Chatgpt Agent Builder:入門攻略note
第1章:はじめに - 今回の講義で得られるもの
本講義では、OpenAIのAgent Builderを実際に操作し、RAGエージェントの構築プロセスを解説します。あわせて、Agent Builderで扱える主要機能(ノード、ガードレール、プレビュー/公開等)を網羅的に紹介します。
この講義では主に以下の3点について学ぶことができます:
Agent Builderの基本: ワークフローを構成する各「ノード」の役割と使い方を体系的に理解します。
RAGエージェントの構築: 社内PDF等をFile Searchで参照し、専門的な質問に答えられるエージェントをノーコードで実装する具体的な手順を学びます。
実践的な応用: 外部サービス連携(コネクタ/MCP)や条件分岐等を活用し、業務自動化を高度化させるテクニックを学びます。
第2章:ワークフローの心臓部 - 主要ノード徹底解説
Agent Builderは、「ノード」と呼ばれる機能ブロックをキャンバス上で接続し、エージェントのロジックを視覚的に構成します。講師の説明に基づき、主要なノードの役割を解説します。
Start: ワークフローの起点となるノード。ユーザーからの入力(文字列、数値など)をどのように受け取るかを定義します。
Agent: 「AIモデルの動作指示を書くノード」であり、プロンプト、モデル、ツール設定を担うエージェントの「頭脳」部分です。複数のAgentノードを連携させ、役割分担も可能です。
Note: 設計意図や設定に関するメモを残すための補助的なノード。複雑なワークフローの可読性を高めます。
File Search: RAG(Retrieval-Augmented Generation)の中核を担うノードです。「PDF等の内部資料をFile Searchで参照可能に」することで、AIは外部の知識に基づいた回答を生成できます。これはAIに再学習させるのではなく、ベクトル検索技術で関連文書を特定し、その内容を根拠に回答を生成する仕組みです。
Guardrails: エージェントの安全性を確保するための重要な機能です。個人情報(PII)のマスクや検出、不適切な要求(ジェイルブレイク)の検知といった安全策を適用できます。
MCP / Connectors: 外部アプリケーションと接続するためのノードです。GmailやGoogleカレンダーなど、公式にサポートされているサービスと連携し、業務の自動化を実現します。
If/Else: 条件に応じて処理ルートを切り替えるための条件分岐ノードです。
User Approval: 処理を実行する前に、人間による承認を要求するノード。講師は「メール送信前に『この内容で送信しますか?』などの確認を入れる用途に最適」と解説していました。
第3章:実践編 - ノーコードで社内問い合わせRAGエージェントを作る
この章では、講師が実演した社内問い合わせ対応RAGエージェントの構築手順を解説します。
【ステップ1】AgentノードでAIの役割を定義する 最初に、Agentノードを配置し、プロンプトでAIの役割を定義します。講師はデモで次のように設定しました。 「あなたは社内業務に関する質問に社員が正確でわかりやすい答えを得られるよう支援するAIエージェントです。」
【ステップ2】File Searchでナレッジを参照させる 次に、AgentノードのツールとしてFile Searchを有効化し、参照させたいPDFドキュメント(例:「新人向け社内業務ガイド」「管理職向けチームマネジメント支援」)をアップロードします。これにより、エージェントはこれらの内部資料の内容を回答の根拠として利用できるようになります。
【ステップ3】プレビューで動作をテストする 右上の「プレビュー」機能でエージェントの動作をテストします。講師が「出張申請の承認手順は?」と質問すると、エージェントはアップロードされたPDFの中から関連箇所をベクトル検索で特定し、その内容を根拠に正確な手順を回答しました。これは、AIが単に学習した知識から答えるのではなく、明確な根拠に基づいて回答を生成するRAGの仕組みが正しく機能していることを示しています。
第4章:活用のポイントと可能性
講義では、Agent Builderをより高度に活用するための2つの重要なポイントが示されました。
安全な運用のためのGuardrails: 企業利用においてAIの安全性は最重要課題です。Guardrailsノードを活用することで、「PIIをマスク/検出して安全運用を支援」したり、不適切な利用を防ぐポリシーを適用したりすることが可能です。これにより、誤用や攻撃に対する耐性を強化できます。
業務を自動化する外部連携: コネクタ/MCPによる外部連携は、Agent Builderの可能性を大きく広げます。講師は「GmailやGoogleカレンダー等は公式サポートが明記」されている点に触れ、チャットでの対話を通じてメール送信や予定登録といった具体的な業務を自動化できることを示しました。将来的にはさらに多くのサードパーティサービスとの連携が期待されます。
最終章:まとめ
今回の講義では、OpenAIのAgent Builderについて、以下の点を学びました:
主要な構成要素: Agent、File Search、Guardrails、MCPといった主要ノードと、Preview、PublishといったUIの役割が明確になりました。
RAG構築の本質: RAGエージェントの構築は、AIにゼロから「学習」させるのではなく、既存の内部ファイルを「参照/検索」させて回答の精度と信頼性を高める技術であることが理解できました。
安全性と拡張性: Guardrailsによる安全性確保と、コネクタ/MCPによる外部連携が、実用的なAIエージェント開発に不可欠であることを学びました。
講師が最後に「正直めちゃくちゃ目新しい機能があるってわけではない気がします。なのでこれからどういう機能が追加されるのかとか、それによってもっと使いやすくなるのかな」と語っていたように、Agent Builderはまだ発展の途上にあります。しかし、その所感は、このプラットフォームが今後、プレビュー、評価、ガードレール、コネクタ機能の継続的な進化を通じて、さらに強力なツールになることへの期待の裏返しでもあります。