愛知在住の女性Ｎ様から「人生的に八方塞がりだから会いたい」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。メンエスで働いていた時に出会った彼氏と地方都市で同棲しているが、社会不適合者だから昼職ができない。最後の砦のスナックもダメで「メンエスに戻るしかないのか」と鬱になる。引きこもりになって、毎朝坂爪さんの記事を読み「今日も一日頑張るぞ」と思うのだけど何もやらない。Ｎ様は、そのようなことを言った。

Ｎ様は言った。結婚もしたいし子供も欲しいけど地方都市でうまくやっていける自信がない。地方都市は仕事も限られる。引きこもりの生活に彩りを与えるために、彼氏に犬を買ってもらったのだけれどお世話がなかなか大変で自爆をしている。ワーホリに行くのが夢で、その夢を実現させて、海外に行っていた時間は楽しくて仕方がなかったのだけれど、帰国してから「夢がなくなった」と燃え尽きた。彼氏が家賃を出してくれるし生活も保証してくれるのだけど、自分で稼いだお金を気兼ねなく使いたい。だけど、働ける気がしない。

Ｎ様は言った。坂爪さんは一体どうやって暮らしているのですか。悠々自適な暮らしが羨ましいけど私にはできない。お金がないのに出発前にバタバタしてしまって新幹線に乗ってしまった。無駄金を使ってしまう傾向にある。久し振りに家を出たから人間と話すのが久し振りだ。坂爪さんは人間は好きですか。私は嫌いです。だけど、優しい人に会うと泣きそうになります。沈黙が苦手でべらべら話してごめんなさい。なんだか涙が出て来ました。私のことを嫌いにならないでください。

Ｎ様から「私はどう見えますか？」と聞かれた。私は「ポテンシャルはめちゃめちゃあるけど自信をなくしているのだと思う。元気な人を閉じ込めると鬱になる。弱気になると病気になる」と言った。お年頃になると、誰でも結婚や就職などの進路に悩む。大事なことは「いつでも辞めてやる」という気概だと思う。一人では生きていけない私を選んでくれてありがとうとか、選ばれる側に回ると弱気になる。あくまでも自分が選ぶ。弱気になると病気になる。怒りを忘れないでください。地方都市で生活するなら、先に「私は三ヶ月に一回くらい長期旅行で家を出るけど、それでもいいなら結婚してあげる」と、強気に出た方がいい。

Ｎ様は「面白い人になりたいのですが私は面白いですか？」と言った。私は「そんなこと聞くな」と言った。八方塞がりのＮ様の話は面白かった。私も同じ人種である。地方都市で生きる自信はない。みんなから見たら頭がおかしいと思われるようなことも、本人がそれをやっていることで調子がよくなるのなら、それがその人の自然だ。弱気になると病気になる。移動が好きなら移動をしよう。落ち着けないなら死ぬまで暴れよう。やっちゃえ日産。ポテンシャルのある人を閉じ込めるのは人類の損失だ。Ｎ様よ、君は面白い。否、そんなまどろっこしい言い方は良くない。私はＮ様が好きだ。別れ際、Ｎ様から「ハグしてもいいですか」と言われてハグをした。顔を真っ赤にしながら「きゃー！」と言ったＮ様は間違いなく元気だと思った。元気な人を閉じ込めると鬱になる。鬱になると怒りを忘れる。怒りを忘れると弱気になる。弱気になると病気になる。病気になると無駄金を使う。怒りを忘れないでくださいと思った。