中国パビリオン関係者の条例違反、手荷物検査での発見…大阪万博でにじむドローンの脅威
性能向上に伴い、ドローンがテロに悪用される懸念が強まっている。警察当局は重要施設のほか、大型イベントなどでテロ対策を強化。13日に閉幕する大阪・関西万博でも、ドローンによるテロ防止に神経をとがらせてきた。四方が海に囲まれた会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)は視界が開けており、ドローンの操縦がしやすいとの指摘もあったためだ。 大阪府警は、会場周辺に昼夜を問わず空からの不審物を警戒する「ドローン対策部隊」を配置。部隊には不審な飛行物の接近を感知する高性能レーダーや妨害電波を発して操縦不能にさせる「ジャミング装置」など最新鋭の機材を配備した。 大阪府条例も制定され、1月19日~10月13日までの間、夢洲周囲約1キロの範囲でドローンの飛行が原則禁止された。これまで大きな混乱は起きていないが、開幕直前の4月11日には、中国パビリオン関係者が無断で会場内でドローンを飛ばしたとして府条例違反の疑いで書類送検された。 関係者によると、ほかにも会場周辺でドローンを飛ばしたり、手荷物検査で持ち込み禁止を指摘されたりする訪日外国人客らが確認されているという。いずれも加害の意図はなく、撮影目的とみられるが、ある府警幹部は「悪意か『うっかり』かの判断は即座にできない。撮影目的を装ってテロ行為に加担するリスクもある」と指摘する。 犯罪の意図がないにしても、禁止区域でドローンを飛ばせば警察当局は対応に追われ、その分、テロ対策は手薄になる。万博では、悪意と「うっかり」を選別する労力をいかに減らせるかが、ドローンによるテロ対策の課題として浮かび、府警は外国語のチラシを配布するなどしてドローン規制の周知を図った。(土屋宏剛)