規定している出版権の内容は、「文書又は図画」として複製する権利であり、条文上は、このような権利を専有しているにすぎない。CD-ROMでの出版も含めるべきだという議論は有力に存在するようであり、「出版」のイメージとして、著作物の複製物を何かの物に固定してその物を販売することだとすれば、この点は理解できないではない。しかし、インターネットによるアップロードは複製物を固定した「物」を販売するわけではない。このようなアップロードすることまで「出版」といえるどうかは、かなり問題がありそうである。そういった出版権者に、インターネットによるアップロードを差し止める権利があるのだろうか。
 出版権者は、「出版」することについてその権利を専有しているに過ぎず、著作権そのものを有しているわけではないのであるから、差止請求できる対象も、自ずと限界があるはずで、専有権を有する「出版」に該当しない限り、著作物の利用行為を差し止める権利はないとしか思えない。