連合は8日、東京都内で7日から開いていた定期大会で、芳野友子会長の3期目の続投を承認した。来期も物価高に対応する賃上げの加速が喫緊の課題だが、支援する国民民主党は連立の枠組み拡大を模索する自民党の高市早苗総裁との連携に意欲をみせる。国民民主の政権入りは、連合内労組の分裂を招きかねないため反対する声が強く、政局も絡んで難しいかじ取りを迫られる。
「連立入りは容認できない。立憲民主党と国民民主が野党の立場で与党に対峙(たいじ)することが大事だ」
芳野氏は8日の定期大会後の記者会見で、自民に接近する国民民主にこうくぎを刺した。7日に大会に出席した国民民主の玉木雄一郎代表は「(自民との連立を)ご心配いただかなくて結構」とあいさつしており、芳野氏は「心配ないと言っていたので、その言葉を信じたい」と念を押した。
今年の春闘では2年連続となる5%台の賃上げを実現し、首相と連合会長が直接協議する「政労会見」を自公政権下で16年ぶりに開催するなど、芳野氏の手腕を評価する声は大きい。ただ、同じく支援する立憲民主と国民民主の溝は埋まらず、政権寄りの動きをみせる国民民主は悩みの種だ。
岸田文雄前政権下でも、国民民主幹部の入閣がささやかれるなど連立政権参加論が一時浮上した。国民民主とパイプを持つ自民の麻生太郎副総裁が動き、今回も榛葉賀津也幹事長と面会を重ねる。芳野氏は麻生氏とも親交はあるが、「連合が割れるようなことはあってはならない」と連立政権入りに一貫して反対する。
国民民主を支える連合傘下の4つの産業別労働組合(産別)も、政権入りで連合とたもとを分かつ考えはない。産別関係者は「国民民主が労組のことをどう考えるかだ。産別を切り離していいと思うなら、連立すればいい」と強調し、芳野氏と歩調を合わせる。
一方、過去の選挙で共産党と選挙協力をしてきた立民への不信感も根強い。芳野氏は「連合と共産は考え方が違う。一緒に何かをやるのは非常に難しい」と述べている。女性初の連合会長となって3期目。物価高で賃上げに奔走する一方、別々の方向を向く支援政党の手綱を握ることには苦労が続きそうだ。
(楠城泰介)