岩手県南西部にある北上市に合計出力が2.9MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「北上第1・第2ソーラー発電所」がある(図1)。
北上市が開発・運営している市営のメガソーラーで、第1発電所が出力1.5MW、第2発電所が出力1.4MWの構成となっている。同市では「かむいソーラー」と称している。
2014年3月に売電を開始してから9年9カ月が経過した。まもなく固定価格買取制度(FIT)に基づく売電期間の折り返し点となる10年を迎えようとしている。
このメガソーラーの特徴の1つは、FITに基づく売電収益を、市内の太陽光発電や蓄電池システムを導入する際の補助に使っていることである。市庁舎や図書館などの照明も売電収益を活用してLEDに切り替えた。このように市の環境・エネルギー関連の政策に再投資する資金源となっている。
また、売電先の新電力会社は、市営の施設にメガソーラーの発電電力を供給している。こうして全市営施設の消費電力に占める太陽光電力の比率を高める役割も担っている。
メガソーラーの設計や施工は、公募を経てNTTファシリティーズと地元企業3社による特定建設工事共同企業体が担当した。
NTTファシリティーズは市営の施設に電力を供給している新電力にも出資している(NTTファシリティーズの電力関連事業は2022年にNTTアノードエナジーに統合され、現在の出資者はNTTアノードエナジー)。特定建設工事共同企業体を構成した地元企業は、千田工業、南部電気工事、北上電工の3社である。
O&M(運用・保守)サービスはNTTアノードエナジーが担当している。
太陽光パネルは、中国のトリナ・ソーラー製を採用した。多結晶シリコン型の出力290W/枚を並べた。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。出力500kW機を導入した。