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6月の修善寺温泉読書会

伊豆で読書会をひらいています。

昨秋より、月に一度、修善寺のお寺さんの近くで読書会を開催しています。
著作権切れの日本近代文学を開催時間中に読み、感じたことをざっくばらんに話す…… ということが主で、今月で9回目の試みです。
真面目な文学議論を交わす場所! というよりは、文学に醸成されたゆるいつながりの中に身を置く場所! としてお楽しみ頂けているのかしら、ということを思っています。
主催者(共同主催者が私含め4名います)も私の知る範囲ではこわくないし、文学もさほどこわくない、つまり読書会もこわくなりようがないので、気が向いたらいらして下さい。


6月の読書会では、初の試みが。

さて、今月の読書会は、5月の爽やかさがまだ多少でも残るうちにと、6月初頭に開催しました。少し蒸すような気候ではありましたが、暑すぎることも寒すぎることもなく、……セーフ!(多分)
今月の作品は、過去に読書会にいらして下さった方に金子氏の作品がお好きな方がいらっしゃった縁で、開催以来初めて「詩」を取り上げることといたしました。
作者は金子みすゞ。1903年生―1930年没(早逝…)。没後70年を経過しておるため、著作権の問題もクリア! と思いきや、氏の場合はすこし事情が異なるようです。

今でこそ、一定数以上の認知度を得ている詩人ですが、その声価が高まったのは死後のこと。その立役者となった矢崎氏を中心に、「金子みすゞ著作保存会」が発足したようです。
草葉の陰の金子氏にとってみれば、作品保存の団体が己の作品の価値を認め、世に知らしめてくれたことや、「保存会」が長きにわたり継続していること、さぞうれしいことであろうと、勝手ながら想像するばかりです。
読書会に際し、コンタクトをとり、著作利用の許諾を頂きましたうえで開催に至りました。

※底本として使用した「金子みすゞ童謡全集③空のかあさま・上」の、その表題からも明らかですが、氏の作品は「童謡」として発表されています。
本稿では、一般に詞と曲からなる、現在の「童謡」の語義との区別のため、氏の作品を「詩」と表しております。


詩と仲良くなる

そんなこんなで「詩」をみんなで味わう回となった今回。
金子氏は2003年に生誕100年を迎えた際に一大ブームを巻き起こしたそうで、その懐かしさを慕い、当時の雑誌や新聞を携えて参加くださった方もいらっしゃいました。

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新聞記事は2002年のもの。「保存していたのをふと思い出した」という参加者の方がお持ち下さいました。
その他、英語版の詩集や当時の「MOE」(児童文学特化の雑誌)も持ち寄り頂けました。貴重!


過去には松たか子氏が金子氏に扮したドラマも放映されたとか。

(20年以上前のドラマということもあり、配信はなさそうです)


全8名でのにぎやかな会になりましたが、主催2名含む全員が詩に「難しさ」「とっつきにくさ」を感じている部分もある……ということで、みんなで少しづつ詩と仲良くなっていくような、そんな回になりました。

テキストをリズムで読む

金子氏の「詩」を読んでいると、頭の中にリズムが自然と湧いてくる。
参加者のひとりが最初に切り出して、皆が同意していた意見です。
例えば、「金子みすゞ著作保存会」の主たる構成員である「JULA出版局」のHPのトップページでは、月替わりで金子氏の詩が紹介されています。

12パターンすべてを網羅できているわけではありませんが、おそらくは一定の節をつけて読めるような作品が紹介されているのではないでしょうか。
ここに、金子氏の作品を「童謡」と表する所以が詰まっていることと思います。
そして、もう少し歴史をさかのぼってみると、氏の詩作(”童謡作”?)のテクニックは1000年以上前から採用されているといえそうです。

学生当時、「五音と七音の連なりは日本人にとって心地のいいものなんだよ~」なんて話を聞かされて「なんだかそんな気がする~」なんてぼんやり受け止めていたのですが、突き詰めれば、音楽理論の方面からも裏付けができるようです。

ヘエ~~!
言わんとしていることのすべてを汲み取れている自信は正直ありませんが、なんとなく、おぼろげに、うっすら、掴めたような気がしないでもないです。


金子みすゞの生涯

また、早逝の氏の生涯について言及される方もいらっしゃいました。
つらい(という言葉では足りないほどつらい)幕引きであったそうです。

詩作にも表れているような、濃やかな人となりが、斯様な決断を成さしめたのやもしれません。

作品には、「見えないものを大事にしているようだ」「自然の風物にストーリーを与えている」といった特長があることを皆で確認しました。
金子氏の作品を取り巻く状況を鑑み、この場での直接引用は控えることといたしますが、是非とも氏の作品に触れてみてください。

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お蔭様で、今回の読書会も素敵な時間になりました。


好きな詩人

話は発展し、好きな詩人の話にもなりました。
第一線の詩人・宮沢賢治氏や谷川俊太郎氏の名前が出たほか、現代詩人の名前も挙がりました。
今後読書会のなかで取り扱うことがあるかもしれませんので、お楽しみに!
また、韻文散文によらず、好きな日本近代文学の作者や作品があればぜひ教えてください。




7月の読書会は、参加者の皆様の【おすすめ本】を紹介いただく回です。
本のジャンルは問いません。
小説、詩集、漫画、雑誌、写真集…… 何でも構いません!
(年齢指定作品や極度にグロテスクなものはお控えください)
現段階では8月の開催予定までが決定しております。
X(旧Twitter)では都度情報を更新しておりますので、よろしければ覗いてみてください。

7月の読書会のお申し込みはこちらからも可能です。


修善寺で皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

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