タカイチに李在明がケンカを売れない3つの理由 「極右政権誕生」に歯がみはするけれど――鈴置高史氏が読む
韓国の弱みは通貨スワップ
――では、李在明政権はそろそろ反日の本性を現すのでしょうか。 鈴置:そうしたいのは山々でしょう。でも今、韓国には日本に逆らえない決定的な弱みがあります。まず、通貨スワップです。韓国は関税交渉で、米国に3500億ドル投資すると約束しました。 その投資に関し最近、トランプ(Donald Trump)大統領は「前払いだ」と言い出した。韓国の外貨準備は2025年8月末現在で4163億ドルに過ぎません。もし、一括で3500億ドル米国に送金したら、外貨準備が枯渇して通貨危機に陥る可能性が極めて高い。 そこで韓国政府は米政府にスワップを要求しましたが拒否されました。それどころか、投資金額を3500億ドルから引き上げよと脅されました。 いざという時に韓国に米ドルを供給してくれる2国間の通貨スワップを結んでくれるのは日本ぐらい。岸田文雄政権が関係改善の証として100億ドル規模のスワップを結んでしまっていたのです。 その期限は2026年12月。日韓スワップの延長と増額が韓国の死命を制します。日本に頭を下げる必要がある時、日本にケンカは売れません、どんなに「タカイチ」が不愉快だろうが。 ――韓国は米国との関税交渉を打ち切る手がありませんか? 鈴置:そうすれば、乗用車など米国へ輸出する多くの韓国製品には25%の関税がかかることになります。日本やEUの15%と比べ大幅に不利です。貿易収支の黒字が減るのは確実です。赤字になれば外貨準備が減少して通貨危機の可能性が増します。 そもそも中国産業の厚みが増して韓国の対中輸出が細り始めている。この面からも外貨準備は頭打ちの傾向にあるのです。
TPPは日本の拒否権が壁
――米中以外の市場を開拓する必要がありますね。 鈴置:その点からも韓国は日本を敵に回せません。李在明政権はCPTPP(包括的・先進的環太平洋経済連携協定)に加盟する方針を打ち出しました。オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、英国の12カ国が参加する貿易協定です。 当初は米国も参加予定で、経済的な対中包囲網と見なされていました。韓国も入りたかったのですが、中国の顔色を見て動けませんでした。対米・対中輸出ともに減りそうになった今、ようやく正式に参加を表明したのです。 でも、加盟するには既存の加盟国の同意が必要です。韓国は2013年9月に、東日本の大震災を理由に福島など8県の水産物の輸入を禁止しました。 開催決定の直前に発動したことから見て、東京五輪を妨害しようとの意図は明らかでした。決まった後も、韓国選手団は東京に自前の食堂を作り、世界に「汚染された日本」を訴えました。 日本政府はWTO(世界貿易機関)違反として是正を求めていますが、韓国は拒否しています。CPTPP加盟の際の交渉カードに使うつもりなのでしょうが。いずれにせよ、このままでは日本の同意を取り付けることはできません。