旧著作権法全体をよく見ると、まず1条に著作権の内容が規定されており、その2項に「文芸学術ノ著作物ノ著作権ハ翻訳権ヲ包含シ……」とある。ここで著作権の内容としての翻訳権の存在が明確にされ、2条は著作権の譲渡について規定されている。ところが、3条から8条までは、その著作権の保護期間について規定されており、そのうちの7条に翻訳権10年留保の規定が存在しているのである。つまり、1条で著作権の内容として明確に規定されている翻訳権の保護期間が7条で原著作物発行後10年と定められているということなのである。その例外は7条後段の規定だけであり、ほかに例外はない。だから、原著作物発行後10年内に国語の翻訳物が発行されれば、その国語の翻訳権は消滅しないが、それ以外は翻訳権そのものが例外なく消滅する規定としか、私には読めないのである。無形利用の形態の翻訳権は消滅しないという規定には到底読めない。
そもそも、旧法が適用されたのは昭和45年までであり、その当時、著作物のインターネットでの利用など、全く想定外のことである。おそらく、著作物、特に文芸著作物の利用といえば、基本的には出版のような有形的利用しか想定し得なかった時代である。そのような時代背景において、旧法では翻訳物の無形利用は10年で消滅することが規定されていないからといって、翻訳権の無形利用は10年留保で消滅しないという、わけの分からない議論が成り立つのだろうか。
さらにいえば、旧著作権法も時代とともに改正がされており、著作権の内容として、放送権(無線電話ニ依ル放送)が25条の5に規定されるようになっていた。これは無形利用でないはずがない。しかし、このような規定の存在にもかかわらず、翻訳権が10年で消滅することにつき、7条後段以外にいささかの例外も規定していない。したがって、旧法の解釈上も、翻訳物の放送権も10年で消滅しているとしか考えられないと思うのだが……。
そもそも、旧法が適用されたのは昭和45年までであり、その当時、著作物のインターネットでの利用など、全く想定外のことである。おそらく、著作物、特に文芸著作物の利用といえば、基本的には出版のような有形的利用しか想定し得なかった時代である。そのような時代背景において、旧法では翻訳物の無形利用は10年で消滅することが規定されていないからといって、翻訳権の無形利用は10年留保で消滅しないという、わけの分からない議論が成り立つのだろうか。
さらにいえば、旧著作権法も時代とともに改正がされており、著作権の内容として、放送権(無線電話ニ依ル放送)が25条の5に規定されるようになっていた。これは無形利用でないはずがない。しかし、このような規定の存在にもかかわらず、翻訳権が10年で消滅することにつき、7条後段以外にいささかの例外も規定していない。したがって、旧法の解釈上も、翻訳物の放送権も10年で消滅しているとしか考えられないと思うのだが……。