ブルーアーカイブ クローンティーチャー 作:セサミストリート
一人偵察を兼ねてアビドス住宅地を歩いていたら、見覚えのある人物に出会った。
「うっ…な、何っ……!?」
「…そこまで警戒することはないだろ」
ひどく警戒しているセリカを見て、俺はため息をついた。確かにまだ認められていないとはいえ、そんな嫌な顔はいささか心外だ。いや、まだ銃を向けられないだけまだマシな方か?
「う、うるさい!私は先生を認めてないから!ていうか、なんでこんなところにいるのよ!?も…もしかしてストーカー!?」
「お前こそ何言ってるんだ。俺はこのアビドスのデータ収集をしてるだけだ。まさかお前に会うとは思わなかったがな」
「ふん!朝っぱらからのんびりうろついちゃって、いいご身分だとこ」
セリカはイライラしながら話す。しかし、ここまで警戒されると、これからの行動に支障が出てしまう。信頼を得るにはどうすればいいのやら。
「セリカ、これから学校か?」
「だから何?私がどこに行こうと私の勝手でしょ?」
「それはそうだな」
「先生こそ、朝っぱらからこんなところをうろちょろしてたら、ダメな大人の見本みたいに思われるわよ?」
「ははは、随分と言ってくれるな…」
「何笑ってるのよ…?」
セリカの言葉に、俺は肩をすくめた。まぁ確かにアーマーを身に着けた大人がこんなところでうろちょろしていたら怪しさはあるし、言い逃れはできないだろう。
それでも、このアビドスの対策に何かできることはないか色々と探してはいるが、あまりいいものは手に入ってないのが現状だ。
「じゃあね!せいぜいのんびりしていれば?私は忙しいの」
「待て、セリカ。学校に行くなら一緒にいかないか?」
「…あのね、なんで私があんたと仲良く学校にいかなきゃならないわけ?」
「この辺りはまだヘルメット団のようなならず者がいないとは限らないからな、行くなら複数の方がより安全だ」
「別に私一人で十分だし、それに悪いけど今日は自由登校日だから、学校にいかなくてもいいんだけど?」
「ほぉ…学校というのはそういうものなのか…やはりカミーノとは全然違うな」
「ん?何か言った?」
「いや、何でもない」
俺はカミーノの教育方法とキヴォトスの教育方法の違いに少し驚く。
まぁカミーノは基本的に早くトルーパーになるために色々と訓練をしてきたわけだから、教育方針も内容も全く違うのは当たり前だ。
「もう行っていい?あんたと一緒にいたくないんだけど」
「そうか。なら、どこに行くんだ?このアビドスには遊ぶところはかなり限られていると思うが…」
「そんなの教えるわけないでしょ?だいたい、私の自由なんだから放っといてよ」
セリカは行くところすら教えてもらえなかった。だが、このアビドスには人口も限られており、なおかつ営業している場所も限られている。少し前に色々と調べてみたが、唯一店として機能しているのはしばせきらーめん?と言う飲食店ぐらいだった。
「じゃあね、バイバイ」
「……」
セリカは一切振り向くことなく、砂埃を立てながら走り去っていった。
「ふむ…追ってみるか」
俺はジェット・パックを起動して上空から後を追ってみることにした。
ーーーーーーー………
「ちょっと!なんでついてくるのよ!しかも空から!!」
「行く道が同じだっただけだ!気にしなくていい!」
「せめて後ろからついてくるとかでもいいでしょ!?怖いから降りてきてよ!ストーカーより質悪いわよ!!」
俺はセリカの言われた通りにセリカの目の前で降りる。本来ならもっと高度を上げて観察するつもりだったが、それだと面白みを感じないのであえてバレそうな高度でセリカを追っていた。
「ハァ…ハァ…なんか疲れた…」
「それは大変だな。なにか飲むか?」
「誰のせいよ!誰の!それより、なんでついてくるのよ!?」
「言っただろ?ならず者に絡まれないか不安だから一緒にいようと」
「だからぁ…!」
「あとどこに行くのか気になったのもある」
「絶対それが目的でしょ!!」
セリカはあったときよりもイライラしながら話す。少しからかい過ぎたな。
「…ハァ、言わなかったらまたついてきそうだし、言うわ…バイトよ」
「バイト?」
「そうよ!あんたみたいにのんびりしていられないの!少しでも稼がなきゃいけないのよ!」
「……」
「あの人みたいにかっこよく稼ぐことはできないけど…私には私のやり方があるの!もういいでしょ?!ついてこないで!」
「お、おい…!」
セリカはビシッと俺に指差したあと、また走り出した。
