日本でもマイナンバーを使えばすぐに実現できる

日本でも、ようやく技術的な基盤が整いつつある。マイナポータルでは、すでに特定健診の結果を閲覧できるようになった。APIを通じて、健診受診データを外部サービスと連携することも可能だ。

つまり、「誰が健診を受けたか」を把握し、それに応じて自動的にインセンティブやペナルティを付与するシステムは、技術的にはすぐにでも実現可能なのだ。

マイナポイント事業では、数百万人規模へのポイント付与を実現した実績もある。この仕組みを転用すれば、健診受診者への即座のポイント還元も難しくない。保険料の調整についても、システム改修さえすれば個人単位での加算・減算は可能だ。

私が提案したいのは、シンプルな仕組みだ。健診を受けた人には、マイナポイントや保険料割引という形で明確なメリットを与える。受けない人には、保険料を少し上乗せする。これだけのことだ。

マイナンバーカード
写真=iStock.com/KISUGI YUKA
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人間は「得をする」より「損をしない」ことを優先する生き物

なぜペナルティが必要なのか。それは、人間の心理を考えれば明らかだ。

行動経済学の研究によれば、人は「得をする」ことよりも「損をしない」ことに敏感に反応する。同じ1000円でも、もらえる喜びより失う痛みの方が大きく感じられるのだ。だから、ポイント還元だけでなく、保険料加算というペナルティも組み合わせることで、より強力な動機付けになる。

福岡県医師国民健康保険組合の事例は興味深い。3年連続で健診を受けた人は保険料2%減額、2年連続で受けなかった人は2%増額した。この程度の差でも、受診率は確実に向上したという。

重要なのは、インセンティブの即時性だ。健診を受けたらすぐにポイントが付与される。この「すぐに報われる」感覚が、行動変容には不可欠なのだ。年度末にまとめて、では効果は半減する。