閉幕間近の大阪・関西万博、入場券収入は黒字見込みでも必要な収益拡大、カギを握るのは「ミャクミャク」か?
ラストスパートへ乗り越えるべき課題
入場券の販売数から黒字がほぼみえている状況だが、専用駐車場にマイカーを止めてバスに乗り換える「パーク・アンド・ライド」の利用料収入が期待した水準に全く届いていないことなどの不安要素もあり、さらなる収支拡大が求められる。 そのためには、まずは残り少ない期間で、来場者の満足度を保ちながら、なるべく多くに来てもらうことがカギとなる。来場者の大半を占める関西の客は何度も来場できる通期パスなどで訪れているケースが多いため、収支的にはこれからでも「新規客」を取り込みたいところだ。 協会は大阪に押し寄せているインバウンド(訪日客)の来場にも期待していたが、こちらは会期が進むごとに割合が減少しており、巻き返しは困難だろう。また、企業購入分の入場券の多くが使用されていない状況もある。使ってもらえれば首都圏などから家族や友人分を追加購入しての来場も見込め、収支への貢献が期待できそうだ。 明るい材料として、公式キャラクター「ミャクミャク」の人気の高まりから、閉幕後もグッズ販売が継続されることがある。協会はグッズを展開する契約企業からロイヤルティーを受け取る。 登場当初は、独特なデザインもあって「気持ち悪い」など散々ないわれようだったキャラが、立派に「万博のしんがり」を務めようとしている。愛知博がそうだったようにキャラが閉幕後も定着すれば、想定外の大きな利益をもたらす可能性もあることから、万博成功の命運を握っているともいえそうだ。
井上浩平