閉幕間近の大阪・関西万博、入場券収入は黒字見込みでも必要な収益拡大、カギを握るのは「ミャクミャク」か?
SNSの力で盛り返す
ところが、連休が明けると状況は一変する。連休後、最初の週末となった土曜日の5月10日からにぎわいが一段階上がり、この日以降、来場者は10万人以上で推移するようになったのだ。 来場者が急に増加した理由について、関係者は当時、「万博がどんなものか様子見していた人が多かったのかもしれない」と語っていた。協会もテコ入れを講じていて、「夜間券」について1時間早い午後4時から入場できるよう変更などしていた。 来場者数を押し上げた最大の要因は、実際に来訪した人の口コミだったとみられる。迫力ある大屋根リングや各パビリオンの趣向を凝らした展示に、SNSを中心に「意外と悪くない」といった声が駆け巡った。 民間シンクタンクのアジア太平洋研究所(大阪市)によると、インスタグラムの万博関連のハッシュタグ(検索目印)投稿数に関し、「#大阪万博」は昨年11月末時点で7.6万件だったが、今年6月末時点で21.2万件まで増加していた。 三菱総合研究所が開幕後の5月に全国3000人を対象に実施した調査では、万博に「行きたい・すでに行った」とした人は33.7%で、前回の昨年10月調査の24.0%から伸びた。地域別は京阪神圏が51.7%で、前回調査の36.3%から大幅に増加。今回調査でも首都圏の数値は京阪神圏よりも低かったように、「大阪のイベント」の色合いは濃いものの、来場意向は高まっている。
特に20〜30代の来場意向が高く、SNS世代に万博が響いている、といえそうだ。来場者のうち「満足」としたのは全体で73.0%に上った。三菱総研は「開幕後に全国の来場意向が上昇しており、京阪神圏や若年層を中心に盛り上がりをみせている」と分析した。 来場者数は5〜6月にかけて着実に増加。6月28日には著名な「大曲の花火」(秋田県)の打ち上げもあり、会期前半で最多の18万4990人を記録した。近畿地方が早々に梅雨明けしたことで、来場者数のさらなる増加に期待が高まった。