ブルーアーカイブ クローンティーチャー 作:セサミストリート
「…先生、質問してもいいでしょうか?」
エレベーターが1階に到着するまでの間に、リンは俺に質問してきた。さっきから俺をジロジロ見ているが、俺の顔になにかついているのだろうか?
「何だ?」
「先生のその格好は、外の世界では普通なのですか?」
「格好?あぁ、このアーマーのことか」
リンが気になっていたのは俺の格好についてだった。俺が今身につけているのはクローントルーパーのフェイズ2アーマーだ。フェイズ1アーマーに比べると軽く、フェイズ1ではできなかったしゃがみ込むことが可能になっている。加えてARCトルーパーには肩に追加アーマーと腰に特殊加工を施された腰マントを装着している。そして501軍団の象徴とも言える青のカラーが所々施されている。一般のクローントルーパーは基本的に白いアーマーだが、部隊に所属すればそのパーソナルカラーに染めることができる。例えるなら、コマンダー·コーディの部隊は黄色で、コマンダー·フォックスのコルサントガードは赤色などがある。加えてARCトルーパーになれば自由に装備を変えられるし、カラーの模様変更や武装の変更もできる。ARCトルーパーになるのは決して簡単ではないが、自由に変えれるのは戦場で生きる俺にとっては大きなアドバンテージだ。最後に俺のヘルメットにはバイザーが装着されており、暗視装置と双眼鏡と熱探知の切り替えができる。本来ならどちらか一つの機能しかないが、スカイウォーカー将軍のアドバイスでどちらも使用できるようになった。
「ここに来る前は俺は兵士だった。普通とは違うが、これが俺の唯一の服になる」
「そうなのですか…では、そちらの武器は?」
次にリンは銃に興味を持った。腰のホルスターについている2丁のハンドブラスターは基本的に指揮官クラスのトルーパーしか扱えない。取り回しがよく、銃本体も軽くて室内や室外でもどちらでも使える優れた銃だ。約50発程撃てるブラスターモードと殺傷力を控え相手を気絶させるスタンモードの2種類を内蔵している。右手に持っているブラスターライフルはトルーパーの標準装備であり、DC-15Aブラスター·カービンよりも射程が長く、強力な攻撃力を持つ。こちらもブラスターモードとスタンモードの2種類を搭載している。室内では取り扱いが難しいが、俺が上空に飛びながら撃つという奇襲を得意とするため、このブラスターライフルは俺にとっては大切な相棒だ。
「これも俺の世界…いや、兵士の俺には大切なものだ。これがなければ俺は何もできないだろうな」
「…そうなのですね」
リンは少し暗い顔になり、顔を下に向ける。何かまずいことでもしたのだろうか?
「…先生、その武器を使うのは自分の身を守る時だけにしてください。それと、絶対に戦わないでください」
リンは顔を上げ、少し怖い顔で俺を見る。最初の言葉は無論わかってはいるが、前線で戦うなとは無理な話だ。俺は後方で怯えるよりも誰よりも前に進んで戦う。我が501軍団にそんな臆病なやつはいない。
「なぜ俺が戦ってはだめなんだ?」
「…先生がいなくなってしまったら、このキヴォトスは崩壊してしまいます。それを止めるには先生しかいないからです」
このキヴォトスには俺以外の『大人』がいない。いや、存在しないとでも言うのだろう。学生達しかいないこの世界で最後に頼れるのは『大人』しかいない…ここはそこまで人がいないのか?
「…わかった、できるだけ後方にいるようにする」
「ありがとうございます。アッド先生」
リンは笑顔になりエレベーターの外に顔を向ける。
「『キヴォトス』へようこそ、先生。キヴォトスは幾千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります」
「幾千…?そんなにあるのか」
俺の生まれ故郷カミーノにも数多くの候補生を教育や訓練のための施設はあったが、このキヴォトスはそれを超える数の教育施設がある。この都市を維持するのであれば理解はできるが、その学園を支持する大人はいないのだろうか?それにしても、エレベーターから見る景色は、いつか見たコルサントと似ている。しいて違うのは、シャトルやガンシップが飛んでないぐらいだ。夜になれば素晴らしい景色になるだろう。
「きっと先生がいらっしゃったところとはいろいろなことが違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが…でも、先生ならそれほど心配しなくてもいいでしょう」
「何故そう言い切れる?」
「あの連邦生徒会長が、お選びになった方ですからね」
「選ばれた?俺がか?」
「…それは後でゆっくり説明することにして、もうすぐ着きますよ」
俺が質問しようとすると、エレベーターは止まった。エレベーターから出たら、フロアには様々な少女たちが押しかけていた。どこを見ても見たことない服装で、頭の上には見たことがない模様が浮かんでいる。
「ちょっとまって代行!待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
最初に来たのは、青い髪の少女だ。トワイレックの髪型を横にしたような変わった髪型をしている。あと足が太い…いや太いな。俺よりも太くないか?
