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体育祭当日


3年A組の藤巻が開会宣言を行い、体育祭が幕を開けた。


競い合う赤組と白組はトラックを挟み合って向かい合うようにテントが設置されているため、競技中以外は接触できないようになっている。もっとも、AクラスやDクラスに仲が良い生徒はほぼいないため影響はない。


医療関係者に、室内にはウォーターサーバーがあり、桐山が結果判定用のカメラが正常に作動するかチェックしていた。


開会式が終わり、1年の100メートル走から始まる。1レース8人の10組で行われる。


一之瀬「あ、綾小路くん頑張ろうね」


綾小路「そうだな」


一之瀬「私、頑張るから、見ててね」


小橋「私も応援してくれたら嬉しいな」


綾小路「ああ」


一之瀬と小橋に上目遣いでお願いされれば断るわけにもいかず応援することにした。その前にまずは男子の100メートル走がある。


男子1組目の生徒たちがクラウチングスタートの態勢に入る。この組はDクラスの須藤が勝つだろう。周囲の予想通り、須藤が圧倒的大差でゴールした。同じ1組目のBクラスの生徒は5位と6位だった。


オレは横にいる平田に話しかけた。まさか、平田と一緒とは...相当アウェイになるな。


綾小路「さすがに速いな」


平田「そうだけど、なんかもったいないと思うんだよね」


須藤と同じレースにそれなりに速い生徒がいなかったのだ。Dクラスにとってはマイナスだろうが、Bクラスにとってはラッキーだった。これで柴田や神崎と潰しあいを回避できた。この競技で高得点など狙っていない。獲れるところで獲っていけばいい。それにDクラス以外は主力を持ってきていない。これだけでも各クラスのリーダーの考え方が現れている。


オレ個人としては次のレースを注目していた。


神崎と葛城がいるからだ。AクラスのリーダーとBクラスの主力。せめて2位を取らないとあとが厳しくなる。レースは神崎と葛城を含め途中まで拮抗していたが、最後は神崎が抜け出した。


その後もレースは消化されていき、ついにオレが走る7レース目。良くも悪くも注目されているだろう。相手はCクラスでバスケ部の小宮、Aクラスの司城、Dクラスの平田と各クラスのエース級が揃っているからだ。そのため、声援もすごい。オレへの声援も聞こえるが、はやり平田には及ばない。勘違いしないでほしくないのは、声援が平田に負けて悔しいとは思っていない。全くないのは寂しいが、何人かは声援を送ってくれてるようだし、このくらいでいい。


一之瀬「綾小路くん!頑張って」


安藤「ファイトだよ。綾小路くん!」


網倉「1位じゃなかったらパフェ奢りね!」


柴田「綾小路!負けたら承知しねーからな」


など、若干脅迫じみた声もあったがありがたく気持ちを受け取る。


ここまで言われたら、勝つしかないだろと思い、調節しながら走り僅差で1位を取った。これなら、たまたまとかコースが良かったから、と言えば説明がつく。


1位を取った生徒が並ぶ列に行くと、Bクラスのみんなから称賛された。


柴田「あの平田に勝つなんてすげーな」


神崎「さすが、綾小路だな」


他のクラスメイトから迷惑そうな視線を向けられバツ悪そうに視線を背けた。男子が終わると、オレは列から抜けてゴール付近で待機する。これも生徒会役員の仕事で、1年女子の100メートル走は列まで誘導する係になっている。同じ係に当たっている南雲が話しかけてきた。


南雲「やるじゃなねえか。あの平田に勝つなんて」


綾小路「コースがよかっただけですよ。カーブのところでスピードを維持できたからです」


南雲「俺にはそう見えなかったけどな。そういうことにしといてやるよ」


そう笑いながら、言ってくる。まいったな。南雲にはお見通しだったようだ。


女子で注目していたのは、一之瀬とCクラスで陸上部の木下美野里、Dクラスで水泳部の小野寺かや乃がいる第3レースと最終レースの堀北VS伊吹だ。一之瀬は2位だった。伊吹は堀北にバチバチ火花を散らしているが、堀北は全く意に介してない様子なのが面白い。本当に接戦だったがわずかに堀北の方が早かったようで伊吹は負けて悔しそうにしていたが、あの二人に接点なんてあったのか?思い出すとすれば無人島試験ぐらいだろう。あの戦いで何かあったのかもしれないな。


スタートダッシュは伊吹のほうが速く、最初の差をキープしたまま進んだが、最後の最後で堀北が抜いて1位を取った。息を切らせる堀北の横で息を切らせるの横で悔しそうにする伊吹。堀北を気にしすぎたのが敗因だな。それにしても、2人ともきれいなフォームだと感心した。


