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西ドイツの最も長い夜⑦~運命の玉音放送~

冬の暁闇を鶏鳴より早く突き破る、全センソウ参加者の不意を打った日本からの空襲警報。

「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ。


日本よりリトルボーイの空襲警報」

「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ」・・・これは、かの日露戦争における日本海海戦で、東郷平八郎元帥が掲げた旗に記されたとされる有名な文句です。かつて、日本の命運を大きく分けた戦いで、兵士たちの士気を鼓舞した名文句。これを終戦間際の空襲警報に用いてくるとは、日本側のただならぬ覚悟が伝わってきます。

「今から起こるであろう日本の襲撃は、きっとただでは済まない」

我々はすぐにそう察知しましたが、日本が持っている爆弾は24日に西ドイツが撃ち込んだものなので、自分たちが襲撃されることはまず有り得ません。自分たちの襲撃のことで頭が一杯だったので、その事実に思い当たるとすぐにこの空襲警報のことを忘れました。日本がソレメキに撃ったとしても、我々の点数と終戦時に受ける爆発点は変わらないので逆転は難しいだろうし、他国の襲撃について考えている余裕も元気も、我々にはありませんでした。


そうして、もうほとんど回らなくなった頭を使って「とりあえず作戦を考えている」と自分たちを納得させるためだけにやっているような中身のない作戦会議をしながらとりあえず近くにある駅の方向へ歩いていきました。空気が冷たいのはもちろんのこと、まだ前夜の名残の強い逆風が吹いており、必死に運命に抗おうとする我々の闘志を吹き飛ばそうとするかのようでした。我々はもう、事実上自分たちの敗北が避けられないことを悟っていました。作戦会議も、その作戦にしたがってこれから起こすであろう行動も、逆転勝利の可能性を真剣に信じているからではなく、終戦時に「自分たちは出来る限りのことをした」と敗戦の事実を納得して受け止められるようにするためでした。もちろん、誰一人そのようなことは口にしませんでしたし、万に一つの可能性に賭けてどんなことでもするつもりでしたが、あるかなきかの可能性に縋りはしても、その成功を信じるだけの気力・体力は残っていませんでした。全員が例外なく浮かべていた生気の消えた眼差しが、そのことを証明していました。


そうして、忘れもしない午前5時55分、西ドイツ国民一同のケータイが一斉に鳴りました。メーリスです。

差出人は、日本の春マキさん。この時まで、30分ほど前に日本が空襲警報を出していたことなどすっかり忘れていました。

虚ろな目でメールの本文を確認しようとしたその時、キャノンさんが突然「うおおおぉっ!!!」と叫び声をあげました。絶望のあまり発狂してしまったのかと思いましたが、明らかにその声には希望の炎が灯っていました。急いで届いたメールを読むと・・・


リトルボーイ着弾
57560pt


朕ハ時運ノ趨ク所耐ヘ難キヲ耐ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス


日本終戦


57560pt・・・五万七千五百六十点・・・ごまんななせんごひゃくろくじゅうポイント!?!?

滅多にお目にかかることが出来ない、圧倒的な高得点です。日本が最後の最後に総力を結集して大花火を打ち上げたのでしょう。そして名高い玉音放送からの、終戦宣言。


この時、私はキャノンさんの雄たけびの意味を理解しました。
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