ブルーアーカイブ クローンティーチャー   作:セサミストリート

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努力は必ず自分の糧になる


警察官への道(1)

訓練内容を戦術ドロイドに決めて、訓練開始日にはヴァルキューレの生徒たちがグランドで待っていた。

 

「これから何が始まるの?」

「さぁ?なんにも聞かされてないからわかんない」

「聞いた話だけど、『シャーレ』の『先生』が私達を訓練してくれるらしいよ?」

「ほんと!?それすごいじゃん!」

「でもなんで今頃訓練なの?」

 

グランドで待っている生徒たちはそれぞれ話し合っている。雰囲気は厳正とは無関係な、和気あいあいとしている。

 

「全員注目!」

 

カンナは壇上に立ち、号令で全員がカンナに目を向ける。

 

「お前達!最高の警官になりたいか?!」

「「なりたいです!!」」

「今日から3ヶ月間、ヴァルキューレ特別訓練を開始する!今日のためにシャーレのアッド先生がお前達の訓練を担当する!この訓練で学んだことはこのヴァルキューレの全てに掛かっている!全員しっかりと学ぶように!」

 

カンナの言葉に全員が真剣な顔つきになった。どうやら全員覚悟を決めたようだ。

 

「では先生、どうぞ」

 

カンナは壇上から降りて俺に立つように言う。俺が言えるのはあまりないが、俺が大切にしている言葉を送ろう。

 

「これだけは覚えておけ!前線で常に頼れるのは仲間との団結だ!時に対立があったとしても常に心は一つであれ!お前達のそばには最高の戦友がいることを忘れるな!」

 

この言葉は俺がまだ候補生のときにコマンダー·コルトに言われた言葉だ。今でも大事にしている。俺の言葉に、全員が直立不動で聞いている。戦場であれ、現場であれ頼れるのは仲間の存在だ。俺も数多くの戦場で兄弟と戦ってきた。

 

「俺のことを呼ぶときはキャプテンか、サーをつけろ!」

「さー…?」

「キャプテン…?」

「サーイエッサーだ!わかったか!」

「「さ、サーイエッサー!!」」

 

軍隊の用語がわからず、何人かは困っていたが俺の説明で全員がまた直立不動になる。

 

「最初の1ヶ月は座学を行う!1000に第5作戦室にあつまれ!もし眠ったやつがいたら俺が個別で特別指導をしてやる!わかったか!」

「「サーイエッサー!」」

 

全員が直立不動で返事を返し、即座に目的の部屋に移動を始めた。

 

「…先生、本当にこれで大丈夫でしょうか?」

 

カンナが近づき、心配そうな顔をしている。正直なことを言うと、俺も心配している。

 

「大丈夫だ。みんなを信じろ」

 

それでも、信じられるのは彼女達の行動次第だ。俺は全員がこの訓練を乗り越えられるのを信じている。

 

ーーーーーーー………

 

「ハジメマシテ、ワタシハミナサンノザガクヲタントウスル戦術ドロイドデス」

 

全員が時間通りに集まり、作戦室の前には戦術ドロイドが立っている。

 

「アッド先生が担当じゃないんですか?」

「キャプテン·アッドハミナサンノジッセンテキナクンレンヲタントウシマス。ワタシハオモニミナサンノザガクヤサクセンシドウヲタントウシマス」

「ドロイドが先生とか聞いたことないよ」

「でもあのドロイド、見たことないよ」

 

座学を担当する戦術ドロイドに、全員が困惑していた。本来であれば、このキヴォトスのロボットが授業を教えるが、俺は戦術ドロイドの試験的稼働をするために採用している。

 

「ミササンノベンキョウヲミテ、ソレニミアッタベンキョウヲワタシハオシエマス。モシワカラナイコトガアレバ、ワタシ二シツモンシテクダサイ」

 

本当なら俺が授業を受け持つつもりでいたが、警察の書類を全て暗記して生徒達に教えることはできない。それなら、全てを暗記して、なおかつ正しい情報を与えることができる戦術ドロイドがいい。

 

「デハ、サイショニ…」

 

こうして、1ヶ月の座学が始まった。

 

ーーーーーーー………

 

座学が始まって1ヶ月がたち、残りの日は全て実戦的な訓練を始めた。最初の座学で全員の平均点が30点以下だったときは驚いたが、戦術ドロイドの巧みな指導により、平均点を80まで上げることができた。そのかいがあったからか、全員が警察官としての意識が高まっている。

 

「犯人を追うことや現場に行くためには体力を使う!そのためにはまず基礎体力を上げることからだ!これより校舎のランニングを行う!俺についてこい!」

「「サーイエッサー!!」」

 

生徒達はフル装備の状態で走り、俺はアーマーのまま先頭を走る。それにしても、この世界の銃は変わっている。特に変わっているのは、銃によって口径が違うことだ。加えて口径が違うと弾の種類も違う。その銃の口径にあわせた弾を使わないといけないのが変わっている。しかも弾によっては重さも違いがあり、そのせいで行動に制限が掛かる。その点、俺のブラスターはリロードも必要がなく、ほぼ半永久的に撃つことができる。この世界の銃は中々に癖が強い。今回走っている生徒の中にはハンドガンだったりアサルトだったりと使う武器が違うが、俺は駆け足で重さに不公平が出ないように全員にアサルトライフルを持たせている。

 

「「イチ!イチ!イチ!ニ!そーれ!」」

「「イチ!イチ!イチ!ニ!そーれ!」」

 

駆け足の掛け声が学校に響き、全員走っている。2周目辺りから声がだいぶ小さくなっていった。

 

「どうした!もうバテたか?!この程度でバテたら誰でも逃げられるぞ!それでもいいのか!?」

「「嫌です!絶対に捕まえます!!」」

「なら立て!まだ始まったばかりだ!行くぞ!!」

「「サーイエッサー!!」」

 

全員を奮い立たせ、また校舎を走り続けた。

 

ーーーーーーー………

 

それから日が経ち、俺はヴァルキューレの教官部屋で訓練を受けている生徒のデータを見ていた。殆どは平均的な数値を出しているが、特に全員に共通しているのが『協力』することができてない所だ。こればかりは俺が言葉で教えることはできるが、形で教えることはできない。その理由は彼女達がこの訓練を通して学ぶしかないからだ。

 

「…キャプテン·レックスならどうするだろうか?」

 

501軍団を率いていたキャプテン·レックスは誰よりも勇敢で、常に兄弟達を見守っていた。そして、誰よりも強かった。俺はそんなキャプテンに憧れている。だが、俺にはそんな強さはないし、ましてや軍団を率いるほどの統制力やカリスマ性も持っていない。

 

「…だが、この任務は俺にしかできない」

 

それでも、俺は彼女達を見捨てることは絶対にしない。このキヴォトスを守る存在である警察官を育てるのは、いわば俺の世界の兵士を育てるのと同じだ。

 

「明日は射撃訓練だったな。その訓練で今後の訓練内容を決めるしかないな」

 

明日の訓練内容を思い出しながら、俺は部屋をあとにした。




久しぶりで色々おかしいかもしれませんが、感想、誤字脱字等のメッセージをお願いします

では、フォースと共に在らんことを…

本編(原作)だと先生は生徒の足をなめたりする過酷(死刑!)な大人ですが、アッドもそうであるべきでしょうか?

  • 舐めるべきや
  • ん、アッドも過酷するべき
  • う〜ん…微妙!
  • そこまでしなくても…
  • やめなされやめなされ…
  • 解釈違い
  • やっても…変わらないかな?
  • なんだったらためてたものをさらけ出せ
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