(そうか…バイトか)
俺は共和国軍の1兵士として行動し、戦うために生きてきたからバイトなんざしたことがない。だが、『稼ぐ』ことの過酷さはわかっているつもりでいる。
むしろ、俺の世界ではまともに金を得ることは非常に難しい。故に賞金稼ぎ等の闇の仕事を請け負って生活しているのも少なくはない。いや、むしろ俺達の存在で銀河が苦しんでると思っている。
(…これ以上はやめておこう。かえってセリカを余計怖がらせるだけだ)
俺は今日の行動を反省してアビドス高校に行こうと歩き出す。
「…あれ、先生?」
ふと後ろから呼ばれ、振り返った。
「お前達は…」
ーーーーーーー………
「いらっしゃいませ!奥の席へどうぞ!」
「セリカちゃん、ラーメン2つ3番テーブルに持ってってくれ」
「はい!大将!」
セリカは各テーブルとカウンター席に座る客に注文や料理を運び、慌ただしくも正確に動いている。そんな中、柴席ラーメン店の扉が開く。
「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで……わわっ!?」
セリカはいつも通りに対応しようとしたが、その団体を見て少し驚いてしまった。
「あの〜☆5人なんですけど〜!」
「あ、あはは……セリカちゃん、お疲れ……」
「お疲れ」
「あ、いたいた」
来たのはアビドスの全員とアッドだった。
「な、何でここに…?!」
「うへぇ〜やっぱりここだと思ったよ」
「よぅ、セリカ」
「なっ…何で先生も一緒なの?!も…もしかして本当にストーカー!?」
セリカはまた俺に指さして怒った。そこまで拒否することはないだろ…。
「ここに来る途中で先生に会ったんだよ〜」
「そのまま一緒に来ただけ」
「あと、セリカちゃんのバイト先といえば、やっぱここしかないじゃん?だから来てみたの」
「ホシノ先輩かっ……!ううっ……!」
「セリカちゃん、どうかしたのか?」
セリカの後ろから来たのは、二足で歩く犬だった。頭にタオルを巻き、見たことのない青色の服を着ている。どうやらこの犬がこの店のオーナーのようだ。
「お、アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして、注文受けてくれな」
「あ、うう…はい、大将。それでは、広い席にご案内します…こちらへどうぞ…」
セリカの案内に従い、大人数が座れそうな場所に全員が席に座る。
「はい、先生はこちらへ!私の隣、空いてます!」
「ん、私の隣も空いてる」
ノノミとシロコがお互いの空いている場所に俺を誘う…どっちに座ればいいんだ?
「あ〜…俺は別でいい」
俺はアーマーを着てるので座るには窮屈になると感じ、別の席に移動しようとしたら、シロコとノノミ腕を掴まれた。
「だめ、私の隣に座るの」
「だめですよ、先生。みんなで食べないと!」
「…わかった」
俺はジェット・パックを外し、ヘルメットを脱いでシロコの隣に座る。シロコは基本的に無表情だが、俺が隣についた途端に何故か満足そうにしていた。
「ふむ……」
「狭すぎ!シロコ先輩、そんなにくっついていたら先生が窮屈でしょ!もっとこっちによって!」
「ん、狭くない。先生もそうでしょ?」
シロコは俺の腕を掴み自分の体に寄せる。
「いや、狭いだろ。アーマーでもっと窮屈になってるぞ」
俺はいつものクローン・トルーパーのアーマーを装備しているので体の幅が少し広くなってる。そのせいで俺が座ってるだけでかなり狭くなってる。シロコの隣りにいるホシノに至っては「うへぇ〜後輩からの圧で潰れちゃうよ〜」と言ってる。
「ほら!先生も言ってるんだからもっと寄…いや、先生はカウンターのほうがいいかも」
「わかった。そうしよう」
俺は皆に近いカウンター席へ移動した。机の上に置いてあるメニュー表を手に取り、一通り読む。
「こんなに種類があるのか…ギョーザ?チャーハン?何だこれは…?」
「先生、決まった?」
メニュー表に釘付けの中、セリカが注文を取りに来た。
「いや、まだだ。どれがいいのかまだ決まってない」
「そうなの?」
「あぁ…セリカ、どれが一番美味いんだ?」
「え?…醤油とかがいいんじゃない?」
「よし、それで頼む」
「大将!オーダー入りました!」
セリカは厨房に戻り、そのまま大将と料理を始める。カウンターから厨房の中を見てると、大将は手際よくラーメンを作っていた。
「なぁ聞いたか?あの噂」
「知ってる。アビドスの砂漠のことだろ?」
(…ん?)
