MLBポストシーズンレポート2025

痺れる場面で期待に応えた佐々木朗希 窮地救った2球にフリーマン「大きな武器を手に」と太鼓判

丹羽政善

フリーマン「我々は大きな武器を手にした」

勝利を収めた後に言葉を交わす佐々木朗希とフリーマン 【Photo by Rob Tringali/MLB Photos via Getty Images】

 ターナーは、真っ直ぐに強い。メジャーでは通常、4シームに対する対応力を見るとき、96マイル以上を目安にする。ターナーは今季、96マイル以上に対する真っ直ぐの打率は.320。BABIP(本塁打を除くフィールド内に飛んだ打球がヒットになった割合)は.415。空振り率は22.2%。

 となるとやはり、ボール先行のカウントにはしたくない。

 果たして初球はフォークが抜けてボールとなり、ヤジのボルテージも上がったが、一塁のフレディ・フリーマンは、「大丈夫、落ち着いている」と思ったそう。

「明らかに、これまでで一番プレッシャーのかかる場面。九回2死一、三塁で、しかも敵地。でもあのスプリットは、大きく外れたという感じではなかった。あれで、彼は冷静なんだと思った」

 佐々木は、メンタル面での準備もできていた。

「打順が上位にいったら行くかもしれないと、言われていたので」

 ただ、あの回は、4番からの打順。上位に回るということは、かなりのピンチということになる。

 おそらくそんな痺れる場面で起用されることを2週間前、誰が予想しただろうか。

 フリーマンもそれは否定しなかったが、「でも今は、彼が来ると、大丈夫と思える」。

 2球目、99.3マイルの真っ直ぐが内角へ。99マイル以上なら、ターナーの打率もBABIPも1割台まで下がるが、詰まったあたりが、逆に二塁を守っていたトミー・エドマンの焦りを誘った。打球がおかしな回転をしていたため、握り損ねた。送球がワンバウンドとなったものの、それをフリーマンが巧みに掬い上げたとき、ベンチから、試合が終わってみれば七回に貴重なタイムリーを放った大谷翔平らが、雪崩を打って飛び出してきた。

 フリーマンが、改めてこう佐々木を評した。

「彼は、100−101マイルを投げる。うちが契約したとき、そんな姿をイメージしていた。少し時間がかかったが、そういうケースはいくらでもあるし、いまは、マウンドに自信を持って立っているように映る。アウトに取ったとき、それが当たり前のような表情をしている。このポストシーズン、我々は大きな武器を手にした」

試合後に自分の投球を振り返る佐々木朗希 【写真は共同】

 ちなみに勝利の瞬間、佐々木はどんなことを考えていたのか? ほっとしたのか? 喜びが湧き上がったのか。

 そうメディアに問われると、「あっ、カバーいってないなと思った」と佐々木。照れ笑いを浮かべながら続けた。

「次から行きます」

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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