とのレースは主力を入れないでよかった。


だが、この種目はオレ、柴田、神崎、安藤、南方が1位、一之瀬と津辺が2位。クラス全体で見れば奮わなかった。次の競技を待っていると、奥から競技が終わったであろう一之瀬が何とは言わないがあるものを揺らしながらこちらに小走りしていた。


一之瀬「綾小路くん1位おめでとう。平田くんに勝っちゃうなんてすごいね」


綾小路「ああ。一之瀬は2位だったな」


一之瀬「1位取れなくてごめんね」


綾小路「まだ始まったばかりだからこれから取っていけばいい。そういえば神崎のとき、1人足りないみたいでしたがどうしたんだ?」


一之瀬「高円寺くんだよ」


そう言いながら一之瀬は赤組のテントの方を指差す。見てみると、Dクラスの高円寺が手鏡を見ながらくつろいでいるようだ。


一之瀬「体調不良だって」


高円寺か。どう見ても、体調不良には見えないけどな...実力者なのは確かなようだが、あの性格からDクラスにとっては不安要素なのだろう。たちが悪いのは能力の高さ、これが実力のないものならともかく、紛れも無い実力者。これほど使えない秘密兵器はない。


そんなことを考えていると、3年の100メートル走も係にあたっているため、急いで向かった。


須藤「おい、テメエ、不参加とか舐めてんじゃねーぞ」


そんな須藤の怒声が聞こえた。その方角を見ると、須藤が高円寺に何か言っているようだった。それと、なんとか仲裁しようとする平田がいた。


今にも殴りかかりそうな位置まで詰めているが、高円寺の方は気にも留めていないような感じた。窓ガラスに写った自分の姿に見惚れる強心臓ぶりを発揮している。だが、その姿勢が須藤に火に油を注いでいる。


須藤「殴られなきゃ、わかんねーみたいだな高円寺」


平田「それはダメだよ須藤くん。先生に知られたら...」


須藤「うせえな」


高円寺「君は相変わらずむさ苦しいねぇ。私は1人静かに過ごしたくてもここに来たんだが。見ての通り今日も体調不良でね。迷惑をかけないために辞退したまでさ」


須藤「嘘つくじゃねえよ!練習だけならともかく、本番までさぼりやがって!」


須藤が怒りたくなるのも無理はない。どこをどう見ても高円寺は健康そのものだ。須藤の我慢が限界に達したのか、拳を振り上げた。1発殴って高円寺の目を覚まさせようとしていたのだろう。だが、規格外のこの男には通用しなかった。高円寺は突き出された拳を平然と掌で受け止めた。

高円寺は須藤の顔を見ることなく言い放つ。


高円寺「やめたまえ。君では、私に勝てない」


須藤がクラスメイト相手に手を抜いたようには見えなかった。全力で振るった拳を呆気なく受け止められ、須藤自身も高円寺の高いポテンシャルを肌で感じ取っただろうか。正直、オレも驚いた。高円寺が上だとは思っていたが、予想よりも上だった。しかし、須藤は怯むことなく気を増したように見えた。


須藤「だったら、かかってこいよ。その自慢の鼻をへし折ってやるからよ」


ここまでかな。生徒会役員のオレが見逃したら、いろいろ問題になる。高円寺について少し収穫があったからよしとしよう。


綾小路「そこまでだ、2人とも」


須藤「ああ、綾小路!?」


高円寺「誰かと、思えば綾小路ボーイか。生徒会の役員も暇なようだねえ」


綾小路「巡回も仕事のうちだからな。須藤はすぐに戻れ」


須藤「何でだよ!こいつが!」


綾小路「オレがDクラスの事情を知らはずもない。暴力沙汰は生徒会で問題にあげるべき問題だ。1学期の件は忘れたのか?」


須藤「ちっ。わーたっよ」


須藤はDクラスのテントに戻っていった。オレも戻ろうとすると高円寺に呼び止められた。


高円寺「綾小路ボーイ、君に聞きたいことがある」


綾小路「なんだ」


高円寺「君はこの学校についてどう思ってるんだい?」


綾小路「オレか?不満はないが?」


高円寺「そうかい。君もつまらない男だ」


急いで向かうと、始まる寸前だった。腹痛と言ったから、咎められることはなかったが南雲には笑われた。


堀北学はさすがというべき走りで1位だった。リーダーシップも統率力もあれば、勉強もできるし運動までできて万能とはこういう男のことを指すのだろう。


全学年の100メートル走が終わると、点数の集計に入る。教師だけではなく生徒会のメンバーも集計する。次の競技の前に点数を発表する。


赤組1981点 白組1921点


1つ目の競技が終った段階では、そこまで点数は離れていなかった。

Comments

  • おぉ!続き楽しみにしてます!

    July 9, 2022
  • ヌッ

    いつも楽しく読ませてもらっています!続きお待ちしています

    May 19, 2022
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