閉幕間近の大阪・関西万博、入場券収入は黒字見込みでも必要な収益拡大、カギを握るのは「ミャクミャク」か?
幾多のトラブルに見舞われ、その運営方針に厳しい批判が集まることもあった大阪・関西万博は、間もなく10月13日に閉幕を迎える。開幕前は入場券販売が伸びずに不安視されたが、来場者数が顕著に増加傾向となる〝潮目の変化〟が、ある時期に発生。開催の収支が黒字となるラインを何とかクリアし、日本国際博覧会協会(万博協会)をはじめとした関係者は胸をなでおろした。 【写真】開幕前の不安から盛り返した大阪・関西万博 ただ、追加支出が発生する可能性も残されており、最後の最後まで収益拡大を図る必要がある。万博は成功裏に終わることができるのか。
幸先の悪いスタート
万博は9月6日、20万9837人の一般来場者があり、開幕以降初めて1日20万人を超えた。半年の会期も残り約1カ月となる中、大阪市の人工島・夢洲の会場が駆け込みの来場者で沸いていることを印象付けるニュースとなった。 「入場券販売は順調に推移し、(黒字化ラインの)969億円は超えている」。9月に入り、万博協会の高科淳副事務総長は記者会見でこのように強調した。一方で災害や不測の事態で収支が想定通りにならないことを懸念し、「最後まで明確に黒字、大丈夫だといえる状況にはならないのでは」とも語った。 それでも、協会関係者は安堵している。万博は2018年11月に大阪開催が決定してしばらくは好意的な見方が多かったが、20年12月に会場に大屋根リングを設置するなど計画の大幅な変更と、建設費が当初比1.5倍となる最大1850億円への増額が発表されたころから、厳しい批判にさらされるようになった。 建設費は建築資材や人件費の上昇などで2度目の増額が行われ、当初比1.8倍の最大2350億円となると、「税金の無駄遣い」との批判が渦巻いた。こうした中、機運醸成が進まなかったのは、運営側が万博で何が楽しめるのか具体的なコンテンツを示せなかったことも大きい。
入場券販売は開幕まで低調で、前売り目標の1400万枚に対し、開幕前日の4月12日までに売れたのは7割の969万枚にとどまった。協会の計画では、人件費や広報宣伝費など総額1160億円の運営費のうち8割超を入場券収入で賄うことになっている。 前売りが売れなかったことから予想されたように、開幕しても来場者数が伸びない状況が続いた。万博は1日最大22.7万人の来場を想定しているが、開幕の4月13日は人気歌手・Adoのライブなどがあったにも関わらず12万4339人と物足りず、開幕2日目は半減よりも低い5万3660人だった。 結局、4月の来場者は1日平均8万人台となり、春の大型連休(4月26日〜5月6日)が始まっても増えずに関係者の不安は高まった。来場者数が開幕日を上回ることはなく、特に5月6日は雨が降ったとはいえ、会期終盤の現在の水準との比較では、3分の1程度の5万9582人という閑散ぶりだった。閑古鳥の鳴くパビリオンも目立ち、スタッフが「今なら予約なしで入場できます」と、懸命に呼びかけていた。