Blue Redemption   作:白黒モンブラン

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時代を超え、善を以て悪を払う その2

 

「出てこい、生粋のゴミ共!攫った生徒を引き取りに来た!」

 

静かに響く怒号。

その声に獣人とオートマタで構成された誘拐犯らは理解した。

誰かが居場所を吐いたと。そしてこいつらは取り返しに来たのだと。

今すぐにでも撃って追い返す事も出来たであろう。だが、敢えてそうしない。

まるで暗黙の了解がそこにあるかのように、誘拐犯たちは事の成り行きを見守った。

 

「こんな夜更けに何の用だ、カウボーイ」

 

洋館前のある広場。その入り口で哨戒に当たっていた誘拐犯の一人である獣人がタキトゥスへと問う。

何をしに来たのかなど聞かずとも分かっていると言うのにだ。

 

「生徒を引き取りに来た。答えなくても来るのは分かっていた筈だ」

 

「さて…何のことか分からんな。何かの間違いじゃないか?」

 

なぁ?と後ろに控えていた仲間へと問う獣人。

それに対して控えていた二人も肩を竦めて、わざととぼける素振りを見せた。

 

「…言わせておけば!」

 

そんな姿に怒りを覚えたのか感情を剥き出しにして銃を構えようとするクロカ。

大事な友人を誘拐したのは、もう分かり切った事。

こんな問答をする暇があるのであれば、今すぐにでもこのろくでもない大人達を制圧してやる。

すぐそこに友人を囚われているという事実がクロカの体を動かそうとしていた。

が、それに気付いたタキトゥスが手を上げてそれを制した。

 

「落ち着け、クロカ。冷静になれ」

 

「でも…!」

 

「冷静になれと言った」

 

「っ……はい」

 

決して怒っている訳ではない。

だがその言葉の圧を感じたのかクロカは銃を静かに下ろし、一歩下がった。

その様子を見ていた誘拐犯らは気持ち悪い笑みを浮かべて、ニタニタと笑った。

 

「大したもんだな。もう子供を言いなりにしてやがる」

 

「そう見えたか?」

 

「ああ、そう見えたさ。アンタも俺達と同じ、ろくでなしの臭いがするよ」

 

その台詞をタキトゥスは否定する気はなかった。

生前は散々犯罪に手を染めてきたのだ。

二度目に生を与えられ、こうして誰かの為に動いているとしても、この行いが正しい行いであると言われたとしても、優しい大人だと認めてくれたとしても、彼は決して変えない。

どう足掻こうと自身はろくでなしの大人であると。

 

「だから子供を攫うのか?ろくでなしだから、普通に生活していた子供を攫っても問題ないと言いたいのか?」

 

だが、超えてはならない一線というのはある。

救いのない大人によって、子供が犯罪に巻き込まれるなどあってはならないのだ。

しかし目の前にいる奴らはその一線を越えた。後ろめたさも、後悔も無く、スキップする様に軽々と超えたのだ。

 

「全くもって救いようのない連中だ、お前たちは」

 

「……」

 

「本来なら居場所を知った時点で問答無用で銃弾を叩きつけるつもりだったが…一つチャンスをくれてやる」

 

「なに?」

 

突然出されたチャンスとやらに獣人は訝しげな表情を見せた。

何を言い出すつもりだ。僅かながらに身構えながら、そのチャンスの内容とやらを待った。

 

「大人しく攫った生徒を引き渡せ。そうすれば痛い目に遭わずに済む」

 

「…そんな要求をはい、分かりましたで聞くと思っているのか?」

 

ゆっくりと腕を上げて、洋館に居るであろう仲間へと合図を送る獣人。

それを合図に洋館の中から武装した誘拐犯らが姿を現し、まるで敵意を示すかのように持っている銃のコッキングボルトをわざと音を立てて引いた。

 

「話し合う気がないと言うのなら…」

 

最早分かり切った事だ。そう思いながらタキトゥスは静かにホルスターに収めたキャトルマンリボルバーのグリップへと手を伸ばす。

お膳立ては十分に済ませた。わざわざ敵が姿を出してくれたのも好都合と言えた。

であれば、この後行う事などたった一つしかない。

緩やかに吹く風が沈黙に包まれたその場を駆け抜ける。虫の声も、誰かの息遣いも聞こえない静寂の一時。

いつ、その瞬間が訪れるのか…それは誰にも分からない。

ただ、その一瞬を切り開くのは──

 

