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賛否両論YouTuberヒカル「米プロジェクト」批判に反論「新たな選択肢」で日本農業に一石投じるか

青髪のテツ八百屋歴14年|野菜のプロ

おはようございます。八百屋歴10年の青髪のテツです。

YouTuberのヒカルさんが打ち出した、農家から直接高値で米を買い取り、消費者に販売するプロジェクトが大きな反響を呼んでいます。

知らない方のために簡単に説明すると「ヒカルさんがお米農家から高くお米を買い取って、動画を見ている消費者に販売するというプロジェクト」でヒカルさん曰く、目的は米農家さんに安定的な利益を出してもらい継続的な経営をしてほしいという動きです。

前回の動画公開後、わずか数日で再生回数は180万回を超え、購入希望の予約者は1万8000人、米の販売を希望する農家からも85件の問い合わせが寄せられるなど、その注目度の高さがうかがえます。

しかし、その一方で「中抜きだ」「相場を無視している」といった批判の声も上がっており、ヒカルさんは自身のYouTubeチャンネルでこれらの意見に反論しました。

「利益追求ではない」コスト構造を説明

特にSNS上で拡散された「中抜きで利益を出しすぎている」という指摘に対し、ヒカルさんは具体的なコスト構造(見込み)を提示しました。

商品原価や配送費、保管費、販管費などを差し引くと、計画上の営業利益は約10%であり、新規事業のリスクを考慮すると「良くても5%程度か、トントンになる可能性もあります」と説明しました。

多少利益は出さないと事業継続は不可能

「儲けることが悪ではありません。利益が出なければ事業は継続できません」としつつも、他の事業と比較して効率が良いわけではなく、あくまで「自分にできること」として取り組んでいる姿勢を強調しました。

お米農家との継続的な取引を目指す

また、「買取価格が安すぎる」との批判には、現在もお米の価格が高騰し続けており、価格設定が1ヶ月前であったため、その時よりも現在の価格が高くなってしまっていると説明。とはいえ、お米は高くなることもあるが安くなることもある。そのため、価格変動にその都度付き合っていたら、本来の目的である「お米農家に利益を出してもらう」という目的が達成できなくなる。そこで相場変動に左右されない「安定価格」での継続的な取引を目指していることを説明しました。

市場価格が下がっても提示価格(60kgあたり2万3000円)での買い取りを続けたいとし、「農家も消費者も安定した取引ができること」を重視する考えを示しました。

賛否を超えて 「選択肢」としての価値

ヒカルさんは、自身のプロジェクトはJA(農業協同組合)などを否定するものではなく、あくまで「数ある選択肢の一つ」であると繰り返し強調します。

すでに1万8000人以上の購入希望者と、85件の販売希望農家がいるという事実は、既存の流通システムだけでは満たされない需要と供給が確かに存在することを示唆しています。

この需要と供給のマッチングが実現しつつある現状に対し、その取り組み自体を頭ごなしに否定することは建設的とは言えないでしょう。

ヒカルさんは今後、集めた米はブレンドせず、生産者情報などを明記したリーフレットを同梱して発送する計画だということです。品質検査も実施し、トレーサビリティの確保にも努める構えです。

「知らなかった」から始まった挑戦 農業界への波紋

「なぜ今更?」というタイミングに関する批判には、「単純に知りませんでした」と率直に認め、「問題に気づいた今、行動することが大事です」と反論しました。

農業に関する知識不足を指摘する声にも、「知らないからこそできる改革もあります」とし、自身の発信が議論を喚起すること自体に価値があるとの考えを示しました。

ここまで、動画の要約をお伝えしました。ここからは私が個人的に感じた意見です。

消費者に伝わった農業界の課題

このプロジェクトは、ヒカルさん自身が意図する以上に、現代日本の農業が抱える課題を浮き彫りにした側面があります。

私が感じている農業の課題というのは、農家の高齢化、後継者不足、輸入農産物との競争、そして消費者の農業に対する理解不足などです。

消費者の理解不足というのは、例えば...

「日本の野菜は農薬まみれ」という批判がよくSNSで出回りますが、これは間違っています。国が定めた基準を守って農家のみなさんは野菜を作っているんです。そもそも農薬は高いので農家さんも使わなくて生産が成り立つのなら使いたくないんです。

また、「規格外野菜はもっと市場に出すべき」といった消費者からの要望が多くありますが、これを行うと野菜が値崩れして結果的に農家さんの利益が落ちてしまったり、形が悪い野菜は箱に入らなかったり、傷みやすかったりと流通の効率がかなり悪いんです。規格外野菜には程度にもよりますがこのような問題があるため、農家さんは栽培技術を磨いて、なるべく綺麗で形の良い野菜を作る努力をしているんです。

個人的には今回の件で農業に注目が集まり、このような誤解を解くキッカケになれば嬉しいなと考えています。

今回のヒカルさんの取り組みは、良くも悪くも多くの人の注目を集め、これまで農業に関心のなかった層にも考えるきっかけを与えました。

これを機に、農家の生の声や実情がより広く社会に伝わることは、日本の農業にとってプラスに働く可能性があるのではないかと筆者は考えています。

日本の米を守るために 消費者ができること

このプロジェクトが今後どのような展開を見せるかは未知数です。しかし、新たな流通モデルへの挑戦が始まったことは注目に値します。

私たち消費者が日本の米農家を応援するためにできる、最もシンプルで力強い方法は、日々の食卓で国産米を選ぶことです。どこで買うか、どの銘柄を選ぶかは個人の自由ですが、「日本の米をもりもり食べる」という行為そのものが、生産者への直接的な支援となります。 ヒカルさんのプロジェクトが成功するか否かに関わらず、この一件が、私たち一人ひとりが日本の食と農業について改めて考える機会となることが期待されます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

他にも「バナナが2週間長持ちする保存の裏技」や「知らなきゃ損!野菜の栄養を逃がさないための常識が変わる10のコツ」という記事を書いているので、気になる方は合わせて読んでみてください。

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ありがとうございます。
八百屋歴14年|野菜のプロ

八百屋歴14年|野菜や果物の選び方、保存方法、食べ方、豆知識など発信|Xのフォロワー数は70万人超|野菜の本を5冊出版|ブログ『やさいのトリセツ』を運営

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