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第7部
76話 佐倉舞⑤
「ああっ♡ ああっ♡ マコくん、ああ、マコくぅんっ♡♡」
その日も舞は春日の部屋でセックスをしていた。
全裸になってベッドの上で四つん這いになり、後背位の体勢で春日のたくましいペニスで突かれまくっている。パン! パン! パン! とまるでお尻を叩いているかのような音が、先ほどからずっと室内に鳴り響いていた。
「あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡」
激しく力強い抽送 は一見 乱暴なように見えて、その実、的確に女体の弱点をとらえている。
おまけに春日は今日もコンドームをつけていない。むき出しのペニスで膣内 をかきまわされる快感に翻弄された舞は、セックスが始まってからずっと悲鳴のような嬌声をあげ続けていた。
両手でベッドシーツを握りしめた舞は甲高い声で限界を訴える。
「ああ、もうだめぇ!♡♡ マコくん、私イきます♡ またイっちゃいます!♡♡」
「いいですよ、思いっきりイってください! 俺も一緒にイきますから!」
「ああああっ♡♡ イク、イク、イクうううううっ!♡♡♡」
春日にがっしりと腰をつかまれたまま、身体を大きくのけぞらせた舞は、本能のおもむくままに官能にまみれた声を張り上げる。
夏の盛りとて、春日の部屋は窓を閉め切ってエアコンを利かせているが、今の絶叫は間違いなく外にまで響いたに違いない。
春日の部屋の向かいは娘の花恋の部屋だ。娘にはしたないアクメ声を聞かれてしまったかもしれない――舞はそのことに気づいたが、それでも口からもれる嬌声を押さえ込むことはできなかった。
内臓をじかに撫でまわされるような、脳みそを直接舌で舐めまわされるような、ある意味拷問に等しい暴力的な快楽の前では個人の自制心など何の役にも立たない。
加えて、今も舞の子宮には大量の精液が注ぎ込まれている。生殖行為という本能に根差した圧倒的な快感と幸福感は、何度味わっても慣れるということがない。何度味わっても最高の高揚を与えてくれる。
舞は今、自分が女性として生まれたことに心から感謝していた。
女性として生まれたからこそ、このたとえようもないほど強烈な快楽を享受することができる。そして、それだけの快楽を与えてくれる男性に対し、感謝を超えた好意をおぼえてしまうのは仕方のないことだった。たとえそれが娘と同じ年齢の男の子であったとしても、である。
「ああ……♡ マコくん……♡ マコくぅん……っ♡」
舞は上半身をひねるようにして後ろを向くと、キスを求めて唇を突き出す。
春日はすぐに舞の求めに気づいたようで、ぐっと身を乗り出して唇を重ねてきた。こういう打てば響くような相手の反応も、舞の幸福感に拍車をかける。この人は私のことをわかってくれている、と実感できる。
たちまち二つの舌がからみあい、互いの唇を吸い合う淫らな音が室内に響いた。
それから二人はさらに二度、三度とセックスを重ね、膣内 出しを重ねていく。
先日、佐倉家の風呂場でおこなわれた生セックス以来、春日は舞にナマの許しを求めなくなっていた。今日も春日は当たり前のようにナマで挿入し、当たり前のように膣内 出しをしている。
本来、舞はそのことを咎めなければならないのだが、実際に口から出たのは快楽のあえぎ声ばかりだった。そのことを夫に対して申し訳なく思う気持ちさえ、春日から与えられる圧倒的な幸福感に呑まれてしまう。
あのお風呂での生セックスによって、自分が超えてはならない一線を超えてしまったことを、舞は自覚せざるをえなかった。
(マコくんとあの約束をした日からピルは飲んでる。危険日でもないから妊娠はしないと思うけど……)
舞は内心でそう考えるが、それはあくまで今だけのことだ。春日はセックスのたびに子宮からあふれでるほどの精液を注ぎこんでくる。このまま関係を続けていけば、いつかは妊娠してしまうのは目に見えていた。
そうなったらどうなってしまうのか。
夫が徹底して妊娠のリスクを回避している以上、お腹の子供が不貞の結果であることは明白である。春日との関係はすぐにバレてしまうだろう。というより、春日の方から嬉々として暴露してしまう気がしてならない。
春日が夫から舞を奪おうとしていることは、これまでの言動から察することができる。
それが一時の気の迷いなのか、それとも本気の感情なのかはわからないが、どちらにせよ、もうじき四十になる自分と高校生の男の子の関係がうまくいくはずがない。
今の関係を続ければ全員が不幸になる。夫や娘だけではない。春日や生まれてくる子供さえもだ。
それがわかっている以上、ストップをかけるのは大人である舞の役割だ。必要とあらば当初の約束を破ってでも春日との関係を断ち切らなければならない。
――そうしなければならないと分かっているのに、舞は今日も春日を拒むことができなかった。
何故なら、春日を拒めば次の子供を授かる機会は二度と来ないとわかっていたからだ。
むろん、舞は誰の子供でもいいから欲しいなどと思っているわけではない。舞が欲しいのはあくまで夫の――明 の子供である。
だが、肝心の明にその意思がない以上、舞としては次善の案を求めざるをえない。
そして明以外の相手は、と自らに問うたとき、真っ先に浮かんでくるのは常に隣家の男の子の顔だった。そもそも、間もなく四十路を迎える自分を孕ませよう、などと真剣に考えてくれる男性が春日の他にいるとも思えない。
そこまで考えを進めていくと、自然と次にとるべき行動も浮かんでくる。
留意するべきは「不貞による妊娠」を避けることだ。それはすべての関係者を傷つける行為である。
ならば、子供を望まない夫と話し合いの末に離婚し、その上で夫以外の相手と子供をつくればいい。
もちろん、それはそれで家族や周囲を傷つけてしまうが、自分の望みをかなえるために筋を通そうと思えばそれしかない、と舞は思う。
当然ながら高校生の春日に結婚を求めるつもりはなく、生まれてくる子供は舞が責任をもって育てるつもりだった。幸い、舞には結婚時に両親が持たせてくれた資産がある。子供が成人するまで人並みの生活を送る程度のことはできるだろう。
それ以外の選択肢としては、子供を諦めて今までどおり明と夫婦を続ける、というものもあるが――その案を想像したとき、舞は自分でも驚くほど心が沈みこむのを感じた。その選択肢は嫌だと心が叫んでいる。
理由はどうあれ、舞は自分の本当の望みを自覚した。これまでは夫に遠慮して押し殺してきたその願いを、もう一度心に押し込めることは耐えがたい。
それに、春日とのセックスを毎日のように味わわされた今、週に一度か二度の明との性生活に満足できるとも思えなかった。
(無理して今の生活を続けても、遠からず破 綻 してしまう。いつの間にか、マコくんはこんなにも私の中に入り込んでいたのね……)
そんなことを考えながら、舞は自分から春日に抱きつくと相手の身体に腕をまわした。そして、春日の耳元で小さく「好きよ、マコくん」とささやきかける。
突然のことに春日が驚いたように目を白黒させていたが、舞はあえてそれに気づかないふりをする。
強引に自分を変えてしまった男の子に対する、せめてもの意趣返しであった。
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