タキトゥス・キルゴア(無愛想な農場主)──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではなく──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー・モーガン(永遠の無法者)、ただ一人であるという事だ。

 

「っ!!」

 

コンマ一秒か二秒かという驚愕の速さによってキャトルマンリボルバーがホルスターから引き抜かれた。

常日頃から銃を携行している生徒たちですら反応できない、言わば経験と実力から打ち出された驚異的なドロー。

頭の理解と体の反応すらを超越したそれを前にして、多少荒事に長けている誘拐犯グループの大半がアーサーが動き、リボルバーを抜いた事に反応出来ずにいた。

映る光景が全てがスローモーションに流れていく。風の音すらも聞こえない超極限状態の集中力。

目の前に立ち尽くす獣人へとリボルバーを突きつけた瞬間。

 

「…」

 

躊躇いも無く引き金が引かれ、吐き出された弾丸が獣人の眉間に直撃、その意識を一発で奪った。

開戦の火蓋を切るかのように響いた銃声にその場にいた全員が動き出し、先んじて行動を起こしたアーサーは右手に持ったキャトルマンリボルバーの撃鉄を起こしつつ、逆手ホルスターに収めたもう一丁のキャトルマンリボルバーを左手で素早く引き抜き、意識を失い倒れ行く獣人の後ろにいたもう一人の獣人へと目掛けて発砲した。

これで二回目となる銃声。黒のキャトルマンリボルバーから吐き出された弾丸が、ある意味で的と化した獣人の眉間に直撃、そのまま意識を奪った。

肘を軽く曲げる事で発射時の反動を逃がしながら黒のキャトルマンリボルバーの撃鉄を起こしつつ、既に撃鉄を起こし終えた銀のキャトルマンリボルバーを近くの居た誘拐犯の一人へと目掛けて発砲した時、それと同時にアーサーが叫んだ。

 

「ムツキ!ハルカ!派手にやれ!」

 

「りょーかい!」「は、はい!」

 

名を呼ばれ、それに呼応するかのようにムツキとハルカは持っていた起爆装置のボタンを押す。

そして次の瞬間、洋館の周辺とその一部が爆音と共に盛大に爆ぜ、爆発に巻き込まれた誘拐犯らの一部が行動不能へと追いやられた。

 

「いい感じに仕込みが効いたね。…社長!」

 

「言われなくても分かっているわ、カヨコ。…ハルカ、前に出て!ムツキと私でハルカの援護!カヨコはタキトゥスさんの援護に回って!」

 

開戦の火蓋が切られ、仕込みの効果は上々。

部下に指示を飛ばしながら、愛銃『ワインレッド・アドマイアー』を撃っていくアル。

飛び交う弾丸。響き合う銃声。いつものキヴォトスらしいソレだが、今回は訳が違う。

 

「行くわよ、あなた達。速攻で片を付けるわ」

 

「くふふ~、言われなくても……やんなきゃ面白くないよねッ!」

 

「だね。…本気で行くよ…!」

 

「…行きます!!」

 

便利屋68、フルスロットル。

多少荒事に長けた程度の敵など、彼女達の前では相手にならないという事を今、此処に示されようとしていた。




今回も筆が乗ったやと…!?(二回目の奇跡)

という訳で救出作戦、その開戦の火蓋が切られました。
書きたい内容もあったのですが、それそれで長くなり過ぎてしまうと考慮(作者のモチベや体力も考慮した)し、此処で切らせて貰います。

内容から分かる通り、タキトゥス・キルゴアさんはアーサー・モーガンへと戻っています。
名称変更はそういった意図がありますので、ご容赦を。

一応ですが、ハヅキ達が持っている銃を軽く紹介します。


落合クロカ:『シュナイダー2000』
モデル:IWS2000。

嘉納ハヅキ:『オーバーファイア』
モデル:SIG SAUER MG338。

風影セツラ:『クローズ・ファイティング』+特注品銃剣
モデル:スプリングフィールドM1903。

さぁて…ドンパチは終わんねぇぞ…。

因みにですが、推奨脳内BGMとして「Blood Feuds Ancient And Modern」を良ければどうぞ…。

ではではノシ
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