ブルーアーカイブ クローンティーチャー 作:セサミストリート
「がァァァァァァ!!」
一人の男が、3人の攻撃に悶えていた。左肩と右脇に高周波の電撃を喰らい、体は内側からボロボロになっていく。
「ぐぁぁ…!!」
意識も薄れていき、地面に膝をつき、敵の手を離してしまう。敵も戦意がなくなったとわかった途端、攻撃をやめて彼をそのまま放置して去っていった。
(…ラ……ぐ………)
薄れゆく意識の中、男はたった一人の息子を想いながら、冷たい床で眠った…
ーーーーーーー………
「…ここは…?」
目が覚めると、そこは元いた場所ではなく、廃墟にいた。周りを見渡せば、壁はどこも穴だらけで、窓のガラスはすべて砕けて跡形もない。
(アーマーと武器は無事……?あの時銃身が焼けて使い物にならなかったはずだが……)
現在所持しているガトリングガン型ブラスター砲は先の戦闘で銃身が焼けていたが、今は戦闘前の状態で背中のジェットパックについている。左腕についているアーマーから発生する小型シールドも問題なく作動し、右足には高周波ナイフもある。そして、体を守る一族のアーマーはどこも目立った傷もなく、ジェットパックの燃料も限界まで溜まっている。つまり、戦闘前の状態でここに眠っていたことになる。
「外はどうなっているんだ?」
装備を確認した後、立ち上がって廃墟の外に出る。外は薄暗く、周りを見渡しても同じような廃墟ばかりだった。ただ、廃墟をよく見ると壁には銃痕があり、地面には血の跡がうっすらある。ここはすでに放棄された街なのだろうか。それともここは帝国の領域なのか。
「なぜここで眠っていたんだ…?」
俺は今いるこの状況を頭の中で整理し、これからどうするか考える。人がいない以上、ここから出れるのも困難だ。
色々と考えていたら、遠くから足音が近づいてきた。ヘルメットの熱源装置で足音を方向を見たら、相当な数がこちらに向かっているのがわかった。ただ、その中に一つだけ、やけに黒い色をした熱源があったことに気づいた。
「帝国のトルーパーか?面白い、返り討ちしてやる」
俺はジェットパックにつながっていたヘビーブラスター砲を取り出し、足音の方向に銃口を向ける。体の重心を落とし、どんな攻撃が来ても耐えれるように備える。
「我らの…ん?」
目視で確認できるところまで敵を見たら、俺は敵に驚き、武器を下げた。
「子ども…?」
目の前に現れたのは、年端も行かない少女ばかりで、顔にはガスマスクを覆い、見たことのない銃をこちらに向けている。また、頭の上には見たことのない模様が浮かんでいる。子供が武器を持ち、子供とは思えない殺意をこちらに向けて驚いてしまい、いつの間にか囲まれてしまった。
「こいつらはいったい…?」
一人で驚いている中、目の前の少女たちが突如目の前に道を作り、隊列を組み始めた。その道の通ってきたのは、今までに見たことのないものが俺のもとに来た。
「侵入者が現れたと連絡があって来ましたが…どうやらキヴォトスの住人ではなさそうね」
目の前にいるのは、赤い肌の女?だ。だが、ただの女じゃない。顔には複数の目があり、服装は体のラインがわかるくらいピチピチのドレスを身に着けている。俺の世界に肌の色が違う種族は大勢見てきたが、あれ程アンバランスなやつは見たことがない。どこを探してもあんなやつはいないだろう。
「貴様は誰だ?帝国の幹部か?」
「帝国…?ここは誰もが忘れられた場所、帝国なんてものはありません」
「何…?ならその子どもたちは何だ?なぜ宝である子供を戦場に立たせる?!」
「……あなた、キヴォトスをご存知?トリニティやゲヘナは?」
「そんな名前は知らん!俺の質問に答えろ!」
質問に答えない女に腹が立ち、ヘビーブラスター砲を女に向ける。それと同時に囲んでいた少女達もこちらに銃口を向けてくる。
「武器を下げなさい。あなたに勝ち目はないわ」
「俺にはベスカーがある。お前を殺す位なら問題ない」
「こちらには30人はいるのですよ?くだらない意地を張るのはおやめなさい」
「面白い賭けだ…!」
互いの武器を構え、いつ戦闘が始まってもおかしくない緊張感が周りを包んでいた。一人の男がガトリングガンに似た武器を女に向け、たった一人で戦おうとしている。対して女は子どもたちを自身の道具として戦おうとしている。そんな中、女の元に一人の少女が近づいた。手で形を作りながら何かをしているが、見たところタスケンの会話と似ている。
「…いいでしょう。あなた達、武器を下げなさい」
女の命令で全員が武器を下げ、俺も同じくヘビーブラスター砲を下げる。
「死にたくなければ付いてきなさい。あなたに興味がわきました」
「……いいだろう」
この女の雰囲気、どこかに似ていると考えたら、思考があの憎い帝国と同じだ。恐怖で支配し、洗脳して支配する。それも年端のいかない子供を使って自分の道具にする。正しく帝国のやり方だ。そして、あの女はその帝国を支配する皇帝と同じことをしている。どうやら俺が来たこの世界は、帝国と殆ど変わらない場所に来たらしい。
