ブルーアーカイブ クローンティーチャー   作:セサミストリート

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見たもの聞いたものが、全て真実とは限らない


episode 0.5
ヴァルキューレ警察学園


シャーレに住み着いて数週間はたち、机の上にある書類は増える一方だが、何とか問題を解決していって着任したときよりも少しずつ減っている。

 

「先生!新しいメッセージが届いています!」

「…また企業か不良たちか?」

 

シャーレの『先生』としての活動がキヴォトス全体に広まり、今までは各学園の依頼ばかりだったのが、最近は企業や個人的な生徒の依頼が届いている。俺は賞金稼ぎではないんだが…。

 

「それが差出人が不明で、先生だけが見れるようにプログラムされてます」

「随分面倒なことをしてくれるな」

 

差出人不明のメッセージは今回が初めてではないが、俺しか見れないようにしているのは初めてだ。

 

「アロナ、メッセージをこちらに渡してくれ」

「分かりました!」

 

アロナに俺のスマートフォンにメッセージを受け渡す様に指示する。このスマートフォンはリンからもらったもので、未だに扱いなれてない。しかし、この端末で様々な情報を見れるのは便利だが、その分情報が正確なのかはわからない。それはともかく、メッセージを見よう。

 

『こんにちは、アッド先生。私はヴァルキューレ警察学園の公安局に所属している尾刃カンナです。シャーレの件ではお世話になりました。現在、私が所属しているヴァルキューレ警察学園はキヴォトスの全ての生徒と住民の安全と平和のために尽力を尽くしています。しかし、生徒の殆どが質が悪く、中々事件が解決しない事態が発生しています。アッド先生が元軍人であることを知り、私達をご指導してほしいのです。どうか、よろしくお願い致します』

 

メッセージの内容はヴァルキューレ警察学園の指導依頼だった。ヴァルキューレのことはある程度はしっている。そして、その生徒達は執務を怠けたり、全く仕事をしないという噂をよく聞いている。また、尾刃カンナは尋問が過激で一部の生徒から『ヴァルキューレの狂犬』という異名を呼ばれているのも知っている。

 

「…要はコルサント·ガードみたいにしてほしい、ということか」

 

俺の世界だと警察はなかったが、コマンダー·フォックスが率いるコルサント·ガードが警備を担当していた。彼らは選ばれたエリート部隊で、過去にアミダラ議員を救出した経緯を持っている。ここにコマンダー·フォックスがいれば、喜んでヴァルキューレ警察学園の顧問になっただろう。

 

「…まぁ、いないからなんとも言えないか」

 

俺は何回かは候補生を訓練や指導をしたことがあるが、この世界の指導方法はカミーノのやり方とは訳が違う。かと言って、このメッセージを無視するわけにはいかない。

 

「アロナ、少しここを空ける。何かあったら連絡してくれ」

「分かりました!お気をつけて!」

「あぁ、行ってくる」

俺はヘルメットとブラスターライフルを持って、ヴァルキューレ警察学園に向かった。

 

ーーーーーーー………

 

ジェットパックで飛び、3時間程でヴァルキューレ警察学園に到着し、俺は門の前に着地する。

 

「ここがヴァルキューレ警察学園か」

 

目の前の建物は中々に大きく、時折駆け足の掛け声が聞こえてくる。カミーノの候補生時代を思い出すな、ワックサーとトラッパーとよく喧嘩したものだ。

 

「そこの不審者!止まれ!」

「…ん?」

 

思い出に浸っていたら、ヴァルキューレの生徒に声をかけられた。不審者とは失礼だな。

 

「何しに来たんだ?ここは関係者以外は立入禁止だぞ!」

「今立ち去れば見なかったことにしてやるから、さっさと帰れ!」

 

威勢よく俺に警告するが、全く怖くない。というか、武器も持たずにこっちに近づくな…警戒が全くなっていないな。

 

「俺はシャーレのアッドだ。尾刃カンナからの依頼でここに来た」

 

こちらに警戒している生徒達を刺激しないように慎重に話す。

 

「え?局長の依頼?」

「そんなのきいてないぞ?」

 