ふと他の客達の会話が聞こえ、その客達に聞き耳を立てる。
「最近カイザーがこのあたりを彷徨いてるだろ?ここも危ないかもな」
「でも最近はカイザー以外にも手を出してるところもあるらしいな」
「そうそう、しかも見たことのないロボットやアンドロイドもいるらしいぞ」
「おっかねぇ…ここもどうなることやら」
「だよな…」
(…カイザーPMCがアビドスに?しかも他の勢力もいる…?)
客たちの言葉の中に不穏なものが多いが、それ以外の別の勢力がアビドスに何かを仕掛けているのは少し驚いた。
「醤油ラーメンお待たせしました!」
そんな考えている最中、セリカがラーメンを持ってきた。
「これが…ラーメン…」
目の前に出されたラーメンは遥かに想像を超えたものだった。見る限りの茶色、所々に肉や見たことのないトッピングがされていた。
箸を手に取り、麺を摘んで口にする。
「こっ…これは…!!」
美味い!美味すぎる!!口の中に旨味が広まり、それでいて味があっさりしていてしつこくない。こんなうまい食べ物がこの世界では普通なのか…!?
「おぉ、いい食いっぷりだねぇ。先生」
「大将。このラーメンというのは素晴らしいな!是非とも共和国の専属コックになってほしい!」
「はっはっは、煽ててもチャーシューしか出ないよ」
そう言って大将は俺の器にもう一枚肉をおく。この肉も今まで食べてきたどの肉よりもジューシーで食べごたえがある。
「いいのか?」
「そこまで喜んでくれるとこっちまで嬉しくなるもんさ。遠慮せず食ってくれな」
大将はそのまま去り、厨房に戻っていった。
ーーーーーーー………
「ねぇねぇ〜せんせ〜」
ラーメンを食べ終わり、後ろを振り向くとホシノがニコニコしながら立っていた。
「どうした?」
「いやぁ実を言うとね?私達お金持ってないんだよ」
「……」
…そうか、彼女の学校はただでさえ借金返済で苦労しているのだから、自分たちの所持金はほぼ持ってないか。
「いいぞ、ここは俺が払う」
「うぇっ?ほんとに?」
「あぁ、素晴らしい店に連れてきた礼だ」
「おお〜流石『大人』だねぇ〜」
そう言って俺はカウンターから立ち、店の出口に向かった。アビドスの生徒たちはすでに会計の前に立っていた。
「みんな〜!今日は先生のおごりだよ〜!」
「えぇ!?それは…」
「問題ない。払おう」
「ん、流石先生」
俺はバックパックから『大人のカード』を取り出したとき、横からノノミが近づてカードを見せた。
「先生、こっそりこれで支払ってください」
「いや、ここは俺が払う。ありがとうな」
「え…でも…」
「いいんだ。ここは甘えて受けてくれ」
「…わかりました。ありがとうございます」
こうして支払いが終わり、俺たちは外に出ようした。
「先生、ちょっと待ってくれ」
大将に呼び止められ、俺は大将の目線に合わせるように屈む。
「なんだ?」
「セリカちゃん、ここんとこ切羽詰まってる感じがあってなぁ。俺じゃどうしょうもないから、先生がしっかり支えてやってほしいんだよ」
「無論そのつもりだ。任せてくれ、大将」
「そうかい。じゃ、また来てくれよ。先生」
ーーーーーーー………
「いやぁー!ゴチでしたー、先生!」
「ご馳走様でした」
「うん、お陰様でお腹いっぱい」
店前で生徒たちが話し合っており、全員幸せそうな顔をしていた。
「早く出てって!二度と来ないで!仕事の邪魔だから!」
店からセリカが出てきて、威嚇するかのように全員に言う。
「あ、あはは……セリカちゃん、また明日ね……」
「ホント嫌い!みんな死んじゃえー!」
「あはは、元気そうで何よりだー」
そうして全員が帰ろうとしたとき、ふと足を止めた。
「………」
「ん?どしたの先生?」
「……いや、何でもない」
ーーーーーーー………
「はぁ…やっと終わった。目まぐるしい一日だったわ。みんなで来るなんて…騒がしいったらありゃしない」
今日のバイトを終え、セリカは砂漠に塗れた夜の街を歩く。
「人が働いてるってのに、先生先生って、チヤホヤシちゃって。ホント迷惑、何なのアレ」
セリカは今日の出来事を思い出しながら少し苛ついていた。
