ワクチンで人為的感染の「ヒトチャレンジ試験」 開発迅速化へ政府検討 倫理で課題も
ベルギーの医療・バイオヘルス企業の団体「バイオウィン」によると、同国は第二次世界大戦以前に石炭や製鉄で栄えたが、需要の低下により衰退。産業政策の転換を余儀なくされた政府が製薬企業の投資促進や税制優遇を行ったことで、ワクチンの開発から供給までの「エコシステム」が確立されたという。
CHIMが導入されている北部の港湾都市アントワープには特に製薬企業が多く集まっている。港を中心に物流が発達していることなどから、多くの企業や研究機関が拠点を構え、欧州や北米へ国境を越えたネットワークが発達していることが強みとなっている。(石橋明日佳、牛島要平)
■「平時からワクチン開発の議論を」 東大医科学研究所の石井健教授
日本のワクチン研究開発は、企業や研究者が国家プロジェクトに参加するなど産学連携が迅速に進んでおり、研究レベルでは世界と比較しても劣っていない。
一方で、ワクチン関連のスタートアップやCHIMといった特殊な治験の手法やインフラについては議論も始まっていない。このままでは次のパンデミックで日本が立ち遅れるリスクがある。
平時である現在から、設備の準備や倫理的な問題に関する議論を始めるのは当然のことだ。例えば、欧米にあるCHIMを実施する複数の施設と連携し、治験のデータを取って審査することも有効だろう。
だが緊急時はこうした施設は自国製品の治験を優先するのが当然となるため、日本国内にもCHIMを実施する施設ができることが望ましい。
ワクチンや薬は必ずしもノーリスクで開発は進まないため、平時に議論を突き詰めておく必要がある。
今後、国産ワクチンの開発を進めていくには、厚生労働省や学術界、産業界が一体となってワクチンの有用性や必要性を国民に伝えていく必要があるのではないか。(聞き手 石橋明日佳)