二人はお互いの顔を見て困惑した。どうやらカンナのメッセージの内容はここまで届いていないようだ。

 

「そこで何をしている?」

 

門から来たのは依頼主の尾刃カンナだった。目元あたりの隈がとんでもないことになっているが…

 

「き、局長?」

「不審者を捕えました!如何しますか?」

「…その方は私の客人だ。通してやれ」

「え、じゃぁこの人がシャーレの先生…?」

「さっきそういっただろ」

「し、失礼しました!どうぞ、お通りください!」

 

カンナの助けで門に入ることができた。質が悪いとは言ってはいたが、そこまで酷くはないと俺は思った。

 

「ここに来たということは、メッセージを見てくださったのですね」

「あぁ、俺で良ければ訓練は教えることはできるが…それより大丈夫か?疲れているようだが…」

 

尾刃カンナは長髪の金髪で、頭にはウルフのような耳をはやしている。服装はヴァルキューレ警察学園の制服を着ており、見掛けだと女性警察官のようだ。ただ、目元の隈がかなり黒いのは気になる。

 

「あぁ…大丈夫です。いつものことなので。そういえば自己紹介がまだでしたね。私はヴァルキューレ警察学園の公安局長を勤めている尾刃カンナです。以後お見知りおきを」

「よろしく頼む。俺が言うのも何だが、無理だけはするなよ。警官は体が資本だからな」

「はい…ありがとうござます」

「それで、俺は何を教えればいいんだ?」

「ここではなんですから、部室で話しましょう。こちらです」

 

ーーーーーーー………

 

カンナの話によると、公安局や生活安全局は数々の事件をそつなく解決し、犯人を捕らえるのもそんなに時間はかからなかった。しかし、最近は大きな事件もなく、加えて犯罪者の脱獄も減ったとこでヴァルキューレの生徒たちは堕落し、全く仕事をしなくなったそうだ。

 

「それで俺を呼んだのか…よく俺が軍人だとわかったな」

「えぇ、先生はここに来る前は優秀な軍人であったことを私が独自に調べ、今に至ったというわけです」

 

俺の個人情報がダダ漏れじゃないか…今度アロナを問い詰めてみるか。

 

「先生には、堕落する前のヴァルキューレ警察学園の、誰にも屈しない警察官としての素質をもう一度彼女たちに学ばせてほしいのです」

「…軍隊と警察は似て非なるものだ。それを俺が教えてもいいのか?」

 

警察と軍隊は根本的には『守る』ことが共通しているが、それが何を対象にして『守る』のかが違う。まぁコルサント·ガードも必要となれば戦闘に参加するが、あれは特殊な部類にはいる。比較するのは辞めておこう。

 

「構いません。私達はキヴォトスの安全と平和のためなら、どんなことも学びます」

「そうか…その考えは他の生徒たちも同じ気持ちなのか?」

「それは…」

「お前から真剣に学びたいという姿勢は認める。だが、お前だけがこうしよう、ああしようと動いてしまったら、下の奴らは付いてこれなくなるぞ」

「……」

 

カンナは下を向き、耳も倒れている。少し言い過ぎたか…?

 

「兎に角、一回仲間たちと話し合うといい。それで意見が一致すれば、俺もしっかり訓練を考えよう」

 

…らしくないことをするものではないな、ワックサーかキャプテン·レックスならもっとうまくまとめただろう。

 

「…一度公安局と生活安全局で相談してみます。ですが時間が掛かるかと…」

「問題ない。シャーレには既に空けておくことは伝えている。俺のことは気にせず、ゆっくりと話し合え」

「…ありがとうございます」

「あぁ…そうだ、良ければパソコンを使ってもいいか?」

「?構いませんが…」

 

ーーーーーーー………

 

「…では、『第一回アッド先生による指導の有無』の会議を始める」

 

部室から部屋を変え、今度は広めの部屋に来た。現在参加しているのは、俺、尾刃カンナ、合歓垣フブキ、中務キリノだ。フブキとキリノはカンナからの推薦で参加している。

 