「…うん?隣の大人の人は?」
少女は俺の方に気づき、近づいてくる。先程のリンと同じくジロジロ見てくる。気がつけばどんどん増えていた。
「首席行政官、お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求しています」
今度は二人が近づいてくる。一人は黒髪の長髪で、何というか…ケノービ将軍が見たら間違いなく説教するレベルの服装だ。もう一人は短髪の少女で、肩にかけているバックが大きい。これほど重量のあるバックを持っても平然としているとは、相当鍛えてるな。中に何が入ってるんだ?
「あぁ…面倒な方々に捕まってしまいましたね」
リンはわかりやすく嫌な顔をする。どうやらこのやり取りも何回もやっているようだ。何というか、スカイウォーカー将軍に振り回されるケノービ将軍もこんな感じなんだろう。それかスカイウォーカー将軍とコマンダー·タノに振り回されてるキャプテン·レックスかもしれない。思い出すと少し笑いそうになる。
「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。」
リンは集まってきた全員に笑顔で挨拶した。笑ってはいるが、彼女から少しおどろおどろしいオーラが見えた気がした。もしかしたらあれが暗黒面か?将軍たちがよく『暗黒面を感じる』とはこういうことか?
「こんな暇そ……コホン。大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています。今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために…でしょう?」
…暇と聞こえたのは気の所為だったことにしよう。しかし、このキヴォトスは俺が来る前から混乱が起こっているらしい。本来なら連邦生徒会長が総責任者なら責任を取るものなのは当たり前だ。しかし、その連邦生徒会長は何をしているのだろうか?
「そこまでわかってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!?数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!?この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
青髪の少女はこれでもかとリンに問い詰める。この感じはスカイウォーカー将軍に口を出すコマンダー·タノに似ている。それにしてもこの世界ではまだ風力発電が使われているのか。タトゥイーンに比べるとそこまで技術は発展していないんだろう。
「連邦矯正局で退学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報収集もありました」
「スケバンのような不良達が、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
「戦車やヘリコプターなど、出所のわからない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」
黒髪と短髪の少女以外に、いつの間にか銀髪の長髪の少女がいた。それよりも、少女達の発言には驚くことばかりだ。発電所は停まる。脱走者がいる。不良が襲う。不法流通が2000%出てる…これは俺よりもジェダイが来たほうが良かったんじゃないか?
「……」
リンは黙ったまま少女たちの話を聞いている。顔は真剣ではあるが、依然オーラは止まっていない。
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
少女たちはリンに問い詰める。無論責任を問うためとは分かっているが、リンにすべてを押し付けるのは些か違うのではないか?全てとはいえ、自分たちで解決できるとこは最大限解決するべきだろう。
「…連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
…今なんて言った?行方不明といったか?まさか逃げ出したというのか?幾千もの学園から様々な問題を押し付けれては精神がおかしくなるのはわかるが、それこそその学園地区の代表者と話し合うべきではないのだろうか?それもとそれすら嫌になって逃げ出したのか?
「…え!?」
「…!」
「やはりあの噂は…」
リンの衝撃的な言葉に、全員が驚いた。驚くのも無理はない。俺も驚いている。
「結論から言うと、『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です」
リンの言葉から察するに、どうやら連邦生徒会は各学園都市の問題を解決することができない、ということになる…ますますジェダイのほうが向いてるんじゃないか?それと、サンクトゥムタワーとは何だ?
「認証を迂回できる方法を探していましたが…先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」
…発言的に今見つかったような感じだが、もしかして俺がその方法になるのか?
「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」
「…はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
「…俺が?」
…やっぱり俺だった。いや待て、そのサンクトゥムタワーの認証に何回も失敗してるのに、俺で認証できるという確証はあるのか?
「…!?」
「…!」
「この方が?」
少女たちは一斉に俺を見る。ヘルメット越しなら気にしないが、今は脱いでるため、素顔になっている。俺の顔には目と鼻の間に大きな横一本の傷がある。いつもなら勲章として兄弟達に自慢しているが、この少女たちは俺の世界の戦争は知らない。だから、戦争でできたこの傷を見てほしくない。
「ちょっと待って、そういえばこの先生はどなた?どうしてここにいるの?あと…その格好はコスプレか何か?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが…先生だったのですね。外の世界では先生は私達と同じく、銃の持つのですね」
「はい。こちらのアッド先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。あと、こちらに来る前は軍人でしたので、その名残で前の職場の格好をしています」
「行方不明になった連邦生徒会長が指名…?ますますこんがらがってきたじゃないの…ていうか、元軍人が先生ってどういうことよ…」
俺は今でも共和国のグランド·アーミーなんだが、ここで話すと長くなるし、ややこしくなるためあえて言わないことにする。正直に言うと、俺もこんがらがってる。なんで一兵士の俺なんかが教官みたいなことをここでするんだ?…とりあえず自己紹介はしておこう。
「俺の名はアッド。俺もわからないことばかりで少し困っている。だが、ここでの責務は果たすつもりだ。これからよろしく頼む」
自己紹介を軽く済ませ、頭を少し下げる。昔キャプテン·レックスから教わった挨拶方法だ。困ったときは頭を下げるのがいいと聞いた。
「こ、こんにちは、先生、私はミレニアムサイエンススクールの…い、いや、挨拶はどうでも良くて…!」
青髪の少女は一人であたふたしている。落ち着きがないな、少し深呼吸したらどうだ?
