「氷河期世代」が直面する“介護問題” 親と同居する未婚者「約72万人」が経済的に追い詰められる試算も 男性より女性が深刻な理由とは
そのためには介護制度の利用が不可欠だが、利用率は高いとはいえない。下田さんの調べでは、50歳代の介護制度の利用率(22年)は、1~2割程度にとどまる。国や自治体の周知が足りておらず、介護制度の存在や利用方法を具体的に知らない人が多いためだという。 「利用する側も、親の介護のために仕事を一時的に休んだり、時短勤務を利用したりすることに気が引けてしまうような人が少なくないと思います。国や自治体は制度を積極的に周知したり、企業に制度利用を促すようなインセンティブを設定することが重要です。また、企業も、柔軟な働き方を可能にし、働く人が引け目を感じることなく介護制度を利用できる雰囲気を築いていくことが求められます」(下田さん) ■心の準備を とりわけ、経済的に困窮する親と同居する就職氷河期世代に対しては、未婚女性などターゲットを絞った就業支援に加え、福祉面からのサポートも必要と下田さん。 「ひきこもりなど、情報が届きにくい人には、家庭訪問や近隣からの情報収集といったアウトリーチや、NPOとの連携による伴走支援といった、多様な方法で情報や支援を届ける努力が必要です」 氷河期世代が抱える介護の課題は多岐にわたり、解決策は一つではない。下田さんは最後にこうアドバイスする。 「就職氷河期世代は、親の介護に直面する可能性が高まるとされる50歳代を順次迎えています。いざという時に慌てないよう、制度や仕組みを知って、心の準備をしておくことが大切です」 (AERA編集部・野村昌二)
野村昌二