「何でこんなめんどくさいことすんの〜?まだドーナッツ食べてないのに〜…」

「フブキ、今は大事な会議ですよ?ちゃんと集中してください!」

「はぁ〜…キリノは元気だねぇ…」

 

二人の行動を見るに、まずフブキは反対するだろう。見るだけでも気だるそうにしているのがわかる。あの性格は訓練しても変わることはないだろう。キリノはむしろ参加したいだろう。カンナから聞いた話では、元々は公安局志望だったが、射撃能力がほぼ適正が無い為に生活安全局に移されたらしい。この訓練で公安局に異動するのが魂胆のはすだ。

 

「最初にお前たちに聞くが、今のヴァルキューレはどう思う?」

「え〜?あんまり変わってないんじゃない?最近は大きな事件もないし、サボ…平和を維持できるだけで十分じゃん」

「私は今のヴァルキューレには熱意が感じられません!今一度みんなで訓練をするべきです!」

「ふむ…貴重な意見をありがとう、先生はどうですか?」

 

ふむ…何といえばこの三人は納得するだろうか。

 

「SNSなどである程度この学園の評判を調べた。これを見てくれ」

「いつの間に…?」

 

俺は事前に調べた情報を目の前にホログラムで映し出した。パソコンからホログラム内臓型コムリンクに移すのはけっこう大変だったぞ…

 

「まず、『ヴァルキューレは税金泥棒』、『生徒の恥』、『辞めたほうがいいんじゃないかな?』、『あんな組織に捕まるのは生き恥』等の情報が出ている。全てが本当とは言えないが、キヴォトスの生徒や住民からは快く思われていないことがわかる」

「いつものことだねぇ」

「うぅ…こんなふうに思われていたなんて…!」

 

フブキはほぼ達観したような感じで見て、キリノはわかりやすく悔しがっている。

 

「これは明らかに犯罪者からも舐められていることがわかっている。その状況をなくすために、カンナは俺に個人的な依頼をしてきたんだ」

「局長が?」

「…このことは既にカヤ室長から許可はもらっている。後はお前たちが納得してくれるかにかかっている」

「へぇ〜あの室長がねぇ…」

 

不知火カヤのことはあまり詳しくは知らないが、いずれは向こうからコンタクトするだろう。今回の件で話を通すなら、不知火カヤから来るはずだが…

 

「さて、お前たちはどうする?俺はお前たちを鍛えることに楽しみにしている」

 

フブキとキリノはお互いの顔を見合わせ、決意を決めたかのようにこちらに顔を向ける。

 

「ホントは面倒なのはやりたくないけど、まぁここまで酷いとねぇ…ちょっとは見返したくなるかな」

「私は元から賛成です!この訓練でしっかりとキヴォトスの警官としての執務を全うします!」

 

キリノに関しては元から賛成なのはわかっていたが、フブキも賛成するとは思わなかった、兎に角、これで話はまとまった。

 

「…カンナ、お前はどうする?二人はやる気だぞ?」

 

カンナは考える仕草をした後、俺の方に体を向けて直立不動で立つ。

 

「私は、早く元のヴァルキューレ警察学園に戻したいです。アッド先生、よろしくお願い致します」

 

カンナは深々と頭を下げた。だからこういうのはやめてほしんだがな…

 

「了解した、訓練開始は一週間後だ。それまでに準備をするように伝えてくれ」

「「はい!」」

「は〜い」

 

さて、どんな訓練をしようか…




※この話はもしキヴォトスのメインストーリー以外でこんなのがあったらいいな〜と思って書きました。本編には関係ないオリジナルストーリーなので、メインストーリーには関係性はありません。

では、フォースと共に在らんことを…

本編(原作)だと先生は生徒の足をなめたりする過酷(死刑!)な大人ですが、アッドもそうであるべきでしょうか?

  • 舐めるべきや
  • ん、アッドも過酷するべき
  • う〜ん…微妙!
  • そこまでしなくても…
  • やめなされやめなされ…
  • 解釈違い
  • やっても…変わらないかな?
  • なんだったらためてたものをさらけ出せ
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