外国人が日本を支配しようとしている

 その後は、反グローバリズム、積極財政、選択的夫婦別姓やLGBTQの権利拡大反対など保守色の強い政策を前面に打ち出すようになる。神谷氏自身も「ロリコンはしょうがない」「天皇陛下に側室を」「愛人OK」「外資系企業で働いている人は国家観がない」など批判を浴びる発言を繰り返したが、コアな支持層は離れなかった。そして、24年の衆院選では「日本をなめるな!」をキャッチフレーズに3議席を獲得。急進的な右派政党として政界で存在感を増した。

 25年に入り参院選が近づくと、以前から取り組んでいた若手インフルエンサーらによる動画広告のインプレッションが増加し、若い世代の間で急速に知名度を高めた。一時は野党第1党をうかがう勢いだった国民民主党が失速したことも後押しした。「日本人ファースト」を掲げ、外国人優遇などを言い募ることで社会への漠然とした不満を抱える層を一気に取り込んでいった。

「参政党のコアな支持層はいまも、保守思想を持ちつつ、ワクチンに懐疑的だったり、オーガニックが好きだったりする、おだやかな主婦や中高年層だと思います。一方、最近は『自分たちが虐げられている』と漠然とした不安・不満を持っている層が参政党を選択肢に入れるようになってきました。参政党そのものが大きくなったわけではなく、社会不安のなかで『何となく今回は参政党』と考える層が増えていると感じます」(同)

 参政党候補に投票するつもりだという20代の男性はこう言う。

「友人から『外国人が優遇されている』という話を聞いて、いろいろ動画を見て調べてみました。ここは日本なのに、僕らが不利な扱いをされるのは変だと思います。『日本人ファースト』という主張に勇気づけられます」

 具体的に外国人優遇の例を教えてほしいと尋ねると「いっぱいありますよ、外国人は生活保護を受けやすいとか、起訴されないとか」と言う。だが実際は、生活保護受給世帯に占める世帯主が外国籍の世帯の割合は3%以下だ。「外国人は起訴されない」という主張についても、刑法犯検挙人数に対する起訴率は日本人より外国人のほうが高い。「外国人優遇」は多くの専門家がデマだと否定していると伝えても納得できない様子だった。

 黒さんはこう指摘する。

「今でこそ、『ディープステート(闇の政府)』などの発言は表ではしなくなりましたが、支持者が集まる場では語られています。また、外国人が日本を支配しようとしている、日本を弱体化させる勢力があるという陰謀論的な主張は変わっていないと感じます」

 極右の台頭という世界的な潮流が、日本にも流れ着いた感がある今回の参院選。もし参政党が躍進すれば、日本の未来もまた大きく変わりかねない。

(AERA編集部・川口穣)

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