歩きながら無数の銃に取り囲まれ女に続いていくと、古びた学校の様な場所にたどり着き、そこにいる明らかに生きる希望をなくした目をした子供達に見送られ女の自室に辿り着く。女の横には、先程手話ではなしていた少女もいる。
「……どこもかしこもボロボロだな。戦闘でもあったのか…それともここは戦場か?」
「間違ってはいないでしょう……さて、話し合う前に自己紹介をしましょう。私はベアトリーチェ、このアリウス分校を管理しているものです」
「……俺はマンダロリアンのパズ·ヴィズラだ」
「マンダロリアン……聞いたことのない言葉ね、どういう意味かしら?」
「マンダロリアンは惑星マンダロアの族称だ。俺はそのマンダロリアンのヴィズラ一族の末裔だ」
「ふむ……どれも全く聞いたことがないですね……」
「キヴォトスといったな。そんな惑星も聞いたことがない」
「……なるほど、外の世界ではなく、多次元の世界からあなたは来たのですね」
女は座っているソファーに横たわる。その姿はハット族にそっくりだ。
「では、まずは私の知っている範囲でのこの世界について説明しましょう。その後はあなたの世界のことについて説明なさい」
「…わかった」
こうして俺とベアトリーチェは今いるこの世界と俺がいた世界についてお互いの情報を共有した。
まず、このキヴォトスというは様々な学園で成り立つ学園都市の名称だ。子供達がそれぞれの学区で権力を持ち、自身が所属する学園で生徒として活動をする。中にはテロまがいなこともするようだ。そんな情報を知ったがいいが、一つだけ驚いたことがある。
それは、ヘイローという頭に輪っかのようなものを持つ生徒は例え銃弾で撃たれても、爆発に巻き込まれても生きていることだ。俺の世界では、どんな攻撃でも人は死ぬ。俺のようなベスカーアーマーで守られたとしても、アーマーの隙間を撃たれたり刺されたりすれば死んでしまう。それが俺の常識だと思っていたが、どうやらこの世界ではその常識は非常識になるようだ。
ベアトリーチェの説明が終われば、次は俺の世界について話す。マンダロリアンは共和国や分離主義者と戦い、時には手を組み、時には裏切り、戦ってきた。あるときに戦争が終わり、俺たちマンダロリアンは一時的な中立を保つことができたが、覇権争いや他の一族の内戦でマンダロリアンは内側からバラバラになっていた。そんな中帝国がマンダロアに攻撃をしてきた。そしてマンダロリアンは故郷を捨て、様々な惑星に逃げて隠れ住んでいた。
「ベスカー……帝国……マンダロリアン……異世界の情報は中々面白いものばかりね。あなたのいた世界は殆ど戦争で成り立ってるものばかりで、しかもあなたはその世界の戦士として生きていた…とても興味深いわ」
「……」
「…ヘルメットは脱がないのですか?」
「教義によって脱ぐことは禁じられている」
「教義…それはあなたのいた世界での話でしょう?ここはマンダロアも帝国もいない。あなたが教義を守り続ける理由はないはず」
「俺は教義によって生かされている。貴様にとやかく言われることではない」
お互いに情報共有が終わり、俺は席を立つ。ここにいれば、気分が悪くなる。
「どこに行くのかしら?ここから出られませんよ」
「なら俺が道を作る」
「出れたとしてもあなたを受け入れる場所はありません、ここに留まるなら多少の生活は約束しましょう。その代わり、私の依頼を受けてもらいます」
「断る。貴様の指図は受けないし、俺は傭兵ではない」
「それはマンダロアが滅ぶ前の話でしょう?あなたはそこから逃げ、傭兵として生きてきた…ならば、あなたは傭兵ではなくて?」
「……お前のような腐ったやつの下につくつもりはない」
「そうですか…では、こうしましょう」
ベアトリーチェは指を鳴らし、外から子どもたちを呼び出した。子どもたちは素早く俺を囲み、銃口を向ける。殆ど初めてあったときと同じ状況になってしまった。
「貴様……何のつもりだ!」
「あなたが子供に対して攻撃しないことはわかりました。ならば、私はこの子達を使うまでの話です」
「貴様は戦わないのか!?」
「この子達が勝手に戦います。私はその背中を押すだけ、何もしなくても私は勝ちます」
「貴様……!!」
あまりの態度に俺は怒り、ヘビーブラスター砲をベアトリーチェの顔面に向ける。この距離なら外すことはまずはありえないだろう。
「私を撃っても構いませんが、その前にあなたは無事ではいられないでしょうね?ベスカーとやらに守られているにしても、すべての方向から狙われたら、どうなるか観物ね」
「貴様ぁ…!!」
ベスベアトリーチェはいつの間にか持っていた扇子を口に当てクスクスと笑った。ベアトリーチェは自身の生徒に何も思い入れがないからこんな仕打ちができると考えたら、ますます殺意が強くなる。お互いの殺意がぶつかり合う中、ベアトリーチェの隣りにいた少女がベアトリーチェに近づき、また手話で何かを話している。
