名字で呼んでくる先生に我慢が効かなくなった生徒たち (2)
初投稿です。
絆ストーリーとかメインストーリーの話を思わせるニュアンスを少し含んでるので、気になる方はあらかじめご了承ください。
それと誤字脱字等ございましたらお手数ですがコメントで教えていただけると幸いです。
前回のやつの続きというよりは同じネタでもう一本みたいな感じなので前作は見なくていいです。
過去に書いたキャラと展開が一緒にならないように気をつけているんですけど難しいですね~本当に。
今回書かせていただいた三人は前作のコメントで挙げられた三人です。三人とも一人でなんでもできるくらい強いので、やれるからという理由で一人で動きがちな人たちなような気がします。前作が自分の想像の千倍くらい伸びたのでせっかくなので続きを書いて見ました。前作と展開が同じだと流石にマンネリだし面白みがないんじゃないかと思い、やや前作の流れとは違った感じのアレンジをして見たんですが、前作の方が良かった方には申し訳ないです。
最近久々に読書ブームが私にやってきまして、積んであった小説を読んでたら思ったよりも描写が繊細で多い事に気づき今回のやつはそれを多少参考にして描写を多めに書いてみました。プロがやると美しいものですが素人がやるとくどくなるだけですねこれ……未だに文章創作に不慣れなのでいろいろ試行錯誤している段階なのでちょっと文体がコロコロ変わってしまうかもしれません。意見くださると嬉しく思います。
あとフォロワーさんがpixivの方で1000人になってました。私の通っていた小学校の全校生徒よりも格段に多いですね、みなさんいつも見てくださりありがとうございます。
……2万字とか初めて書いたんですけど、本当に大変ですね、今後字数が万超えた作品見るたびにビビってしまいそうです。
本当にしょうもない余談なんですけど、一作品において複数人書く時、登場人物と先生の恋愛進行度と字数を大体同じくらいにしなきゃ不公平なんじゃないかという思いが常にあって、どうしてもキスという明確な進行度の指標があると全員そこに向かわなきゃという気になってしまうんですよね、そのせいでオチがワンパターンすぎて……なんとかなるように精進したいところです………恋愛小説読み漁るか…
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自分自身の心に深く刻み付けるため、あえて乱雑な言葉を使うが、人の学習能力などあてにならない。
ということをつい先日学習した。学習能力があてにならない事を学習しただなんてあまりにも馬鹿げていて、そういったオチのジョークみたいだが、おそらくこのジョークは受けないだろうと思うので、私の心に封印しようと思う。
しかし、ただただ封印するのもあれなので、封印する前に、こんな馬鹿げた教訓をなぜ得てしまったのか、今一度振り返ってみようと思う。
事の始まりは先週、煩わしかった夏の暑さもすっかり落ち着き、来るはずであった秋の過ごしやすさを飛ばしてやってきた、空気の読めない冬の寒さが肌を逆立てる、そんな日の夕方に遡る。
窓から見える落ちかけの夕日が、シャーレの無機質な執務室を眩しいほどの橙色に染め上げていた。珍しく仕事が早く終わり、積みあがった認定済みの書類群は、私を祝福してくれているようで、それらの影がちょうど窓から見えるビル街のような絶妙な凹凸を作り出しており、その様が妙に心地よかったのを覚えている。
しかし、一つだけ気がかりがあった。今日の業務は珍しく早く終わり、仕事自体は順調だったのだが、なぜか同じミスばかりをやけに繰り返していた。くだらない誤字や些細な計算ミス。そのたび隣にいたユウカに小言を言われ、あまりに私が繰り返しミスをするので、終盤に至っては小言が心配に変わっていた。今にして思えばこれはこの後私がやらかすミスへの大きな伏線であったように思える。
書類の影を日除けにし、ソファに寝転び手持無沙汰になった私は、ネットサーフィンによる暇つぶしを試みた。
無機質な文字の羅列を、強めのブルーライトを浴びながら上下左右に捌いて行く。眉唾物の噂話にクロノス新聞の真偽不確かなネット記事、記事から記事へと目を移していると、見るものも少なくなっていき、この暇つぶしにも限界を感じ始めたところ、一つの記事に目が止まり少し前のことを思い出し口角を上げる。
『呼び捨てしてくる異性のここがダメ!!!特徴15選!!!』
そんな見出しの下にはダメなところや特徴が箇条書きで列挙されており、内容は以前見た雑誌と大差ないものだった。数か月前と似たような状況に、あの時の出来事を昨日のことのように思い出す。もしこの記事を以前の私が見ていたら全てを鵜吞みにして生徒を傷つけていたことだろう。
懐かしさから私はその記事を下へ下へとスクロールして行く。以前とほとんど変わらない、怠惰な大学生のレポートのような焼き増し記事の箇条書き、その最後の一つに私は目を止める。
『・社交辞令が通じないところ』
以前の雑誌には載っていなかった項目に対し息を呑む音が、静かな執務室に妙に響いた。その記載の下には『お世辞や冗談、気遣いを鵜呑みにされてしまい困っている』という記載。私は、三人の生徒を思い浮かべとっさに首を振った。彼女たちが「そう」であるわけがない。しかし嫌な想像というのは一度吹き出せばいくら押し止めようとしても溢れてきてしまうもので、彼女たちも呼び捨てはやっぱり嫌だったんじゃないかと、渦巻く頭で考える。
使い物にならないちんけな頭をこねくり回し、回しに回しもはや回ってないのも同然の頭で私は一つの結論に至った、否、至ってしまった。
ちょうど明日からの三日間、特に私が関わっている毎回世話になっている三人の生徒が、それぞれ当番を務めることになっている。彼女たちを一旦名字で呼んでみて、相手の社交辞令…つまり名前で呼んで良いという言葉に反応しない方向性を取る、それで相手が本気で嫌がっていそうであれば誠心誠意謝罪しやめる。
実験のような真似をして彼女たちには申し訳ないが、心の広い彼女たちの事だから前ほどひどいことにはならないだろうと私は括ってはいけない高を括る。それに仮に彼女らが内心名前で呼ばれるのを嫌がっていた場合、これは彼女たちにとっても良いことのはずだと、実のところ私は内心鼻高々だったのだ。
───結論から言ってしまえば、この判断は根本から間違っており、根本から間違えすぎていて、もはや生まれたところから間違いがスタートしていたんじゃないかとすら思わせる大失敗であった。もし今の私がこの時点の私を見たとしたら呆れに呆れ、殴る気力すら沸かず、大きなため息を一つして、書類の山を倒して元の場所へと帰るだろう。
なぜなら、これから起こることは全て、どこまで行っても私の自業自得なのだから。
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