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと…」
「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」
「あ…あぁ、わかった。よろしく」
青髪の少女の名前は早瀬ユウカ。他の少女たちと比べ、足が太い。覚えるのは簡単だな。
「…先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、とある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。連邦捜査部『シャーレ』…単なる部活ではなく、一種の超法的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての生徒たちを制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で制限無しに戦闘活動を行うことが可能です…何故これだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかはわかりませんが…」
…待て、とんでもないことを言ってないか?戦闘活動?この少女たちが戦うのか?本来なら俺のような兵士が戦うものだろう。なのに、この年端もいかない少女たちが武器を持って戦うのか…ここは戦場か?随分と碌でもない星に来たものだ。それにしてもこの『シャーレ』の顧問は、謂わばクローン·マーシャル·コマンドーのような地位を持っているようなものか、それとも元老院みたいなものか。
「シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんどなにもない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『ある物』を持ち込んでいます。先生を、そこにお連れしなければなりません」
30kmか…第二次ジオノーシスやライロスの戦いに比べたらかなり近く感じる。加えてジェットパックを付けているから、大体10分ほどで着くだろう。
「リン、俺は一人で大丈夫だ。問題はない」
「先生は良くても、もし何かあったら誰が先生を守れますか?」
「ジェットパックで飛…」
「だ·れ·が、先生を守れますか?」
「…わかった、そう睨まないでくれ」
「ご理解いただき、感謝します」
ジェットパックで飛ぼうとする俺をリンは止める。よく考えたら俺はサンクトゥムタワーもシャーレの部室がどこにあるか知らない。
リンが止めてくれたのは間違いなかった。リンはポケットからタブレット取り出し、画面を操作して誰かに連絡する。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…」
「シャーレの部室?…あぁ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?」
「大騒ぎ…?」
タブレットからホログラムが映し出され、目の前に少女が現れた。手にはお菓子のようなものを持ち、いかにも気だるそうな雰囲気を醸している。
「矯正局を脱走した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ」
「…うん?」
モモカからの情報では、どうやら脱走した不良達がこれから行く場所で暴れているらしい…やはりジェダイがやるべきだろ。
「連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを筆頭に周りを焼け野原にしてるみたいなの、巡航戦車までどっかから手に入れできたみたいだよ?」
連邦生徒会にどのような恨みがあるのか知らないが、逆恨みにしてはやり方が分離主義同盟と似ている。これは見過ごすわけにはいかない。
「それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるであそこに何か大切なものでもあるみたいな動きだけど?」
「…」
モモカの発言に、リンの顔はどんどん暗くなっていく。それと同時にオーラがどす暗く感じる。これは相当ストレスを抱えているな。しかし、まるで狙ったかのようにシャーレの部室を狙うとは、そこに連邦生徒会長が残した『何か』を目的に動いているように感じる。何処かで情報が漏れたのだろうか?
「まぁでも、もうとっくにメチャクチャな場所なんだから、別に大したことな…あ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!」
モモカは自分の伝えたいことだけを残し、ホログラムが消えた。ふとリンに目を移すと、もうオーラだけで
「……」
「リン、大丈夫か?」
俺はリンの隣に立ち、落ち着かせるように話す。
「…だ、大丈夫です……少々問題が発生しましたが、大したことではありません」
リンは俺に顔を向け、笑顔で対応する。しかし、変わらずオーラは出ている。
「そうか…無理はするなよ?」
「…はい、ありがとうございます。アッド先生…ん?」
リンは目の前のユウカたちに気付き、少しの間ユウカたちを見つめる。
「……?」
「な、何?どうして私達を見つめるの?」
見つめるのユウカたちは困惑し、リンはあることを提案した。
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「…え?」
「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」
どうやらリンは、目の前にいる4人を連れてシャーレの部室に連れて行くつもりだ。多分俺の護衛として連れて行くのだろう。リンはやることを決めたからか、すぐ歩き始めた。
「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」
ユウカたちは急いでリンの後を追う。4人は巻き込まれた形で連れて行くことに俺は少し罪悪感を覚えた。
「…俺が守らなければならないな」
俺は自分に言い聞かせるように呟き、ヘルメットを被ってリンたちの後を追うことにする。
今回は長くなりました。この次は戦闘回にする予定です。
では、フォースとともにあらんことを…
本編(原作)だと先生は生徒の足をなめたりする過酷(死刑!)な大人ですが、アッドもそうであるべきでしょうか?
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舐めるべきや
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ん、アッドも過酷するべき
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う〜ん…微妙!
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そこまでしなくても…
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やめなされやめなされ…
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解釈違い
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やっても…変わらないかな?
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なんだったらためてたものをさらけ出せ