「氷河期世代」が直面する“介護問題” 親と同居する未婚者「約72万人」が経済的に追い詰められる試算も 男性より女性が深刻な理由とは
派遣社員の立場で介護休暇を取れば、契約を切られる可能性がある。訪問介護やデイサービスも自己負担があり、今の収入では利用できる範囲が限られてしまう。 母はよく、「迷惑をかけたくない」と口にするが、聞くたびに胸が痛む。 「結局は、制度や支援からこぼれ落ちて、誰にも助けてもらえずに追い込まれていくのではないかと、そんな不安がつきまといます」(女性) 日本総合研究所の下田さんは、「親と同居する未婚者の介護は、経済的困窮に陥る恐れがある」と語る。 「就職氷河期世代のうち厳しい雇用・所得環境に身を置いてきた人は、経済的な理由から、未婚で親と同居しているケースが少なくありません。そうした人たちは、親の収入や資産に頼って生活を維持してきましたが、親が高齢化し介護が必要になることで『親に頼る』立場から『親に頼られる』立場へと役割が逆転します」 下田さんが総務省の「国勢調査」などから試算した結果、就職氷河期世代のうち、未婚で親と同居する非就業者や非正規雇用者は、20年時点で、親の介護や死亡などによって約72万人が経済的に追い詰められる心配があることがわかった。男女別では男性29万人に対し女性43万人と、非正規雇用率が高い女性が深刻な影響を受ける可能性が高いことが浮き彫りになった。 ■仕事と介護の両立支援 さらに、親と同居する未婚者は、親の介護が必要となった時に、「孤立し社会的な繋がりが欠如する可能性がある」と下田さんは言う。 「この層には、ひきこもりなど社会との繋がりが希薄で、親が唯一の支えという人も少なくありません。こうした人たちは、親の介護や死後、完全に孤立するリスクがあり、孤立していると、公的機関の情報や支援が届きにくいという課題が生じます」 親の介護をきっかけに、金銭負担が増し、経済的に困窮していく就職氷河期世代――。対策として何が必要か。 下田さんは、「仕事と介護の両立支援が重要」と説く。 「雇用形態にかかわらず、仕事と介護を両立しやすくするための支援が欠かせません」