「…なるほど、その考えは悪くありませんね」
ベアトリーチェは立ち上がり、手を挙げて子供達に銃を下げるように指示した。子供達は指示に従い、何もなかったかのように部屋からでていった。
「さて、考えは改めましたか?」
「……今はお前に従うしかなさそうだな」
「賢明な判断ね。では私の依頼を受けてもらいましょうか」
お互い椅子に座り、ベアトリーチェは無線端末を俺に渡した。その端末はどのコムリンクにも見当がつかない。
「……これは?」
「ここにいてもらうなら、携帯ぐらいは持ってもらいます。使い方はまた後日に教えます」
ベアトリーチェが端末を渡したら、今度は4枚の紙を机の上においた。紙に書かれている内容は、それぞれの少女たちの記録が書かれている。
「その四人は私が手塩にかけて教育している優秀な子供達です。サオリをリーダーにしているのですが、リーダーを筆頭に中々命令に従わないことが度々ありましてね」
「……何が言いたい?」
「あなたにはその子達を教育してもらいます」
こいつは驚いた。この女が完全な支配をしていると思っていたら、命令に従わない子どもたちがいるとは。しかし、教育しろとはいわれたが、結局は人殺しの教育をしろと言ってるものだ。この女は子供を何だと思っているんだ?
「…俺に人殺しの技術を教えろと言うのか?」
「人聞きの悪いですね、このキヴォトスはヘイローを持つ子どもたちは銃を持って戦うのですよ?いわばスポーツみたいなものです」
「……碌でもないな」
いくら痛いだけで済むとはいえ、やっていることは殺し合いと変わらない。それがこの世界では常識になっていることにほとほと呆れている。だが、この女はそんなスポーツのような優しいものではない。本当の意味の殺し合いをさせようとしている。
「……いいだろう。ただし、条件がある」
「…何かしら?」
「俺のやり方でその子供達を鍛える。貴様の指示は一切不要だ」
「…いいでしょう、あなたには期待しています」
ベアトリーチェは手を叩き、部屋に3人の子供達を呼び出した。
「あなた達、この方を部屋まで送りなさい」
「「「はい、マダム」」」
子供達は俺の側に寄り、案内役を努めた。その子どもたちの目は、泥水のような濁った目をしている。この女から一体何をされたのか想像がつかない。
「最後に一つ聞いてもよろしくて?」
部屋から出ようとしたとき、ベアトリーチェに呼び止められる。さっさとこの女から離れたいものだ。
「…何だ?」
「あなたは人を殺したことはありまして?」
なんの脈絡もない質問に少し驚いたが、そんなことをくだらないことを聞くとはな…
「…数えていないからわからないな」
「…そうですか」
俺はベアトリーチェの部屋をあとにし、子供達の案内に従ってボロボロの廊下を歩く。
「…これは期待できそうね…ふふふ…」
ベアトリーチェは不敵に笑い、そばに控えていた少女は笑うベアトリーチェを見ていた…
ーーーーーーー………
(…どうしたものか)
ここに留まるのは仕方ないとはいえ、下手な行動はできない。もし逃げ出そうとすれば、ベアトリーチェは間違いなく子供達を殺すだろう。
(…今はできることをするしかないか)
今は従っておこう。だが、ときが来れば俺はあの女を殺す。それまでは従ってやろう。いつかその時が来るまで、息子に会える日まで、俺は戦い続ける。
はい、息子大好きのパズ·ヴィズラさん登場です。時系列的にはまだアッドがシャーレに来ていないときです。また、この物語は後の事件にも関わります。さて、彼は四人の少女達に何を教えるのでしょうか……?
では、フォースと共にあらんことを……
本編(原作)だと先生は生徒の足をなめたりする過酷(死刑!)な大人ですが、アッドもそうであるべきでしょうか?
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舐めるべきや
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ん、アッドも過酷するべき
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う〜ん…微妙!
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そこまでしなくても…
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やめなされやめなされ…
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解釈違い
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やっても…変わらないかな?
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なんだったらためてたものをさらけ出せ