「ホシノ先輩、昨日のことがあったからってわざと先生を連れてきたに違いないわ!」
ホシノの話した真実はセリカからすればからかっているのだろうと確信していた。
「…ふざけないでよ、私がそう簡単に折れると思ったら大間違いなんだから」
セリカは一人、夜のアビドスの街を後に自宅へ帰っていった。
ーーーーーーー………
「…おい、あいつか?」
「間違いない、アビドス対策委員会の一人だ」
「…よし、次のブロックで捕まえるぞ」
セリカの後ろには、何者かが暗躍していた。
「……」
一人の男が、その光景をビルの下から見て、どこかへ去っていった。
ーーーーーーー………
「ふう…このあたりも人がすくなくなったなぁ。前はここまでじゃなかったのに…」
セリカはゴーストタウンに近いアビドスの街を歩く。セリカがここに来る頃は人が多かったが、現在の砂漠化によりアビドスの住人も減りつつあった。
「…もっと頑張らなきゃ。そうじゃないとあの人も、みんなにも顔向けできないよ…」
ダダダダダダダダダダ!!
「っ!?何?!」
セリカの足元を銃撃され、セリカは後ろに飛ぶ。ふと周りを見ると、周りには以前アビドス高等学校を襲ったカタカタヘルメット団がセリカを囲っていた。
「何よ…あなたたち」
「黒見セリカ…だな?」
「…カタカタヘルメット団?なんでまだここにいるのよ?」
カタカタヘルメット団はセリカに銃口を向け、セリカも臨戦態勢に入る。
「お前を捕縛する。大人しくすれば怪我をしなくてすむぞ」
「…ちょうど良かったわ。今私はイライラしてるのよ。二度とこの地に足を踏み入れないようにしてやるわ!」
「…撃て」
セリカが銃を構えた瞬間、突如背後で爆発が起きた。
「なっ…何が起きた!?」
「えぇ!?なんで爆発したの?!」
全員爆発した方向に目を向け、カタカタヘルメット団は統制を失った。爆発の煙から影があり、誰かがゆっくりと近づいてくる。
「貴様!何者だ!」
「我々の邪魔をするな!」
煙から出てきたのは、両手にハンドブラスターを持った『シャーレの先生』だ。
「やはりセリカを狙っていたか」
アッドはセリカの前に立ち、セリカを守るように後ろに隠す。
「な…なんで…」
「説明はあとだ。今は…」
アッドはハンドブラスターをカタカタヘルメット団に向ける。
そういったアッドは、ハンドブラスターのトリガーを引いた。
はい!今回はここまで!
さて、アッドはこの戦況をどうやって切り抜くのでしょうか…?
ては、フォースと共にあらんことを……
追記
感想や誤字脱字報告、いつものありがとうございます!これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします!
本編(原作)だと先生は生徒の足をなめたりする過酷(死刑!)な大人ですが、アッドもそうであるべきでしょうか?
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舐めるべきや
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ん、アッドも過酷するべき
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う〜ん…微妙!
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そこまでしなくても…
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やめなされやめなされ…
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解釈違い
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やっても…変わらないかな?
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なんだったらためてたものをさらけ出せ